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フジロックに政治はいらない?

学生団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さんの出演が決定して以降、ネット上で「音楽に政治を持ち込むな」という意見がネット上で殺到している。

主にツイッターからの投稿が中心で、「音楽の政治利用だ」、「思想の持ち込みは勘弁」、「最近フジロックが妙に政治色をおびている」などという書き込みが目立った。

こうした動きに対し、ミュージシャンの後藤正文さんは、

「これまでいくつものNGOやアーティストがさまざまな主張をステージで繰り返してきた」と反論。

ネット上で広がる批判には、「フジロックのこと知らない人が言ってる」と一蹴した。

フジロックって何?

「フジロック」は7月22日から3日間、新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催される大規模な音楽イベントである。

始まりは1997年。いま各地で開かれる大規模音楽イベントの先駆け的な存在で、昨年の観客動員は延べ約11万5千人を記録している。

2011年以降、反核・脱原発を訴える「アトミックカフェ」を設け、反戦や原発問題に関するイベントも実施。

今年はその場所でミュージシャンの奥田さん、ジャーナリストの津田大介さんなどが「参院選を振り返る。安保法制、沖縄、憲法、原発」をテーマに対談する予定となっている。

こうしたフジロックでの活動をみれば、もともとフジロックは極めて政治色の濃い音楽イベントであり、ミュージシャン以外の人が参加しても何らおかしくないイベントであることがわかる。

そもそも1969年から始まった野外フェスの原点「ウッドストック」では、ベトナム戦争に反対する運動とも連動したイベントだった。

反戦運動を繰り広げていたアーティストの中には「ジョン・レノン」や「ボブ・ディラン」、「ミック・ジャガー」などもおり、音楽と政治はもともと強い結びつきがあったことも分かる。

本音は「娯楽へ逃げたい」だった?

ジャーナリストの津田大介さんは今回の騒動について以下のようにコメントしている。

「僕らが出演するアヴァロンというステージには、昔から音楽と社会問題を結びつけるトークプログラムがあるんです。それを知らない人が多い印象」「音楽家でもないのに、と誤解してたたいている人すらいる。現政権に批判的な立場の人間がフジロックのような有名なイベントに出ることを面白く思わない層が、『音楽に政治を持ち込むな』という理屈を付けてたたいているのかもしれない」(※朝日新聞より抜粋)

ここで津田さんが指摘しているように、ツイッターで書き込みしている人たちの大半は、フジロックで「音楽と社会問題を結びつけるトークプログラム」があったことは知らなかったのだろう。

またその結果、ミュージシャン以外の人間が有名な音楽イベントに参加しないことを面白く思わなかった人も多数いたと思われる。

しかし、少々気になるのは「純粋に音楽を楽しみたいだけ」と主張する人たちが意外に多いことだ。

「音楽だけを楽しみたい」という欲求は、政治の話が入ると、「純粋に音楽が楽しめなくなる」ということを意味する。

彼らにとって「政治」とは「面白くないもの」であり、「自分の楽しみを阻害する」ものでもある。

「音楽イベント」が自分を楽しませてくれる「娯楽の場」と考える彼らにとっては、「政治」はもはや必要ではないのだ。

SEALDsって嫌われてる?

6月26日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で社会学者の古市憲寿氏は興味深い発言をしている。

「フジロックって政治と相性よかったので、何を今更って感じですけど。SEALDsって嫌われてるんですかねえ。あれは可哀想な話で、SEALDsって活動始めた頃は、16ビートのカッコいいラップをやってたんですよ。それが規模が大きくなるにつれて、おじいちゃんおばあちゃんも参加してくるから、めっちゃださいラップになっていった」

ここで注目したいのは、今回の騒動で多くの批判が上がった理由に「SEALDsが嫌われている」ことを挙げた点である。

つまり、批判的な意見を寄せた人は「政治」そのものではなく、「SEALDs」そのものが嫌いだった可能性もあるということである。

「SEALDs」は安倍首相の政権運営や憲法観に対して危機感を感じた学生らが2015年に結成。

以後、安全保障関連法に反対する国会前での抗議デモを積極的に行い、その活動の範囲を全国規模に広げつつある学生団体として注目されている。

しかし、1960年代に起こった学生運動のような盛り上がりを起こすことは出来なかったことから失望する声も多い。

また、最近では「政治資金規正法の違反行為の疑惑」などイメージを損なうニュースも飛び交っている。

フジロックに「SEALDs」が出演することを嫌った人たちがいたことは十分に考えられる。

そうした視点からみると、ミュージシャンの後藤正文さんの反論やジャーナリストの津田大介さんの分析が的外れであった可能性も残っている。




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