'95 till Infinity 110

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【 第7章 - ②: Story of My Life 013 】

木曜日、木曜日、全ては木曜日だ。
朝起きると俺の頭の中では木曜日へのカウントダウンが始まっていた。

それまでは曜日なんて関係ない生活が当たり前だったが、その日は起きた瞬間、火曜日だという事実が歯痒かった。

24時間経つと水曜日、そこからさらに24時間が過ぎてやっと木曜日。

火曜の夜に友達からの誘いを断った。
金を使い果たすのが怖かった。
そこから始まる終わりなき宴が怖かった。

初めてのデートにカムダウン真っ只中で駆けつける。

そんなデートマニュアルの初歩の初歩でも触れられないような悪夢は要回避なんてことは俺にだってわかる。

その48時間+αが長かった。

俺はいつの間にか時間の使い方というものをすっかり忘れていた。やることがあまりにもない俺は洗濯機を4回回してたまりにたまった洗濯物を始末した。隙間もなくロープに干された洗濯物が窓の外でひらひらと舞った。

次に部屋を掃除してみた。ありとあらゆるものをあるべきところにしまい、掃除機をかけ、バスルームを磨いた。洗濯物を取り込んできちんと畳んだ。

それでも火曜の夜には全てが終わってしまった。

どうでもいいTVを見ながら、近所で一番安い中華のお持ち帰りを食べた。

普段ダンスフロア以外で体を動かすことのない俺はいつの間にかソファーで寝ていた。夜中に目が覚めた俺はテーブルに残った2本目のエミュー・ビターの缶の中身を流しに捨てながら思った。おいおい、まだ2本目だぜ。

そのまま歯を磨いてベッドで眠った。

水曜は水曜でさらにやることがなかった。

時計とカレンダーを交互に眺めるのにいい加減飽きた俺は昼過ぎから街に出てみた。その時間に誰もいないとはわかっていたが、気づけば俺は知り合いに出くわしそうな場所は避けて歩いていた。ふらりと入ったレコード屋 - ここが一番危なかったが、他にどこも思いつかなかった - ですばやくCDを買い、友達が働いてないことがわかっている洋服屋でシャツを1枚買った。

形があるものを買うのはどれくらいぶりだろう。タクシー代以外で10ドルを超える、肝臓を通過しないものに金を払った記憶がない。

思い出せないってことは、それがとんでもなく昔のことだってこと。

そのまま俺は街をふらふらと歩き、知ってる奴らが出てきそうな時間に余裕を持って撤収した。


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