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2020年3月のパリ日記

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後にも先にももう体験することはないであろう3週間の出来事と気持ちを綴りました。
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2020年3月のパリ日記#06 3/28〜31

2020年3月のパリ日記#06 3/28〜31

[3月28日(土)]

夜中、振動で目を覚ました。
電話が、震えている。
仰向けのまま、途端に緊張した。

画面を見ると、父の名前が表示されていた。
4:01。
ひとつ大きく息をしてから、出た。
「もしもし」

「……うーん……もしもし」
妙な間があった。
どうしたの?と聞くのを堪え、黙っていると
「いまさあ、置いたら、かかっちゃったんだよ」
「え……!?」
「いや、電話を置いたらさ、かかっちゃっ

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2020年3月のパリ日記#05 3/25~27

2020年3月のパリ日記#05 3/25~27

[3月25日(水)]

もともとは、3月に入ってすぐ、日本に帰国するつもりでいた。
3月21日にパリに戻る予定で航空券も取っていたのだが、考えた末やめたのは、フランスに入国できないことになったら困る、と思ったからだ。
2月の終わりの時点では、パリはまだほとんど危機感のない状態だった。それでも事態がどう転ぶかはわからない不確かさは感じられた。
2月27日に、日本で、全国の小中高を翌週から一斉休校とす

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2020年3月のパリ日記 #04 3/20~24

2020年3月のパリ日記 #04 3/20~24

[3月20日(金)]

春分の日。

外出禁止の措置が取られてから、気持ちを晴らす役割を担うのは空、とでもいうかのようにお天気が続いている。

連日、朝晩ゆっくりとヨガをして、夜は新聞や雑誌を持ちこんでゆったりお風呂に入った。
そして朝も、湯船に浸かって、身体をほぐした。

例の「もし咳が出る、熱があるなら、あなたは病気かもしれません。その場合は、家にいてください」のメッセージは、ラジオから1時間

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2020年3月のパリ日記#03 3/18~19

2020年3月のパリ日記#03 3/18~19

[3月18日(水)]

とてもいい天気だった。

朝、目が覚めると、傍に置いている婦人体温計に手を伸ばし、口に突っ込む。
いつものその動作をしようと体温計のありかを手で探り、ちょっと首を動かした時に、異変を感じた。
ん? 寝違えた?
背中が板になったかのようだ。ベッドと一体化してしまったかと思うほど、動かない。
頭もしかり。枕で型取りでもするかに思えるほど、すっぽりはまっている感じがした。
寝違え

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2020年3月のパリ日記#02 3/15~3/17

2020年3月のパリ日記#02 3/15~3/17

[3月15日(日)]
早朝、モトピケのマルシェに行った。
これから外食がいっさいできないとなったら、おうちごはんが楽しめる!とたくさん料理をする気で、出かけた。
自宅の近くに出るマルシェにも来ている生産者さんや、お花屋さんがいて「あれ? 今日はこっちまで来たの?」と聞かれたりしながら、充実の買い出しとなった。
このマルシェには、卵専門の店が出ていた。数種のチーズを売る農家のスタンドでは、自家製らし

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2020年3月のパリ日記#01  3/12~3/14

2020年3月のパリ日記#01  3/12~3/14

ひと月半ほど前から大きく変化したパリでの日常を綴りたいと思います。

[3月12日(木)]
夜20時から、大統領のテレビ演説があった。
来週月曜から学校は休校(保育園から大学まで)、70歳以上の不要不急の外出禁止、屋内・屋外問わず1000人以上の集会の禁止(日曜に予定されている地方選挙のような、国家に必要不可欠なケースは例外)、企業は可能なかぎりテレワークに切り替えるなど。

[3月13日(金)]

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