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海外大学に進学する日本の高校生,もっと増えたらいいな,という話

――今年、英ケンブリッジ大に進んだ卒業生が取材に「国内外の大学全部を視野に入れて選んだ」と話していたのが印象的だった。
「生徒の意識も変わってきた。欧米の優秀な高校生は自国にとどまらず世界のトップ大学にどんどん進む。日本の生徒はまだ世界を見ずに大学を決める傾向が強い」

日経新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD131YE0T11C23A0000000/

日本の大学の学生として海外大学に留学して現地のコミュニティに参加してみた際に海外大学に進学する日本人少なくないか!と思った.ある中国人の友人は「クラスの大半はアメリカとかヨーロッパとか日本とか海外大学に行ってる」と言っていた.そしてベトナムの友人も「クラスの半分くらいは海外大学に進学している」と言っていた.日本はどうだろうか?これは,僕は従兄弟や友人とただただ数字や実績を比較して嘆く母親のようなつもりで言っているのではく,海外に留学して過ごした経験と海外大学に進学する日本人の姿を見たことを踏まえて,日本の高校生はもっと海外大学に進学して良いのではないか,という意図を持った主張だ.

僕自身日本の大学に進学しているものの,留学していろんな人と交流する中で,日本人で海外大学に進学している人の量が少なくてしかも海外大学に留学する人の属性も偏っている印象がある.そのため,普通の日本の中学高校で過ごしてきた人の中から海外大学を選ぶ人が増えたらいいな,という気持ちを持った.自明なことではあるけれど、一応言っておかないと何も思ってないのと同じなので書く。留学をしてみたり,留学をしている人の話を聞いたりしたりするうちに,学問を追求したいというようなまっとうな理由だけじゃなく,新しい価値観とか刺激を受けてみたい,というような「自分が楽しく自由に生きるための選択肢」としての海外大学進学も十分にありなことだと感じたので,そんな人が増えることを願っている.

海外に興味がある高校生個人にとって海外大学進学という選択肢が頭に思い浮かびすらしないということがとーってももったいし,純粋に日本にとって良くない,と思う.高校生個人にとってのベストな選択肢としても,日本全体の流れにおいても,日本人の海外進学の拡大はメリットの大きいことではないだろうか.ぜひとも,頭の中に海外大学進学がよぎる高校生,あるいは親,それ以外の人に,何かしらの気づきや後押しになればと願う.

まず現状として,

これまでの経験上,海外大学に進学した人の多くが

「親が海外に転勤したことがあったり」,
「親が海外で働いていたりした」ことから,
「海外の現地の学校に通ったこと」があったり,
「日本のインターナショナルスクールに通っていたり」して,
「日本の一般的な考え方をしない人が友人としてたくさんいて」,
「彼らの将来の捉え方やモデルケースを知っている」ため
「海外大学に進学するという選択肢が特段ハードルが高くなく捉えられていて」
「海外大学進学に必要な情報をそれなりに理解している」

という特別な人が海外大学に進学する日本人の多くの割合を占めている印象がある.もちろん,海外の大学,大学院でしか学べないことがあるから海外の大学に行く!という強い意志を持って進学する人もいる.ただそれはその人の経験や環境が運という意味でも実力という意味でも特別だったからという理由だと見える.

最近では,動画やSNSで海外進学をした人が近況について発信している姿を見ることも多くなり,かつてと比べれば海外進学という選択肢が頭によぎる人も増えてくるのではないかと思う.とはいえハードルが高そうというイメージなどから知ってはいても真剣な進学先の候補には入っていない,というひとが大半という現状もある。

海外大学進学する人が増えるために重要なのは,「高校生自身(その親も)が、日本における大学進学に対する一般的な考え方とは違う考え方をする人(外国人の友人or海外経験の多い親や教師orそのような思想を持つ人物)の刺激をどれだけ受け,それに対して前向きになることができるか」だ.ただもちろん,一部の勇敢で情報感度の高い高校生と柔軟な考えの親を持つ人はすでに海外大学に進学している.

ベトナムの優秀な高校生の半分以上は海外大学に進学し,中国でもかなり多くの優秀な人が海外大学に進学する.ベトナムも中国も経済や大学の定員などの関係で外部環境が海外大進学を選択肢としてえらばざるを得なくさせているという点も否めないが,何より高校生にとって多くの先輩が海外大学に進学していて身近にそういう人がいるという事実はきっと大学選択に大きく影響を与えるはず.加えて中国人は世界中にいてネットワークも強いし情報もよく流れるので,現地の情報や世界での考え方や情報がしっかりと伝わるし,何より現地に中国人がたくさんいるのが心強い.大学進学をする高校生の大学選択をする高校生自身とその親の外部環境が海外進学という選択肢に対してハードルを感じにくい.

ベトナムや中国の状況を元に,日本の大学進学に関してあって日本のあるべき姿を考えると,「大学受験を控えた高校生とその親だれもが,選択肢としての海外大進学を日本の大学に進学することと同じ俎上において前向きに比較検討する」状態が理想ではないかと自分なりに設定した.

