公文 明 akira9mon

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Moon River

 毎朝、出勤の電車の中で、半分寝ながら音楽を聴いている。眠りを誘うような静かなクラッシックやジャズになる。今日はたまたまMoon Riverのバラードが耳に入った。後で確…

リングプル

 学生時代ぐらいだから、ずいぶん以前の話だ。父と一緒に、奈良の田舎の広い何もない丘に行った。なんでも昔の遺跡で、それを示す柱が立っていた。父が歴史好きで、旧跡に…

幸福の木

 オフィスに幸福の木がある。席の移動があり、なんとなく面倒をみることになった。  1.5メートルぐらいの高さで、直径3センチぐらいのひょろっとした幹で、てっぺん…

北新地

 新地のKのマスターは、出身校は東葛だと言った。東葛とは千葉県の東葛飾高校のことで進学校である。何かの折に、千葉の成田での仕事から帰ったばかりであること、生まれ…

淀屋橋

 冬の夜、9時ごろだろうか、いつものように京阪を淀屋橋で降りて北に向かった。少し酔っていたようにも記憶している。  日銀の前の通りは人通りもなく、占いが2つぐらい…

優曇華の花

 小学校低学年のころ、ある思いが心を捉え、さらに他の思いと結びつき、暗い気持ちで、いたたまれなく過ごしていたことを思い出す。  目を開けると外の景色、明るい光が…

てるてる坊主

 てるてる坊主の記事が出ていた。映画の天気の子にも出てくると書いてある。  記憶の、初めててるてる坊主を作ったことを書いておく。  京都の記憶だから、3〜4才の時、…

Moon River

 毎朝、出勤の電車の中で、半分寝ながら音楽を聴いている。眠りを誘うような静かなクラッシックやジャズになる。今日はたまたまMoon Riverのバラードが耳に入った。後で確認したらカーラ・ブルーニというかなりいろいろと有名な人物だった。
 歌詞の中のMy Huckleberry Friendが、前から気になっていて、トム・ソーヤの友で、無二の親友らしいから、そのような意味で使っているのかと勝手に思っ

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リングプル

 学生時代ぐらいだから、ずいぶん以前の話だ。父と一緒に、奈良の田舎の広い何もない丘に行った。なんでも昔の遺跡で、それを示す柱が立っていた。父が歴史好きで、旧跡にいくと、そこの物語をよく説明してくれた。そのうちの一つだが、ある出来事によってまだ覚えている。
 その丘は、深く雑草で覆われていて、全て枯れて薄い茶色だったので、冬のことと思う。
 父と離れ、少し分け入ると、草に紛れて薄茶色の小さな蛇がスル

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幸福の木

 オフィスに幸福の木がある。席の移動があり、なんとなく面倒をみることになった。
 1.5メートルぐらいの高さで、直径3センチぐらいのひょろっとした幹で、てっぺんだけに40〜50センチの細長い葉が10枚ほどついている。
 幹をつかむと、からからで空洞で、茎と呼ぶことにする。葉は元気だ。鉢の土が少なくなって、ひょろっとした茎はふらふらと揺れる。
 時々水だけはやっていた。根も緩いのか、だんだん傾いてく

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北新地

 新地のKのマスターは、出身校は東葛だと言った。東葛とは千葉県の東葛飾高校のことで進学校である。何かの折に、千葉の成田での仕事から帰ったばかりであること、生まれが千葉県であることからそんな話になったと思う。
 最初に行ったのは、国際部の連中に連れて行ってもらった時である。新地の中ほどの5階建てぐらいの細長いビルで、一つのフロアーに一軒ずつ店があり、2階にあった。形態はフィリピンパブが一番近い、フィ

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淀屋橋

 冬の夜、9時ごろだろうか、いつものように京阪を淀屋橋で降りて北に向かった。少し酔っていたようにも記憶している。
 日銀の前の通りは人通りもなく、占いが2つぐらい、小さな机にうっすら光る四角い行灯をつけて闇に沈んでいた。
 「いくらですか」
 そのうちの一人に声をかけた。
 「二千円です」
 「それじゃお願いします」
 若い女の占いは、左手を手に取り、懐中電灯で照らしながら、考え込むように凝視して

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優曇華の花

 小学校低学年のころ、ある思いが心を捉え、さらに他の思いと結びつき、暗い気持ちで、いたたまれなく過ごしていたことを思い出す。
 目を開けると外の景色、明るい光が入って来る。記憶では、陽射しが強い、校庭の遊具で子供たちが遊ぶ光景が浮かぶ。自分側は、目の形の真っ黒な方だ。目をつぶるとよくわかる。真っ黒だ。この僕は、あくまでこの暗い側で、目の前にいる他の子なんかにはなれないんだ。どの瞬間でも、一度もなれ

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てるてる坊主

 てるてる坊主の記事が出ていた。映画の天気の子にも出てくると書いてある。
 記憶の、初めててるてる坊主を作ったことを書いておく。
 京都の記憶だから、3〜4才の時、作ろうと思ったのだから雨だったのかと思う。
 コタツのテーブルの上に丸めた鼻紙があった。それにもう一枚の鼻紙をかけて、てるてる坊主を作った。母に見せると「鼻をかんだ紙だから汚い」と捨てられてしまった。そして、新しい鼻紙で作ってくれた。僕

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