雑居ビルを眺めながら 5
いつかまたそこへ行こう、と思って久しく行かない。そんなこと、一回や二回じゃない。たまたま仕事で、用事があって、近くまで来た。それで、少し歩けば辿り着けるのだけど、今日は時間が足りないと思う。あるいは、疲れたと思う。公園のベンチに腰掛けると、遠くに高層ビルは建って、それから老眼のようにぼやけた手前のビルに焦点を合わせると、煤けたビルの裏側が見えた。この前まで、違うビルに隠れて見えなかったはずだが、すっかり開けた手前の駐車場から見上げたら、煤けた壁はまだ日向に慣れてはいない表情を