『君に届け』と『私をスキーに連れてって』

2010年代に量産されたキラキラ映画。主に少女マンガを原作にした青春ラブストーリーで、イケメン俳優の起用は必須。元々ターゲットが十代ですから、大人が興味を持てないの仕方ないとしても、近年はちょっと供給過剰で、やや飽きられ、一息ついた印象。

とはいえ、そんな作品群の中にも名作はあるもので、今年亡くなった三浦春馬さんと多部未華子さんが共演した『君に届け』(2010年)がまさにそれ。原作は『別マ』2006年1月号からスタートした、椎名軽穂さんの大ヒットコミック。

貞子こと黒沼爽子役の多部さんと、風早翔太役の三浦春馬さんのキャスティングの妙と爽やかさがまずいい。演出上も多用されているのですが、映画の中に風が吹いている、そんな印象の作品。

最も印象深かったのはやはりクライマックスの年越しシーン。これって映画『私をスキーに連れてって』のオマージュなのでは?勘違いとすれ違いが解消されるカタルシス。『私を』の二人も不器用で純情でしたし。時代がどんなに変わろうとも、こうした作品と主人公たちは愛されていくのでしょう。

『私をスキーに連れてって』(1987年)とは、バブル期にスキーブームを巻き起こすなど、一世を風靡した原田知世さん主演の恋愛映画。ホイチョイ・プロダクションによるホイチョイ三部作の第1作で、ユーミンの楽曲がたくさん使われているも特徴。

オマージュ?と書いたのは、両作品共に、大晦日から新年になる瞬間の男女が描かれ、花火や雪といったシチュエーションも共通で、『私をスキーに連れてって』では原田さんが「今年も、よろしくお願いします」、『君に届け』では三浦さんが「これからもよろしく」というセリフがあるから。

偶然の可能性もありましたが、最近見つけました。『君に届け』の企画プロデューサーである、佐藤貴博さんのものと思われるツイート。日本テレビの『金曜ロードSHOW!』で放送された時のもののようです。

予告編もなかなか秀逸で、爽子(多部さん)が他の男子と親しそうに話し込んでいるところを見かけた風早(三浦さん)が、突然割り込んできて「ごめん、我慢できなかった」と手を引いていくシーンからの主題歌、そして「届け、届け、君に届け」のナレまでの流れが完璧。

全作品を見ているわけではないのであれですが、自分の中では三浦さんのベスト作品であり、キラキラ映画のナンバー1。



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