ADHD(仮)愛知県高校受検体験記 その2
その1のつづき
実は我が子には工業高校に入って欲しかった。
特性持ちな彼が手に職をつけるのは、人生において極めて有効な気がしたし、加えて彼は土木や建築に強い興味があった。ニーズがぴたっとハマった瞬間である。天啓である。祝福のラッパを鳴らせ!
去年の今ごろの私は隙あらばスマホをいじり工業高校について調べまくっていた。妖怪工業高校受験させたいババア、爆誕である。
さて、妖怪がそれに気付いたのはかなり早い段階であった。なんせ妖怪だから。
「国公立大学の専門高校生対象推薦入試」なんとこの世には工業や商業高校など、普通科じゃない生徒しか使えない枠があるのだという。
大学進学がために普通科に進んだ私にはかなりのカルチャーショックだった。
いや、工業や商業高校から指定校推薦で私立大学に進学した話はこれまでも聞いたことはあった。しかしまさか国公立までとは。私立大と違って不合格が出る入試ではあるが、しかし。
かなりおいしくないか? 妖怪はニヤリと笑うとゆったり舌なめずりした。
学年が上がるのとともに順調に成績が下がっていった我が子だが、今のところ工業高校なら危なげなく入れそうだ。そうしたら進学後もワンチャンいい成績がとれるのではないか? だとしたら憧れの国公立大も夢じゃない! それでなくても私立なら行けるかもだし、そ、それも無理だとしても、就職かなりいいし……
トヨタさまのお膝元であるここ愛知では、工業高校卒業後に関連の会社に入るという黄金コースがある。ある高校では求人倍率20倍を叩き出しているそうな。
さてここまで書いて昨日の私は急に目が覚めた。
パチパチと瞬きして、自分がお昼のマックでアイスティーの紙ストローを噛み締めながら、一心不乱にスマホ入力していることに気付く。休憩するために入ったはずなのに、何かに取り憑かれたかのように「工業高校の好きなところ発表おばさん」になっていた。
夫から「混んできたからさすがにもう出よう」と促される。のろのろと立ち上がりつつ「何やってんだ私」と呟く。私の中の妖怪が浄化しきってないことをひしひしと感じる。
息子の成績は、今回も悪い──。
結論から話そう。我が子が工業高校に進学することはなかった。なんなら受検すらしなかった。
第一志望かつチャレンジ校である私立高校に見事合格してみせたからだ。
そう、うちのMENSAさま、まさかの奇跡を起こしたのである。
私から工業高校の良いところをたくさん話し、見学も複数回行き、子供なりに納得したように見えた。が、それは「第一志望に落ちたときはここでもいいな」という納得でしかなかったのだろう。
ちなみに我が子が第一志望をなぜ第一志望にしていたのかは知らない。理由を聞いたら「なんか……なんかよかった」とまるで高倉健のように朴訥に答えた。単なる見栄だったんじゃないのかなと思っている正直。
親としてはそんな曖昧な感じで高い私立に行かれるのは嫌だったが、かなり高望み高校だったので、受かったらラッキー、できるもんならやってみろというスタンス。
担任にはずっと「過去の資料を調べましたが、この内申で受かった子はいません」「難しいです」「工業高校が無難です」と苦笑いで言われ続けていた。「ですよねえ。でも一般入試なら内申関係ないそうなんで」とやんわり返すと、一旦は引くが、次の面談ではまた「難しい」と言われた。
第一志望に受かったときには息子と2人飛び上がって喜んだ。公立工業高校に行って欲しいというのが理性なら、高偏差値私立高校合格に浮かれるのは本能であった。なにより自分の子供が望む高校に合格したというのは、素直に嬉しいものだった。
何年かぶりに息子にハグした。何度もした。脳内では「ねぇねぇ、今どんな気持ち?」と言うあのAAが担任の周りでぐるぐる舞っていた。やはり内心では腹が立っていたのだ。
そもそも私がここで何が言いたかったかと言うと、情報の大切さである。
公立高校入試はあまりバリエーションがないが、私立高校については各学校で特徴があり、対策を練ることができる。
しかし具体的に息子がどのような対策を練ってジャイアントキリングしたか話すと、はちゃめちゃに身バレすることに気づいてしまった。
そこで、ここからはぼんやりとした情報戦の話をしたいと思う。
とりあえず今回は工業高校の素晴らしさだけ覚えて帰ってくださいと妖怪は言っております。
進学実績見ると、そこらへんの普通科より良い場合もあります。最近はヤンキーもほとんどいません。ヤンキーはゆるい普通科や総合科行きます。たぶん。知らんけど。
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