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灰汁詰めのナヴォー

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2019年2月の記事一覧

グラディエーターになった話:入籍の章(下)

グラディエーターになった話:入籍の章(下)

録画はないので想像力を働かせてください。

「なぁに見てんだおおん?」

 アイカツマシンの前に集まる四人に対して高貴な視線を送った若い夫婦はエルフの王子に凄まれ、おもちゃ売り場から退散した。

「ステージごとにテーマがある。そのテーマに合わせてスタイルの服を装備しステージに挑むのが基本だが、初期は四つのスタイルのコーデを揃えることがなかなか難しい。持っている手札で勝負だ」

アイカツカード、それ

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グラディエーターになった話:入籍の章(上)

グラディエーターになった話:入籍の章(上)

ジムパート「フッス、フッス、フッス」

 俺は今、ベンチに右足と右膝をつけ、左足を後ろに伸ばし、前に屈んだ姿勢で左手に持っている20kgのダンベルを上下している。これはダンベルを使った背筋鍛錬法、ダンベルローイングである。

「いいね。張り切ってるね」隣で見物しているオーランド・ブルーム似の男、エルフの王子だ。「男が筋トレに励んでいるのはこれから女を抱くか、人を殺すかのどっちだと映画でやったな。き

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ようこそ、ユーシャルホテルへ!④

ようこそ、ユーシャルホテルへ!④

前回

イルジ:邪眼持ちの魔女。平穏を求めてユーシャルホテルに訪れた。
オーポー:女ドワーフ。タフ。何の呪いかはまた不明。
ユーシャルホテル:宿泊施設。あらゆる魔的の力を無効化できる

「うーん……」

 一階の個室で、緑色がかかった金髪の男エルフが目を覚めた。日差しから察するにもう正午に近い。誰にも邪魔されず好きなだけ眠れる、これぞ真の休暇というものだ。

 サイドテーブルに手を伸ばし、スキット

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