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RUN run

さよなら三角  またきて四角




昨日とがっていたこの気持ちは
今日は少し角度を緩めてみよう


あなたのとがっていたその言葉を
私は少し角度を緩めて返せるようにしよう


冬の始まりを告げる
頬に当たる冷たい風を


繰り返すさざ波のように
優しく返せるようにしよう








まだセピアにならない学び舎の
流れゆく風景を思い出す


あの頃の私はただひたむきに走っていた
笑顔が見れれば良いと思っていたから


「お疲れ様」と投げかけられる言葉に
居心地の良さを感じていた


もっと早く踏み出せば良かった
走ることだけでなく気持ちの面でも


偶然に一緒になった帰り間際は
意識して作った私の必然


「よく一緒になるよね」と投げかけられる言葉に
気持ちを確かめる罪悪感と胸の高鳴りが交錯していた


その空間が私の全てであるような錯覚にとらわれ
その時間の全てが私の中心であるかのように


長く感じたその時間や空間も
一言二言交わすだけの物なのに


アナタの背中を目で追いながら
自分の喜びと不甲斐なさで葛藤する





「ずっと前からアナタのことが好きでした」





この言葉が言えたなら少しは楽になるのだろうか
それとも結果に猜疑心を抱いてしまうのだろうか


もっと早く踏み出せば良かった
走ることだけでなく気持ちの面でも


幾度とあったその機会も
伝えることのできない安堵感と共に



さよなら三角  またきて四角



言葉にできないとがっていた気持ちを
今なら伝えられそうな角度を広げた四角に


グラウンドを見つめながら
もっと緩やかなコーナーを描くトラックに近づけよう






今の私はただひたむきに走っていた
あの頃の笑顔を思い出しながら



あの頃と一つ…違うことがあるとするならば…

























ハタから見れば良い中年のオッサンが
ゼーゼー言いながら妄想にふけり
汗だか肉汁だか判別のつかないドロドロの走りを披露していることだけ…


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