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映画日記『ザリガニの鳴くところ』

週一で映画館に足を運ぶ新習慣の第16弾。今回は、11月18日公開の米国映画『ザリガニの鳴くところ』。ディーリア・オーウェンズの世界的ベストセラーを、『ファースト・マッチ』のオリビア・ニューマンが実写映画化。主演は、英国女優のデイジー・エドガー=ジョーンズ。

6歳のときに両親に捨てられた少女カイア。ザリガニが鳴くといわれるアメリカ・ノースカロライナ州の湿地帯でたった一人で育ち、自然から生きる術を学んだのだった。ある日、その湿地帯で青年の変死体が発見され、カイアに殺人の容疑がかけられる(シネマトゥデイより抜粋)。

以下、ネタバレあります。

原作は未読。映画館で見た予告編に惹かれて見に行きました。キャッチフレーズは「真相は初恋の中に沈んでいる」。予告編は本格サスペンス風に作らていますが、サスペンス(法廷劇)+恋愛+ヒューマンドラマといったところ。

時系列を整理すると、カイアが捨てられたのが1950年代。逮捕されたのが1969年。米国の公民権運動が盛り上がったのが、1950年代半ばから1960年代半ばですから、カイアの数少ない味方であった雑貨店の黒人夫婦が、白人たちに気を使っている描写が時代背景をよく表しています。

生きるために精一杯で、学校にも通えなかったカイアに文字を教えたテイト。二人はいつしか恋仲になりますが、テイトは大学進学のために町を出ることに。すぐに帰って来ると言っていたのに…という「木綿のハンカチーフ」展開。

家族に捨てられ、初恋の男にも捨てられ、そんな心の隙間に入り込んできたのが、裕福な家庭の息子で遊び人のチェイス。やがて、彼に婚約者がいることを知り、別れようとするのですが、セカンドとしてキープしたいチェイスは、執拗にカイアにつきまとい…。

アメリカの雄大な自然の風景はやはり圧巻で、映画館で見て正解。カイアの弁護士が紳士かつ優秀で、法廷劇としてもなかなか面白く。最後の最後に真相が暗示されるのですが、それは映画館でお確かめください。

以下、予告編の下に大きなネタバレがあります。

カリアのセリフ「自然に善悪は存在しないのかも」が、本作の肝だったのでしょう。自然に最も近い場所で育ったカリアは、「善悪の彼岸」へと渡ったのかな。

そうそう、ニーチェにも「善悪の彼岸」という著書がありますが、二-チェの言葉に「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」というものもあります。陪審員たちは、事実らしきものを、自分なりに解釈して、どんな判決を下したのでしょうか。


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