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チェコ<クリスマスの伝統クッキーの話>

クリスマスは終わってしまったけど、今日はチェコのクリスマスのクッキーの話を書こうと思う。

私が暮らすチェコではクリスマス前のアドベント期間が始まるとcukroví(ツクロヴィー)というクリスマスのスイーツ、クッキーを作る。その話は少しだけ下記で書いていますが、

私がチェコのcukrovíに出会ったのは2014年。ホンザの実家で義母が作るVánoční cukroví(クリスマスのクッキー)がcukrovíとの初めての出会いだった。

アフタヌーンティーで使われるような3段のケーキスタンドに、美しいVánoční cukrovíがのせられていた。そしてこれらは全て義母の手作りだという。その見た目の美しさと、口に入れた時のあまりの美味しさにとても驚いたことを記憶している。

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(上の写真はその時初めて食べたVánoční cukroví)

売られていてもおかしくないような美しいクッキーを一般人、ましてや目の前にいる女性が普通に作っているということに衝撃を受けた。そして一般家庭でこのようなアフタヌーンティ―のケーキスタンドが使われていることにも衝撃をうけた。当時の私は甘いお菓子やケーキは実はそこまで好きではなかったのだけど、その美しさにすっかり魅了されてしまった。

そしてチェコに嫁いだ2016年からVánoční cukrovíの作り方を義母から教わるようになった。2016年は3種類を教わった。またその翌年にも教わったりしながら少しずつ自分の中のレシピを増やしていった。

Vánoční cukrovíは種類がとても豊富。同じ名前のcukrovíであっても家庭によってアーモンドを使う家庭もあれば、クルミを使う家庭があったりと若干異なっていることもある。家庭に伝わるレシピはそれぞれなので、その種類は何百とも言われているそう。

私は義母から教わったレシピを忠実に守るようにしている。というのも義母から教わったレシピは亡き祖母から伝わったものもあるし、見た目も美しく何よりも味がいい。「ここはポイント」という抑えておくべくポイントを義母からしっかり伝授された。その通りに作ると見た目の美しさはもちろんのこと、とても美味しいcukrovíが出来上がる。ちなみに焼き色が付きすぎてもダメ。焼き色が付きすぎると「翌年は病気になる」とも言われているので、とても慎重になる。

そして亡き祖母から受け継いだ型抜きなどもいくつかもらったので、それを私も使っている。どこでも買えるような型抜きだし古いものであるが、何十年も受け継いで使われる型抜きを使うと、その型抜きにまるで魔法がかけられ上手にできるような気がしているのだ。

そしてこのように大切にして代々受け継ぎながら長く使うという文化自体も大切にしたいと感じている。

ちなみに我が家はチェコの有名な「ペルニーク、ペルニチュキ」というジンジャーブレッドのようなアイシングが施されたcukrovíを代々作らない家系だ。ホンザに理由を聞いたら「他のcukrovíの方がおいしいから」とのことだった。至って単純な理由であった。確かにペルニークはアイシングするのは楽しいが、他のcukrovíと比較すると私も味は好みではない。

ただ、私はペルニークを作ってみたかったこともありチェコの友人と何度か一緒に作ったりしていた。しかし作ったところでやはり我が家では誰も食べないので残念ながら残ってしまう。ただこれはあくまでも好みの問題だと思うし、単純に我が家が風変りな家系である可能性が高い。

ペルニークはチェコの美しい伝統の1つでもあるから、気になる人はぜひ一度は手にとってその美しさを見て欲しいし、味わってほしい。

さて、そんなcukrovíですが、クリスマス時期は何十種類も作る人もいる。
私は今年は11種類作った。(下の写真10種類に後々1種類追加した)

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それぞれのcukrovíを簡単に説明していこうと思う。写真の下に説明書きをしていきます。

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<Vanilkové rohlíčky>
定番中の定番cukroví。三日月型であるが、チェコのロフリークというパンの形とも言われている。ヴァニラビーンズなどを使いヴァニラの風味とホロホロした食感

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<Linecké cukroví>
定番中の定番cukroví。型を使い真ん中にジャムを挟んだcukroví

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<Žabí hubičky>
チェコ語でカエルのことをŽabaというのだけど、カエルが口を開けたような、ローリングストーンズのロゴみたいなクッキー。クルミがたっぷり。定番かと思いきやそうでもない模様。個人的には大好きなcukroví

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<Plněné ořechy>
クルミの形をした専用の型抜きを使い作るクッキー。生地にクルミもたっぷり入っている。個人的にはベスト3に入るくらい好き

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<Išlské dortíčky>
生地の間にジャムやクルミなどのペーストを混ぜたクッキー。チョコを上からかけて上品な雰囲気。

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<Vosí hnízda(またをvčelí úly)>
定番のcukroví。ハチの巣をイメージした形のクッキーで専用の型を使って作る。たけのこの里に似ているけど、たけのこの里よりもだいぶ大きい。焼かないので簡単。

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<Sádlové koláčky>
生地にラードを練りこみ作るクッキー。ジャムを後からのせる。生地が少し割れてしまっているが、割れていないのがベター

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<Medovníkové kuličky>
蜂蜜やキャラメルを生地に練りこんだクッキー。周りはすりおろしたクルミを。美味しいのと小さなボールサイズが食べやすく止まらなくなる

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<Rafaelo kuličky>
生地はココナッツと練乳のようなものを混ぜ合わせたもの。アーモンド入りで周りはココナッツ。

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<kokosové kuličky>
生地はココアとビスケットなどを混ぜたもの。そして周りはココナッツ。

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<cukroví - ježci>
今年少しお遊びで作ってみたハリネズミのクッキー。適当なクッキー生地にチョコで顔と針を作成

今年の11種類を簡単に書いてみました。
レシピを時々聞かれることもありますが、代々家系に伝わるものなどもあるのでそのようなレシピは基本的には内緒です。

そして私自身も義母の真似をしてケーキスタンドを数年前に購入。ケーキスタンドがあると見た目もそれっぽくなるというマジック。

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毎年1種類以上レシピを増やしているので来年は12種類以上が目標。
ただ、小麦粉を何キロも使い作っているので、消費するのも結構大変で正月以降も食べ続けています・・・

ちなみに私は日本にいた頃、甘いお菓子が好きではなかったし、ほとんどお菓子作りをしたことがない。人間は住む環境が変わると食も変わるし色々と変わるものだなあとしみじみ感じている。


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