日本では,海外進学に関する情報に触れることができる高校生やこのような情報を理解している親が少なく,特別であることが多いため,海外大学進学が増えないのかもしれない.

この記事は,「東大受験生の上位層でかつIvy leagueを目指すような特別かつ特別な人に向かって,東大受けるならIvy league目指そうよ」と言っているのではなく,「早稲田行くならIvyじゃなくても早稲田と国際ランキング同じくらいの海外大学もよくね」,みたいな人がどんどん増えたらいいと思って書いています.

まず,高校や海外大学進学を奨励する会社や組織は,日本の高校生の海外大学進学をもっと身近にするよるための親と高校生を教育することが必要だと思う.テレビや新聞,ネットニュースでも親層に対してこの点の教育をすべきだと思う.そして,Ivy leagueやOxbridgeに行くような変態ではなくても,こんなやつでも普通に海外大学行ってその後の人生ちゃんといけるんだったら割とチャンスあるかもな,と高校生に小さな気づきのようなものを与えられる機会を作るべき.自分でゼロからフラットに考えて決断することが苦手な高校生や親はおそらく多いため,なんとなく流されて有名な大学受験塾に入れば大丈夫,と思ってその通りにしてしまうのは,人生に対して軽薄だと思う(僕自身も軽薄泣).高校生自身や親がそれに気づけば,自然と彼ら自身で情報を集めるようになるはずだから,その後のフォローアップをなんらかのNPOまたは海外大学に進学or留学した日本人の学生団体が行っていけばより良い流れが作れるのではないだろうか.

当然日本が好きで日本の友人が身近にいて日本じゃないといけない理由がある人は日本という選択肢をすべきである.そしてさらに一部の凄い人は物事に対して元々フラットにゼロから考えることができて,自分にとって何が大切で何をやりたいか,を考えて中学高校から実践している.「高3のときに受験勉強ばかりにならずに自分のやりたいことをやる時間を取れて,学びたいことを学べる大学ないかな」みたいに考えているような印象.同世代の人物を比較するにあたって代表される指標においていい位置についている人ほど,将来的なダウンサイドのリスクに対して回避的になる人が多い印象がある.ただ,自分と周りが考える選択を自分もすることで得られるアップサイドは高が知れていて,みんなと同じ選択肢をすることでダウンサイドが少ないからその選択をしているという自身の無意識のリスク回避傾向を自覚しているだろうか?もしそうじゃないならどうして海外大学進学という選択肢があるのにそれを俎上に載せないのだろうか?海外大学進学のリスクとハードルに関して,実際に調べたり人の話を聞いたりする前に,頭の中の想像だけで海外進学は難しいと思っているだけではないだろうか?

最後に,そもそもなぜ海外大学に進学するのも良い選択肢であるかを補足する.まず海外大学進学いいかもなと思う高校生にとって海外進学は,「英語というスキルを学習するモチベーションを作り出し」「海外での,日本とは違う刺激に満ちた生活で絶対に後悔することがない」選択肢で「海外の人の考え方や生活をより身近に理解して自身もそれに適応することができ」るとっても良い機会だから.そして親にとっては「海外大学の方が授業料が安いことがあったり,奨学金のチャンスがあり家計負担が小さく済む可能性があり」「子供の機会を増やすことができ」「希少な人材になることができ」るという点にある.

これは次いで話だが,僕は私立の小学校と公立の小学校に通っていたことがある.私立の小学校に通っていたころの同級生は全て日本の大学に進学したものの,彼らの親は「子供には海外で働いてもらうのもありだね」「海外大進学もかなりありかもね」などと言っているが,公立の小学校の親からはあまりそういうことを聞かない.地域性の問題はあるかもしれないが,おそらく私立の親の家族や彼らの交友関係の一部に,海外大学に進学した人や海外で働く人がそれなりにいて,海外についての話をよく聞いたり,海外旅行の経験から円安デフレで賃金停滞の日本のデメリットを理解している人が多く,情報入手とその理解度と金銭面での負担という点でその格差が現れている感がある.何もしなければ,今後もその傾向が強まって,金銭面での格差が情報格差をうみ,機会の格差につながり,結果として教育格差となり,また格差の固定がつながる恐れがある.留学をするという選択をする人も同じで,やけに目がぱっちりしている人が多かったり,過去に海外経験が豊富な人が多かったりと歪みとその裏にある格差が垣間見えて,気味が悪い.

おそらく,変態レベルの天才じゃなくても海外大にいけてその後も人生何とかなる,というモデルケースを作り出すのは,親が金持ちで教育コストと情報感度の高い家庭が主になると思うので,ぜひともそういう自覚があるならば,これはチャンスだと思ってチャレンジしてみてはいかがだろうか.

親でも誰でも教育する立場にある人なら,これくらいの時までにはこういう状態でこういう考え方ができる人に育ったら理想的だな,というなんとなくのイメージがあるといいと思う.その一助にでもなれば幸いです.

以上,僕の経験に基づいて言いたいことをまとめてみました!楽しんでもらえたら良かったです!


「柔らかい頭で考え,応援してくれる人を見つけて頼り,恵まれた環境を作り,チャンスをものにする努力をして着実に達成する」

できてない.


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