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逃がした魚は大きい!?「フジテレビヤングシナリオ大賞」の受賞者たち

小説や漫画と同じように、ドラマの世界にもコンクールがあります。「創作テレビドラマ大賞」「TBS連ドラ・シナリオ大賞」「WOWOW新人シナリオ大賞」など、色々ありますが、最も有名なのが「フジテレビヤングシナリオ大賞」。

1987年に創設された同賞は、テレビドラマで活躍する若手脚本家を募集・育成するための公募賞。大賞受賞作品はフジテレビでドラマ化、放送。受賞後、即戦力となる脚本家は、連ドラの脚本を任されるケースもあります。

第一回受賞者は坂元裕二さんで、若干19歳でした。『同・級・生』(1989年)で連ドラ初担当。『東京ラブストーリー』(1991年)では社会現象を巻き起こしました。

以降もフジを中心に活躍。『それでも、生きてゆく』(2011年)、『最高の離婚』(2013年)、『問題のあるレストラン』(2015年)と名作を生み続けてきましたが、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)を最後に、フジでの執筆はありません。

同じように、当初はフジで書いていたけれども、現在は他局がメインになっている同賞受賞者は数知れず。例えば、2010年に『さよならロビンソンクルーソー』で大賞を受賞した野木亜紀子さん。

『ラッキーセブン』『主に泣いてます』(共に2012年)を手掛けた後は、TBSを中心に活躍。『逃げ恥』(2016年)、『アンナチュラル』(2018年)、『MIU404』(2020年)とヒット作を連発。今最も注目されている脚本家でしょう。

もう一人挙げるなら安達奈緒子さん。『リッチマン、プアウーマン』(2012)、『失恋ショコラティエ』(2014年)、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』(2017年)などの作品を残してきましたが、本領はフジ以外で仕事をするようになってから。

『透明なゆりかご』(2018年)、『きのう何食べた?』(2019年)、『サギデカ』(2019年)と次々と傑作を生みだし、ついに、来年春から始まる朝ドラ『おかえりモネ』に登板。

他にも、『恋はつづくよどこまでも』の金子ありささん、『凪のお暇』の大島里美さん、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』の武藤将吾さん、『俺の話は長い』の金子茂樹さん、『アリバイ崩し承ります』のいずみ吉紘さんなどがいます。

テレビドラマ界全体が活性化するという意味では、同賞受賞者が各局で活躍するというのは素晴らしいことですが、フジとしては、“逃がした魚は大きい”ってことかも知れません。脚本家は大事にしたいものです。


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