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6ヶ月「インサイドセールス」を担当した仮説・研究・法則性・手法特徴について

みなさま、こんにちは! 久しぶりに営業関連の記事を投稿します!
内容は「インサイドセールス」を半年ほど経験した研究・仮説・法則性・手法特徴のまとめとなります。読まれる方の参考になれば幸いです。

前提
この記事で記載する論点「最終的にお客様の課題解決ができれば良い」という観点に基づき、現状の現場での気づきをまとめたものとなります。執筆者の私はプロセスを重視するタイプなので、「営業手段」よりももう少し視野の範囲を広げた「マーケティング視点(not プロモーション)」に近いものです。
参考書籍:「The Model」「マーケティング・マネジメント」「確率思考の戦略論」「UXデザイン」「論点思考」「仮説思考」など

▼「ニーズの単位」は「法人単位」が基本である
非常に基本的なことですね。「ニーズの単位」とは、必要性や需要が発生する単位と定義しています。商材を問わずニーズ(需要)が発生する順序は、「法人>関連企業>部署>」となります。ここで重要なのは「BtoC(一般消費者向け)」は個人が決裁者ですが、「BtoB(法人)」では個人が決裁者とは限らず、法人(組織単位)の判断で決定がくだされます。

例を挙げるとA社にお電話をして担当者Aさんと話し「次の時期にお願いします」と終話になりました。しかし、使用していた営業ツールには5人分のメールアドレスの記載があり、テンプレを使用して1分で全て送ってみると3時間後、電話がつながらない取締役Bさんからアポイントの取得ができました。さて、ここで重要なのはアポイントが取得できたか?ではありません。

なぜ同じ組織であるのに1人には断られ、1人からはアポイントの取得ができたのでしょうか?これは組織における個々人の「関係性」・「認知」・「視点」・「課題感」・「緊急性」がそれぞれ異なるためです。例えば、取締役クラスの決裁者であれば組織全体の課題に緊急性を持っている場合もあれば、逆に担当者が現場に対して危機感を持っている可能性もあります。ようするに法人組織内において、個々人の認識がバラバラな可能性が高いので確率的に考えるなら、1法人に対し電話番号✕1・メールアドレス✕5であるなら全てアプローチした方が良い。という結論になります。(断られてもアポイントを取得できる保険の効果も発揮します。)

改めて論点は、「法人(組織)→担当者(個人)」のニーズを理解し、顧客起点で認識や行動を推測することであり、「メール」や「電話」などのアプローチはあくまでHow(手段)にあたります。

▼法人営業におけるアプローチ手段「メール」と「電話」
さきほど、法人営業においてまず「ニーズ」を顧客視点でつかむ事に触れましたが次はアプローチ手段について触れたいと思います。インサイドセールスがお客様にアプローチする場合、メインの手段は「メール」と「電話」の2択である可能性が高いと思います。ただ営業の書籍などでは、「電話」の話す内容にはよく触れられますが、「電話」と「メール」を活かすコミュニケーション軸の論点は少ないかな?と思いますのでまずは下記に経験則も含めた特徴を記載します。

◯メールの特徴
・本質的には「手紙」である
・相手の読みたい時間軸で見れる
・ニーズが強いほど反応確率が高い
・テンプレ活用で、大量に送信できるため母数を確保しやすい
・相手にデータとして残るので、後日返信の可能性もある
・「言語(文字情報)のみである」
・記録可能なので、再現性が非常に高い
・セールスライティングなど、意図的に論理構造を調整できる

◯電話の特徴
・本質的には「無線」である
・非言語の側面・UXの側面が非常に強く出る
・商談機会創出・ナーチャリングに適している
・ニーズの弱い相手から意思決定を引き出せる(1→10)
・架電した自分の時間と相手の時間を合わせる必要がある
・母数は少なく抜け・漏れが起こりがち(時間軸+対象顧客)
・再現性が非常に低い(温度感・時間・状況・関係性 etc…)

上記は正直、みなさまから見て異論がある部分かと思いますが、最も重要な点は「メール と 電話 は相互補完の関係性であるという事です」。

例を上げて説明すると「1法人に対し電話番号✕1・メールアドレス✕5」があったとします。決定権を持つ決裁者に電話をしてアポイントを取得したいのですが、決定権を持つ方は基本的に多忙でまず電話に繋がりません。なぜなら電話は「自分と相手の時間を合わせる確率」をくぐり抜けなければいけないからです。そこで考え方を変えて、ニーズがあるならメール位は読むだろうと前提を変えてみます。電話をした際に受付の方にメール送ったので伝言をお願いしますと伝えて、メールを2~4回程度おくっておきます。こうすると何が変わるでしょうか? この時かわったのは電話して繋がらなかった場合アポイントの確率は0%ですが、メール送付をした事で0.01%でも読む確率が発生しました。更に受付の方に伝言を依頼をした事で、もしかしたら0.01%が0.02%になったかもしれません。そして思い出して頂きたいのがメールは電話よりも母数効率が良いので、電話1件:5分と仮定すると、メールテンプレを用いれば、5分に10~15件程度は送信できます。重要なのは、「1法人に対し電話番号✕1・メールアドレス✕5」と仮定した際、メインの決裁者の抜け漏れを防ぐだけでなく、登録アドレス5つ分(0.01✕5)の確率も押さえていることです。さらにメールの特性「時間軸が関係ない」「データとして残る」があるため、2~4件ほど送付すれば「確率が累積される」のです。

