シェア
薄楽俊
2023年8月16日 00:39
▢ はじめに1942年(昭17)の『文學界』2月号には「山月記」「文字禍」が『古譚』と題して掲載されている。これが中島敦の文壇デビューであったが、目次から分かるように、このときの『文學界』は中島敦のデビュー誌としてはいささかそぐわない面を持っている。「古譚」の右側をみてほしい。「愛國詩特輯」という戦争プロバガンダそのもののような表題のもとに、三好達治、草野心平、竹中郁、尾崎喜八といった錚