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地方移住について考える

都市部に人口が集中する一方で、東京から離れて地方に暮らす人が増えている。

内閣府が実施した世論調査によると、2005年調査に比べ2014年調査では、30代の農山漁村への定住願望が17.0%から32.7%へ、40代では15.9%から35.0%へと伸びている。

積極的に住宅や子育て支援など優遇策をアピールする自治体が増えたことで、移住を本気で考える人も増えているようだ。

毎日新聞の記事によれば、実際に首都圏から地方へ移り住んだ人は8169人(2013年度)で、4年間で2.9倍も増えているという。

首都圏からの移住者数は今後ますます増加していきそうだ。

なぜ移住するのか

地方移住を希望する人が増えているのなぜだろうか?

平成 26 年に実施された東京都の調査結果によると、年代別によってさまざまな理由があることが分かっている。

① 10~30代女性

「結婚・子育て」をきっかけ、「出身地や家族・知人等がいる」を理由にして地元への U ターンを考える人が比較的多い。

② 60代男女

「退職」などをきっかけとして、地域居住を考える人が比較的多い。

③ 30代男性

「転職」「退職」などをきっかけに「スローライフ」を理由として地方移住を考える人が多い。
※「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」の調査結果を抜粋

調査では、移住を検討するに当たって重視する点として、生活コスト、日常生活や公共交通の利便性、仕事、医療・福祉施設の充実を挙げる人が多いことも分かっている。

また、出身地以外の地方への移住(I ターン、J ターン)を考えている人の 4割の人たちが、「移住に関する情報が十分でないと感じている」など、地方移住を阻む問題点も明らかになっている。


地方移住の現実

ストレスが溜まりやすい都会と比べて、地方は自然が豊かで生活もしやすい。

そんなイメージが強い地方移住だが、現実はそれほどいいことばかりではないらしい。

田舎で子育てしようとIターンしたら、のびのびしているのは老人だけだった。

この記事を読むと、広々とした公園はあっても遊具がほとんどなく、必ずしも子育てしやすい環境だとはいえないようだ。

周囲には高齢者が中心で、高齢者向けのイベントが中心。

保育園の倍率も意外に高く、主婦が正社員で働けるような求人はほぼないこともわかる。


この記事の関連記事も読んでみよう。

「田舎の子育て」は不便なのか。高知の限界集落で子育てしているぼくが語るよ。

この記事を読むと、同じ地方でも子育てしやすい場所があることがわかる。

移住者同士での交流がさかんにあり、社会勉強もできる。

子供向けのイベントもあって、子供に商売も教えられるなどさまざまなメリットがあるようだ。

地方には2種類ある

先の二つのブログを読むと、同じ地方でも2種類あることがわかる。

一つは「高齢者中心の活気のない場所」。

もう一つは「移住者の多い活気に満ちた場所」。

最初に紹介したブログはおそらく九州の地方都市に住んでいる人(福岡周辺?)が書いたもの。

もう一つは高知県の限界集落と言われる「嶺北」地方に住んでいる人のもの。

同じ地方でも、これほど差があることに驚かされる。

移り住むならやはり後者のように比較的移住者が多く、活気があるところが望ましい。

人気のある移住先はどこ?

「移住・交流情報ガーデン」(東京)の調査によると、もっとも人気のある移住先は長野県で、2位は北海道、3位は山梨だった。

長野県は首都圏に近く交通アクセスがいいことで人気があるらしい。

また、移住相談会にも力を入れており、積極的に移住を働きかけたのも影響しているようだ。


長野は移住者が多いので、移住者通しの交流も盛んになるかもしれない。

ただ人口が増加すれば、都市化する恐れがあるので気をつける必要があるだろう。


地方といえども、必ずしも子育てしやすい環境であるとはいえない。

一歩間違えれば、高齢者中心の活気のない場所で暮らすことになってしまう。

地方移住を考える際には、その地域の特徴をよく調べてうえで判断した方がよさそうだ。

移住するなら「Uターン」? それとも「Jターン」?

首都圏から全く知らない地方へ行くのは不安。

そんな人が真っ先に考えるのが「Uターン」だ。

生まれ育った地域のために家族や親戚、友人なども多く、その地域特有の事情も知っている。

しかし、移住を希望する人は必ずしも「Uターン」を選択する人たちばかりではないようだ。

株式会社インテージリサーチが一万人を対象に行った調査では、「Uターン」を希望する人は全体の5.5%にすぎないことが分かっている。

「Uターン」に次いで多いのは、「Jターン」(4.3%)で、「Iターン」(2.4%)を希望している人もいる。

「J ターン」とは、生まれ育った地域から違う地域(主に都市・都会)に進学や就職などで移り住み、その後故郷とは異なる地域に移り住むことだ。

治安の良さや生活コストの安さ、公共機関や医療機関などの環境が整っているかどうかで、移住後の生活も大きく変わってくる。

生まれ育った場所が生活するのに十分な環境が整っていない場合は「Uターン」よりも「J ターン」を選択した方がいいだろう。

地方移住したくてもできない理由

認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」では全国約850地域と連携し、田舎暮らしやIJUターン、田舎と交流をしたい人たちを積極的に支援している。

公式サイトでは全国のイベントやセミナーのほか、田舎での生活を疑似体験できる「体験ツアー」の情報なども発信。

地方移住を希望する人の相談会や交流会の情報も豊富に公開されている。

しかし、サイト上では地方の現状をリアルタイムで発信するメディアは紹介されておらず、現状では自分で地方で暮らす個人ブロガーなどから情報を探すしかない状態が続いている。

また、相談会や疑似体験ツアーなど移住を考える人たちのサポートは充実する一方で、すでに移住を決めている人たちに対してのサポートは充実していないのが現状だ。

特に移住を決めている人にとって最も重要になる「住まい」に関する情報はほとんど見受けられず、移住者が地元の不動産に問い合わせるなど、手間や時間が必要以上にかかることになっている。


先に紹介した株式会社インテージリサーチの調査では、移住を検討する上で困っている点として、「情報が十分でない」「情報の入手先がわからない」を挙げる人が比較的多いことがわかっている。

地方移住に関する情報は「ふるさと回帰支援センター」以外からも豊富に提供されているが、NPO法人側は移住者を決めた人のために「住まい」や「働き口」などを含めた、より生活に密着した情報を提供していくようにするべきではないだろうか。





地方移住等地方へのヒト(定住人口)の流れ - 国土交通省

地方移住:4年で2.9倍 「首都・近畿圏から」3割 毎日新聞・明治大調査

介護が始まる前に「地方移住」すべき5つの理由

地方の移住先、一番人気は? 総務省の相談窓口が調査

地方への移住定住がブーム

「れいほく田舎暮らしネットワーク」

※移住者の支援ネットワーク。移住希望者に対して物件の案内や、移住者とのマッチングを積極的に行っているらしい。インターネット環境も整備されているようだ。

1万人の移住意向調査 インテージリサーチ

U ターン、J ターン、I ターン 全国「1 万人」の移住意向調査

認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」





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