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パラグライダーで墜落。そして入院。その7 ~リハビリと強い意志~

墜落してから15日~20日あたりの頃の話です。
骨盤と左踵の本手術が終わって3日くらい経った頃、いよいよリハビリがスタートしました。とは言っても、まだ腰の方は本手術が終わっていないので、軽いものとなります。両足ともある程度は動かすことはできますが、動かせる範囲も限定的ですし、力も入りづらいくらいのレベルです。主な内容は寝ているベッドの上でマッサージと補助を付けてもらいながら10回、20回動かす程度の筋トレのメニューでした。

自分の病院では患者一人に対して理学療法士と作業療法士が一人づつ担当につきます。可能な限り担当の人がリハビリをする形となります。ですが、作業療法士は人数が少ないため、受け持つ担当が多くてなかなか入れないことがあります。また、療法士さんたちも休日はあります。なので担当の人が入れない時は代わりの療法士さんが入ります。メインの人は決まっているけれど、諸事情で他の人もちょくちょく入る、そんなスタイルで1時間のリハビリが1日に3回あるというものでした。

そんな感じのシステムでスタートしたリハビリ。まずは退院後のイメージを聞かれたので正直に伝えました。

「カメラマンとしてもパラグライダーのパイロットとしてもまだまだやり残したことが沢山ある。。。こんなところで終わるわけにはいかない。
だから当然カメラマンとして復帰したいし、またパラグライダーで飛べるようになりたい。そして可能であるなら、またワールドカップを目指せるくらいになりたい。だから体は可能な限りもとに戻したい。その為ならリハビリが辛いものになろうが自分は耐えてみせる。完全復帰をめざしたい。」

そう。こんな悲惨なことになってしまいましたが、自分はまた飛びたいと思っています。これに関してはパラグライダーをやったことない人にはなかなか理解してもらえないことが多いです。こんな目にあったのになんでまた飛びたいと思うの?とよく言われます。

この気持ち、犬で例えるとわかりやすい気がします。
外を思う存分走り回ったり、歩き回って散歩する楽しさ、その素晴らしさを知っている犬がいたとしましょう。その犬が何かのアクシデントで大怪我をしてしまったといます。きっとその犬はまた外で遊びたいと思うはずです。そして治って外へ散歩へ連れて行かれたら笑顔で思いっきり走るはずです。

自分にとってもパラグライダーはそんな存在なんです。そこにあるのはピュアな気持ちなんです。大きな喜びをくれる、自分にとって、とてもとても大切なものなんです。生きてる理由の一つといっても過言ではありません。

だから、必ずまた飛びたいんです。どうしても体は元に戻したいんです。

自分の担当になった理学療法士Kさんと作業療法士Rさんは二人共とても素晴らしい方たちでした。二人は自分の気持ちを汲み取ってくれて、完全復帰にむけた通常よりもハードなメニューのリハビリを作ってくれました。

もちろん最初は体の限界があるのでかなり軽めのものでしたが、自分の体の許す範囲で日に日にハードにしていってくれました。

そんな感じではじまったリハビリ。そんな中で腰の本手術の日程も決まりました。墜落から23日後の日に決まりました。意外と日が空くのでびっくりしたのですが、大きな病院で手術が立て込んでいた関係で日程としては大分遅くなってしまったそうです。

実は待っている間にリハビリは結構進んでいて足は結構動くようになってきていました。ですが手術の日程を伝えられた時にあるちょっと恐ろしいことを言われました。
「圧迫骨折した骨が神経に当たっているのでその関係でやってきたリハビリがふりだしに戻る可能性も0ではない」とのこと。

わかっていました。先生はあらゆる可能性のことを伝えなければなりません。そうなる可能性はかなり低かったとしても説明しなければいけないと。でも、、、改めて言葉にされるとやっぱり怖くなってしまいますよね。。。

大丈夫、ここまでリハビリで足は動くようになったんだ。またふりだしに戻ったって今の自分ならまた頑張れる。そう思いました。いや、自分にそう言い聞かせました。

そして最も重要な、運動機能や後遺症に大きな影響のある腰の手術の日がやってきました。
俺は、、、かなり緊張していました。

手術の時、この緊張があるちょっとした悲劇をもたらしたんです。

続く。




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