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介護職と看護職のケンカ、ちょっと待ってください!

どこの介護施設でもあるあるなんですが、介護と看護ってあまり仲良くないかもですね。

私は複数の介護施設でいろいろな職種を経験しましたが、とくに特養や老健などの箱モノ系サービスでは、介護と看護の喧嘩はよく見られます。

今日は、この点についてお話したいと思います。

介護と看護、考え方が違って当たり前


介護と看護、ともに介護施設で同じご利用者をケアする仲間ですが、考え方が異なっていてあたりまえです。

それぞれの専門性が異なり、アプローチの仕方が異なるのですから。むしろ、同じアプローチの仕方をしていては、専門性は発揮されず、専門職の意味がないということになってしまいます。

ここらへんのことは、掘り下げて著書で書いてますね。

↓↓↓

同じ認知症のご利用者に対して、
・介護職は生活環境の整備や接し方を工夫してアプローチをする
・看護職は内服薬など医療的なアプローチをする

介護や看護だけじゃなく、介護施設には理学療法士等の機能訓練員や管理栄養士だっていますよね。彼らも同じ専門職で、それぞれの専門性を発揮してアプローチをします。

ですが、機能訓練員や管理栄養士とトラブルになりにくいのは、単純に彼らの人員配置数が少ないからです。たいていの場合、いち施設に一人の職種かと思います。

介護と看護は人数の総数が多く、言い方は悪いですがそれぞれが群れやすいのです。自分以外の仲間が多くいる状態では、他職種の悪口を言っても、自分に被害がおよびにくいので、言いやすい状態です。


介護と看護、仲良くするには?


介護と看護の仲を良くするために、2つの対策をあげます。

<研修で異なる考え方を学ぶ>

介護と看護はアプローチや考え方が異なっていてあたりまえであると先にお話しました。

ですが、そもそも、その当たり前に気づかない状態で、
「何で看護(介護)は、ああいうアプローチをするんだ!自分たちは、こうするのに!」
٩(๑`^´๑)۶
と他職種に自分たちの考えを押し付けてしまいがちな状況が多くあります。

私は介護福祉士として長く現場にいましたが、看護師に対する愚痴って、結局そんなもんです。


私が最後に勤めた施設では、介護も看護も同じ研修を受けていました。

同じ研修・・・というのは、介護職も医療・看護の考え方の研修を受けるし、看護職も、介護職のアプローチ方法などを学ぶのです。

研修のグループワークでは、お互いに役割を交換してみる・・ということもしました。介護職が看護の立場で、看護職が介護の立場で、架空のご利用者に対するケアのシミュレーションをするのです。

こうしたことを定期的に行うことにより、お互いの職種に対する理解が深まります。

<ご利用者に対する共通の認識をケアプランで徹底>

私は施設ケアマネ業務をしていたこともあります。

私が業務に着任した当初、施設のケアプランはただの紙クズにすぎないほど、ケアに価値のないものでした。

現場の介護職も看護職も、ケアプランを意識せずにケアをしているのです。プランって何?という職員もいるくらいです。

もちろん、管理栄養士や機能訓練員も含めて、それぞれの職種が計画書を作成しなければならないのですが、あくまで自分たちの専門的範疇においての計画書です。

しかしそれら全ての情報を網羅したものが、ケアプランなのです。自分たちの職種のケアだけ分かっていればケアができてしまうのですが、それではいちご利用者に対する共通の認識はまったく深まらず、職種間での軋轢を生んでしまいます。

私の施設では、ケアプランや他の計画書の重要性と活用をすることを、長年かけて徹底してきました。

ケアプランはゼッタイに必要な書類ですが、作るだけ作ってご本人・ご家族の署名捺印をもらったら、しまわれて目にすることがないということすら施設によってはあります。

施設ケアマネというのは、『活きたケアプラン』を作り、すべての職種を同じ方向へ歩ませる大切な役割をもっているのです。


※ 施設ケアマネの存在意義、役割、立ち回りについての話は、次回記事にてさらに取り上げます。施設に1人か2人しかいないケアマネの働き方によって、その施設がどの方向にむかっていくかが変わります。


職種間の協力がなければ、ご利用者への良いケアは不可能


よく多職種連携という言葉を耳にすると思います。

すべての職種は、ケアカンファレンス(サービス担当者会議)やケアプランを得て、いちご利用者のケアに対して自分がどう立ち回っているかを考えなければなりません。

同じ職種の中でも、気の合うヒトと合わないヒトがいるのは当然ですし、それは仕方ありません。

ですが、介護施設において、お互いの職種間での対立がある状態をいつまでも放置していてはダメです。

各職種が別々の思い、目的でケアにあたるので、何よりもご利用者のためになりません。

サポートですか・・・。人にお願いするまえに、自分が常に努力しなくては。