少々、乱雑となってしまいましたので過去の事例を元に記載したいと思います。当時チーム内で起きた課題として、その月は繁忙期であり商材需要は高まっていましたが、同じリストを2ヶ月架電しており顕在的なニーズは狩り尽くしており、在宅が多く決裁者につながらない状態でした。そこで考えたのが「AIDMA(認知→反応→行動)」の理論を元に相手の行動をコントロールできないか?でした。前提として「ニーズ(課題感+緊急性)があればメール位読んで返信するだろう」という仮説を持って、さきほど述べたメールと電話を駆使した所、メール約700件に対し返信13件で返信率が約4~5%という結果になりました。受注・商談進行・ナーチャリングにも非常に大きな効果を発揮しました。副次効果としてメールは文脈(コンテキスト)を意識すれば、電話と違い再現性を確保する事ができたので、電話のみで苦戦していたチームにメール手法を共有した事で、体感で10~20%はメールでのアポイントが増加しました(チームにメールアポイントの効果検証機能がないため、私の主観的な観察データとなり恐縮です。)さらに私がさきほど記載した内容をチームで説明した際、当月のみですがメールKPIが10→50件と当該月のみ伸びるなど、一定の効果があったようです。(私がマネジメント層ではなく、プレイヤー層なのでどのような判断があったかは推測になりますが。。。)

ここまで読んで頂いて、感じられたかもしれませんが、メールについて効果の検証度合いが低くないか?と思われたかもしれません。またメールは営業文脈ではあまり議論にあがりません。これはなぜでしょうか? これは現場経験からの推測となりますが、1つは前提の誤解 と 2つ目は体感の差かと思われます。1つ目の前提の誤解とは、「リード創出(0→1)プロモーション」と「営業文脈」のメール返信は意味が全く異なる点です。前者の「リード創出(0→1)」は広告やイメージなど曖昧な認知・ブランドイメージからの行動を指す段階です。対して「営業文脈」の返信とは、サービス理解・課題への影響度・関係性・利用イメージなど具体的なイメージができた状態で返信しているのです。一見おなじ「メール返信」でも顧客起点で考えると意味が全く異なるわけです。2つ目の体感の差とは、営業担当者の感覚です。電話は誤解をおそれずいえば、原始的で直感的な媒体です。相手からの声の調子・自分の声と話す内容・キャッチボールと自分がアポイント取得までの流れを実感できます。対して「メール」はどうでしょうか?営業視点ではメールを送ったとしてもなぜ?返信がきたか?が体感的には分かりづらいのです。このメール返信という分野は、どちらかというと論理の分野(マーケティング理論、UXデザイン、リサーチ、顧客起点、ライティングなど)です。推測となりますが、このあたりの事情が「電話」のみ「メール」のみといった考え方になっている可能性があります。

▼現状の仮説「論理ベースから感情訴求(UX・意思決定・ブランドへ)」
私自身の考え方は、最終的にお客様の課題解決ができるなら、倫理的に問題なければ手段は問わない。という考え方です。今回取り上げたメールはたまたま私の考え方に合っていました。そして最近の研究テーマとなっているのですが、「法人営業はむしろ感情的な側面で意思決定しているのではないか?」です。メールでアポイントを取得すると文章でヒアリングできるので大量の情報を取得でき論理的にニーズはあるはずですが、受注と商談進行についてはゆっくり進みます。逆に電話でアポイントを取得したものは、企業によりますが少ないヒアリング情報でも商談進行や受注が早い場が多いです。この差異を考えるなら、「メール」では論理的な情報を大量に引き出せますが感情的訴求にはなっていないので意思決定が長くなる(一見するとすぐに決まりそうなものですが。)、「電話」は非言語および潜在的なニーズに加え顧客とのキャッチボールによる感情訴求と信用を作ることができるため意思決定が早くなる傾向にあるのではないか?と考えています。
私は元々「BtoC(一般消費者)」の営業です。BtoC(一般消費者)とBtoB(法人)この2つの軸で考えた際、むしろ感情的な決定をするのは「BtoB(法人)」だと感じています。「BtoC(一般消費者)」の製品は選択肢が多く緊急性が薄いので、よほど相手に扱う製品の必要性を理解してもらえるか?にかかってきます(ブランディングの視点からも必須ですし、何より本人がお金を出すというハードルを超えるのは容易くはありません)。対して「BtoB(法人)」は課題解決の商材が多く、感情的な思考も「不快(ー)→快(+)」ようするに、目の前の課題から楽になりたい。という心理も働きやすいのではないか?という仮説を持っています。そして「BtoB(法人)」は本人のお金ではないので比較的決定のハードルは低いですが、長期かつ複雑性が強いからこそ相手への信用・感情的な関係性の重要が高いのかもしれません。

最後に。
ここまでお読みいただきありがとうございました。まだまだ研究中のテーマでしたが、読まれた方の参考になれば幸いです。

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