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#タピオカ
ダピオ・カーン TEA END
「こないね」
黒糖タピオカミルク専門点「枕牡丹」、15時。ティータイムにちょうどいい時間だが客人は一人もいない。一時間まえにUber EATSからの注文を消化してからずっとこの状態だ。一ヶ月前に行列がブロックを一周できた盛況はウソのようだ。
「あちぃー……」
東京の夏、悪辣な太陽、湿度、温暖化、ヒートアイランド現象、昼過ぎても39℃の気温の中で出歩く者はあまりない。店の天井から伸ばした日
タピオ・カーン TAPIOCA KNIGHT
「店長はん、売上が上々やな」
「ハイ、リンさんのおかげで」
渋谷、ティーショップ「リットルフィニックス」、二階のオフィス。店長の児内(こない)とソファにもたれた男がローテーブルを挟んで対面している。男の名前は林玄聖(リン シュエン スン)、母体会社から派遣されたお目付け役……つまり台湾マフィア『凰門』の幹部だということだ。はたけた黒い唐装(中華風のシャツ)の中に覗かせる関羽と関勝の刺青、オイ
タピオ・カーン STRIKES AGAIN
「これでOK?」「もう少し近づけた方がよくない?」
ピンク縁眼鏡のケイミと黒いロン毛のラビ、二人の女子高生はカメラに向けて、頬がくっづくらいに顔を近づけ、手に持っているタピオカミルクティーとタピオカ冬瓜ティーのコップを合わせて乾杯するポースをとった。
「おっ、いい感じじゃない?」「じゃあ撮るね。せーのー」
「「イェーイ」」
満点な笑顔をきめて、ケイミはBluetoothシャッターリモコ
タピオ・カーン RISING
「おいおい、見ろよこの列ぅ〜」「バッカみてえ!」
メガネとセミロングの若い男性二人組が列を成しているタピオカミルクティーショップの前でスマホをかざして生配信していた。並んでいる客の顔が処理されず直接youtubeのLiveに流されている。立派なプライバシー侵害だが流行り物を叩いて自分の優越感に浸っている彼らにとってそれすらスリルを増すスパイスである!
「そもそもさぁ、タピオカはキャッサバとい