見出し画像

自転車でロワール古城めぐり

10日間かけて、古城で有名なロワール地方を自転車で周りました(2019年7月)。フランスの北部に位置するパリからは、南西方面へ電車で2時間くらい。ワインの生産地でもあり、安くて美味しいワインを毎晩飲みながらの自転車+キャンプ旅行でした。

ロワール川流域には数百もの古城が点在しており、世界遺産にも登録されているので、フランスが好きな人は知っている人も多いかもしれない。私も以前からその景観の素晴らしさについては耳にしていたし、平地なので自転車で走るのにも向いているから一緒に行こうと、自転車好きの夫からも度々話が出ていた。

フランスに来てから通算3度目となるこの自転車旅行(寝泊まりはキャンプ場)、1度目(フランス南部3週間:2016年8月)も2度目(フランス西部6日間:2017年8月)も、私にとっては中々過酷な要素を含んでいた(体力的・精神的共に)。だから純粋に久しぶりで楽しみな気持ちと、次は何が来るかと若干身構える気持ちとが同居していたのだが、そこは自転車乗りが多く集まるロワール地方のこと、自転車専用道も整備されており、そうでなくても車も自転車に慣れている様子で、旅の最初から最後まで、楽しみながら走り通すことが出来た。この地方特有の、青みがかった濃い灰色の屋根が続く街並みや、深く澄んだロワール川を横目に見ながら気分良く自転車を漕いだ。

私達のように自転車で旅行している人をよく見かけた。60代くらいのカップルも少なくなく、皆溌剌としており、大きなバッグを前に後ろに括り付けて走っているのを見ると、荷物は夫に全部お任せの自分が少々恥ずかしかった(しかし、夫との体力差を考えると、うちはこれが妥当なのだ、と思う)。

さて、どのようなルートで周ったのかというと、まずパリからブロワまで電車で行き、そこから自転車で、西へ150km近く離れたソミュールまで、キャンプ場でテントに寝泊まりしつつ、1日当たりの走行距離は大体25~45kmくらいで走っていた。その際訪問した城(修道院含む)は以下の通り。

1. ブロワ《Blois》城
2. シャンボール《Chambord》城
3. シュヴェルニー《Cheverny》城
4. ショーモン《Chaumont》城
5. シュノンソー《Chenonceau》城
6. アンボワーズ《Amboise》城
7. クロ・リュセ《Clos Lusé》城
8. ヴィランドリー《Villandry》城
9. ランジェ《Langeai》城
10. アゼ=ル=リドー《Azay-le-Rideau》城
11. ユッセ《Ussé》城
12. シノン《Chinon》城
13. モンソロー《Montsoreau》城
14. フォントヴロー《Fontevraud》修道院
15. ソミュール《Saumur》城

今回分かったことは、外観と内装、そして歴史的背景の面白さ(見せ方とも言える)、この三つが三拍子揃う城は、そうそうない、ということ。そして城と言ってもこれだけあれば似通いそうだが、これが皆結構バラバラで個性的なのだ。良くも悪くも。蓼食う虫も何とやら、で順位付けにあまり意味はない気もするけれど、今後ロワールを巡ろうかと考えている方の参考になれば、と個人的オススメを書いてみる。

【総合一位】シュノンソー城
外観・内装・歴史と三拍子揃った城は何処なのかというと、それはシュノンソー城である。ちなみにこれは夫とも意見が一致した(日仏合意、笑)。川の上に張り出した回廊が特徴的な外観、内装は特に壁紙の配色や柄等のセンスの良い部屋が幾つかあり、それぞれの部屋に物語があるというか、そこに住んでいた人を感じさせるのだ。特に気に入ったのは、繊細な細工の施された木の天井と、濃い緑の壁で囲まれた小さな図書室で、16世紀の城主カトリーヌ・ド・メディシスが使用していたという部屋。心地よい風の入る窓からは、川と緑が目に入る。こんな所で私も読書に耽りたい。カトリーヌは歴史的背景においても中心人物で、その夫であった国王アンリ2世と、王の愛妾ディアーヌ・ド・ポワティエとの関係が一筋縄では行かないもので、様々なエピソードに溢れている。ディアーヌはアンリ2世より20歳近く年上で、彼の教育係でもあった。と、ここまででも十分インパクトがあるが、各人物像にも諸説あるようで、数百年経った今でも人の興味を惹きつける、存在感抜群の城である。
【外観編】
シャンボール城:森の中を通り抜けて、パッと開けた視界に飛び込んで来たその姿を見た時に、思わず「おお」と声が漏れた。よく見ると色々な幾何学模様が混じった細工がされていて、小さな煙突(?)のような塔がいくつも立っている、独特な形状をした城である。
ショーモン城:重厚感のある城の外観はもちろんのこと、周りの庭に咲く花の配色に唸らされた。青、水色、薄紫、紫、白で統一された花々がとても品良くまとまっていた。
アンボワーズ城:日本の城下町のように、城が街を見下ろす形で配置され、こじんまりした街の雰囲気も含めて気に入った。
【特別編】
アゼ=ル=リドー城:小さく可愛らしい外観が印象的な、白い壁の瀟洒な城。幾つかの城で現代美術の展示があったが、ここが一番、城の雰囲気を壊さず上手く溶け込んでいた。
クロ・リュセ城:レオナルド・ダ・ヴィンチが晩年を過ごした城。彼の発明品の模型がたくさん展示されていて興味深い。広々とした庭にも、発明品の模型(大)が幾つもある。ビシッと整えられたフランス式庭園とは違う、植物園のような庭は歩いても楽しい。

ロワール地方は今回が初めてだったけれど、川の近くに住むのもいいな、と思うくらいに好感触で、また是非行きたい所の一つとなった。大きな森もあり、野生のイノシシの親子や、野ウサギ、キツネを見られたことも大きいかもしれない。パリとはまた全く違う魅力を持つロワール、フランス好きな方には是非一度訪れてみて欲しい場所である。

この記事が参加している募集

振り返りnote

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?