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'95 till Infinity 061

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【 第3章: Legend / Myth / Summer of Death 006 】


パーティーはどこまでも続いた。

12時までという約束で借りた平日のクラブからは誰も帰ろうとせず、誰もがポケットの中の小銭を掻き集め、足して合わせてすっからかんになるまで呑み続けた。金がない奴はある奴にたかって、バーカンから身を乗り出して手の届く範囲の全てのボトルを盗んで俺たちは飲み続けた。

並べられたボトルの上に吊るされた時計の針もろくに見えなくなった頃に俺たちは店のスタッフに押し出されるように追い出された。

俺たちは誰かが両ケツのポケットから引きずり出したバーボンとジンのボトルを回しながら当時トーニが借りていたハイゲートの家まで歩き、そこでも終わりなきパーティーは続いた。

日が昇り、落ち、眠りへの入り口のドアノブに手をかけたまま、それを開けることも閉めることもできずにうつらうつらとしていた俺はトーニのソファーで目を覚ます。

足元にはジーンズから尻を出したスケーターが折り重なっている。朝方から昼にかけて吸い続けたスピードで鼻の粘膜は鈍い痛みと熱を持っていて、薄紙で包まれたカムダウン真っ只中の脳は現実との距離感をよく掴めない。

座ったまま俺は目の前のポケットから覗くよれよれのマルボロレッドのパケットをそっと引きずり出すし、そこから1本だけ拝借し、ゆっくりと元に戻す。誰だか顔も見えない持ち主は身動き一つもしない。俺はテーブルの上のライターをジーンズのポケットに入れて立ち上がる。

フロントポーチで煙草に火をつけ、煙を細く長く、ゆっくりと吐き出す。

上斜め45°に吐き出した煙はクレーターも見えるほどはっきりと見える満月へ上っていき、ゆっくりと一度深呼吸をし、夜のしっとりとした夜の空気を吸い込んで歩き始める。

フロントポーチからの階段を折りきったところで上半身裸で仰向けに寝ているカイロを発見する。

上半身は芝生の上、両手は歩道のコンクリートの上に投げ出されている。座っていた時には右手があったであろう場所には一休みのつもりで寝転がったのがわかる量のビールが残ったカールトン・コールドのボトルがぽつんと立っている。

煙草を吸いながら、寝息をたてるカイロをしばらく眺めた俺はカイロの腰のあたりを軽く蹴って歩き出す。

生まれたてのパーススケートシーンの伝説は不満一つない赤ん坊のように、盗られて困るものなんか一つもない行き倒れのように、ただただ眠り続ける。

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。