【ショートストーリー】生まれたところに戻っていく
おばあちゃんはだんだんと記憶をなくしていく。
記憶は時間を逆戻りして、
だんだん赤ちゃんの時の記憶へと戻っていく。
それを知っているのは、
おばあちゃんの飼いネコだけ。
おばあちゃんはロッキングチェアに揺られながら
タータンチェックのひざ掛けをかけて、
うたた寝をしている。
となりでネコが、
どこからか飛んできた
黄色いちょうちょを追いかけて
手をちょいちょいと伸ばしている。
「おばあちゃん」
今日は孫娘がやってきた。
おばあちゃんはにこにこしている。
もしかして今日は記