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夏時間《サマータイム》とフランス語

3月初旬にフランス移住したせいか、夏時間→村上春樹→語学習得の振り返りと、見事に話が逸れて行きました。この6年、振り返ればあっという間。

3月の最終日曜日、午前2時になった瞬間、時計の針が3時へ進む。この1時間のワープが欧州の夏時間開始の合図。
今年は不思議と午前2時に目が覚めてトイレへ行き、それから暫くどうにも寝付けず仕方なく本と携帯片手にキッチンへ。オーブンに付いているデジタル時計は4時を過ぎていて、2時間も眠れずにいたのか、と驚いたのち、そうそう夏時間になるんだっけと時間を合わせて5時過ぎに。何だか妙な気分だった。そうこうしてるうちに夫も眠れないと起きてきて、こんな早朝でも目覚めていれば小腹が空くもので、二人でたわいもない話をしつつ、牛乳をかけたミュエズリ(鳥の餌のような笑、シリアルの一種)を食べた。

最近読んでいるのは村上春樹の「羊をめぐる冒険」の仏語版。まだ初めの方だけれど、カミュの「ペスト」よりは長続きしそうな気がする。「ペスト」は時事的に照らし合わてみたいと夫の本棚から拝借したが、知らない単語が多過ぎた。ただ、それでもコロナとは比べ物にならない致死率の高さで(何せ本当にバタバタと周りの人が亡くなって行く)、何か恐ろしいものが日常に現れ、ヒタヒタと迫ってくる恐怖感や、当時の社会の空気の重さは十分感じられた。

村上春樹は日本語ではほとんど手をつけなかった作家で、読んだことがあるのは「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」「1Q84」だけ。「1Q84」は2年程前、まだ語学学校に通っていた時に学校の図書館で仏語版を借り、途中で挫折し、日本語版を借り直して読んだ。その時、仏語で把握していた、ぼんやりと霞んだような話の輪郭が、日本語で読み始めた途端、突然くっきりと鮮やかに脳内に飛び込んで来て、びっくりしたのを覚えている。そして村上春樹のこの独特の空気感や、こなれた言葉選びを堪能するには、やはり日本語でないと勿体ないなと思ったものだ。しかし今「1Q84」を仏語で読んだら果たして読み通せるだろうか、というのも少し気になる。

フランスに来てこの3月でちょうど6年が経ち、仏語の習得歴を振り返ると、大体このような結果に。

《1年目》独学(ネット・参考書)〜A2:日常会話は英語と仏語両方
《2-3年目》近所の仏語講座(ほぼ無料)〜B1:仏語に完全シフト
《4-5年目》パリの市民講座・格安語学学校 〜B2:DELFB2は5年目に取得
《6年目-現在》独学(ネット・読書):C1以降は未定

のんびりペースだけれども、コスパは良い方ではないか?
一人でも臆せず余裕のある精神状態でいられることは、生活する上でとても大事だと思うので、やっとここまで来たかと感慨深い。本当によく頑張った、自分。ストレスフリーまでもう少し。
ただ試験となると話は別で、それなりの準備が必要+試験時間の長さ(5時間半‥)で足踏み状態。資格として必要な場面も今の所ない(B2は10年滞在許可証申請で、正式な語学能力証明が必要となり取得した)。

現在は、主にTwitterとNetflixが仏語教材。読書は毎日寝る前に少しだけ。Twitterは短文で読むのが苦にならないのと、皆話すように書くので自然な言い回しが豊富。そして色々な人をフォローすれば、ニュース等を参考にするよりも、語彙や表現のバリエーションが拡がるかも?
Netflixも現代的・日常的な仏語を学ぶのに便利(学校で習うのと、普段耳にするのは開きがあるので)。特にNetflixのドキュメンタリーはフランスの社会問題や歴史に関する物も多く興味深い。興味のあることは印象に残りやすいし、楽しく勉強にもなるので、私のように飽きっぽく投げ出しやすい体質の方には笑、特にオススメの教材。


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