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【姉妹ならではの居心地の良さ】カフェ「Sunday mood」|オーナーインタビュー

素敵なモノや場所に出会うと、その背後にあるストーリーが知りたくなることはありませんか?

私にとっては、大阪府池田市にあるカフェ「Sunday mood」がそのひとつ。いつ訪れても居心地の良い空間は、美味しいメニューやお洒落な雰囲気だけでない、特別な何かが隠れていそうです。

それをヒモ解くべく、オーナーの石光 慶子さん(姉)と咲子さん(妹)姉妹のもとへ。お店を始めるまでのいきさつやお互いのこと、お店に対する想いなど…色々な角度から深掘りしてみました。

姉の慶子さん
妹の咲子さん

* 営業時間内での取材につき、姉の慶子さんのみにお話を伺っています。

この記事は、こんな人にオススメ
・カフェや喫茶店に魅力を感じる方
・他者の経験や物語に興味や関心のある方
・新しい視点や価値観に触れたい方


誰にとっても居心地の良い空間

白を基調としたお洒落な空間

訪れたのはオープン直後の10時すぎ。それにも関わらず、店内には既に先客がひとり。60代半ばほどの男性です。窓際の席で新聞を広げてくつろぐ姿は、どこかで見たことが…。そうそう、昔ながらの喫茶店。が、しかし、ここはお洒落なカフェ。

どこか不思議な気持ちで眺めていると、それに気付いたのか「閑静な住宅街の中にお店があるので、近くに住む年配の方やご家族連れも気軽に立ち寄ってくださいます」と慶子さん。なるほど。

日曜日を過ごすような気分を味わって欲しい。そんな願いが込められた店名「Sunday mood」。ここは年代や性別を問わない、誰にとってもくつろげる場所であることは、先ほどの男性を見れば一目瞭然。

カフェも「2人でやれば絶対に楽しい」

お2人は7人兄弟の長女と三女(!)慶子さんは高校生の時にコーヒーのチェーン店「スターバックス」にハマったことをきっかけに、カフェ巡りが趣味に。色々なお店に足を運ぶうちに、“いつか自分もカフェをやりたい”と夢を抱き、短大卒業後は迷わずカフェで働き始めます。

店内の様子

一方、咲子さんが選んだ道は自衛官。
実は、石光家は祖父母の代から続く自衛官一家で、咲子さんがその道に進むのは、ごく自然なことでした。

しかし、入隊からおよそ6年。「色々なことが重なって、妹が辞めたいと言うようになったんです。でも、自衛官として家族の期待を背負っていたので、両親にはなかなか言い出せなくて…」。泣きながら続けようとする咲子さんの姿が、慶子さんにはもどかしくてたまりませんでした。

<なんとかしたい>解決の糸口を探すうちに、それまで憧れていたカフェを咲子さんと2人で始めることを思いつきます。姉妹の中でも咲子さんとは特に気が合い、好みも似ている。2人であれば、楽しみながら自分たちらしく働けるはず、そんな確信がありました。

ところが、肝心の咲子さんは「うまくいくはずがない」と首を横に振るだけ。諦めきれない慶子さんは、時間をかけて説得を続けます。そして、3ヶ月が経つころ、ようやく咲子さんは仕事を辞めることを決意。心配する家族の反対をよそに、2人はお店作りをスタートさせました。

ところが、すぐにつまづくことに。地元の豊能町で始めた物件探しは、空き家バンクに登録しても2〜3年待ちの状態。これは、近年郊外に家を持つ人やお店を始める人が増え、豊能町もその候補となっていることが大きな要因でした。

そのため、地元にこだわることをやめ、さらにはSNSを活用。自分達の好みにあった物件をアテンドしてくれるプロのコーディネーターに辿り着き、今の物件と出会いました。

薄いカーテン越しの光が心地よい

「この建物は、一面ガラス張りなのが気に入っています。店内が明るいとそれだけで気分も明るくなりますし、<日曜日のような気分を味わって欲しい>というお店のコンセプトにもピッタリ。あと、静かなこの環境も良かったですね」。沢山の人が行き交うザワザワとした場所は苦手なのだとか。

そして2021年10月、念願のカフェ「Sunday mood」をオープンさせました。

対照的な姉妹だから出来ること

慶子さんは、長年カフェで働いていた経験を活かして、接客とコーヒーを担当。ケーキ作りを担う咲子さんは、子供の頃からお菓子作りが大好き。
慶子さんが勤めていたカフェの先輩にアドバイスをお願いし、試作を繰り返しながら独学のレシピを完成させました。

<お店の看板メニュー> コーヒーとパウンドケーキ

新作のケーキのアイディアを考えたり、それを形にするのが咲子さんのお気に入りの時間。接客とキッチン、それぞれの得意が違うことで、ちょうど良いバランスを保っています。

「仕事の担当もそうですが、性格も真逆なんです。私は楽観的でどちらかと言えば適当ですが、妹はきっちり分析するタイプ。全く違うからこそうまくいっているんだと思います。でも、3ヶ月に1回くらいの割合で大喧嘩もします、笑」。

「今は毎日が充実していてとても楽しい」という笑顔に、2人でお店を始めるという決断が間違いではなかったことがうかがえました。

今でも続く慶子さんのカフェ巡りのお相手も咲子さん。自分達のお店のヒントに繋がる発見もあり、趣味と実益を兼ねています。仕事もプライベートもほぼ一緒の2人。時にぶつかり合いながらも互いに補い合い、自然に寄り添えるのは姉妹ならでは。

当初、カフェをやることに反対していたご家族も今では頻繁にお店を訪れ、全面的に応援してくれる心強い存在です。

大切にしている思い

「日々、沢山の方に足を運んでいただいて、ありがたいです。感謝しかありません。お客さまに喜んでいただくことが一番嬉しいことですが、私たちもお客さまから幸せな気持ちをいただいています」。

お店の外観

取材の間、何度も“ありがたい”と手を合わせ、お客さんのことも“お客さま”と呼ぶ真摯な姿に、この場所を大切に思う気持ちが溢れていました。

そのため、時にはこんな場面も。
「くつろがれているお客さまのとなりで、写真を撮るために立ったり歩いたりする方がたまにいて。そうなると、私たちのほうが何だか申し訳ない気持ちになるんです。私もカフェ巡りが好きなので記録に残したい気持ちは分かるだけに、どうお声掛けすれば良いのか…今後の課題です」。

訪れる人それぞれにとって心地良い空間であって欲しい、そう願う2人ならではの悩み。

これからの目標を尋ねると、「う〜ん…特にこれといってないんです(笑)。ただ、これから結婚や出産などで、それぞれライフスタイルが変わったとしても、少しでも長く2人で続けていければ嬉しいですね」とニッコリ。

2人並んで

肩ひじ張らない姉妹ならではのリラックス感と信頼感。そして2人のお店を愛する気持ちと感謝の心。そういった見えないものこそが「Sunday mood」の心地良さの原点なのかも。これからも大切に通い続けたい、そんな気持ちになりました。

慶子さん、咲子さんありがとうございました。(取材:2022年3月)

〜カフェ『Sunday mood』〜
住  所:大阪府池田市渋谷1丁目3-21
営業時間:10:00〜18:00(L.O. 17:30)
定 休 日 :月・木曜日
SNS: Instagram


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