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スポーツ栄養学とわたし

「足が攣らないようにするには、何を食べたらいいですか」

人生が360度音を立てて回るきっかけとなった、大切な人の一言。

360度、というのは、このまま漠然と働き続けるのかと疑問をもちつつも踏み出せずにいた私に、管理栄養士として専門をもつという「その先」の選択肢があることにふと思い到らせてくれた言葉だから。独学であれにもこれにも手を出しては結局モノにならなかった中で、スポーツ栄養学を専門にする、道を開いてくれた一言だった。

人生は、理屈じゃない。

すべての選択は直感で、しかも、一度間違えると取り返しがつかないということもない。思い通りにいかなかったり、やってみたら違った!ということばかりだ。

大学院という選択肢も、たまたま友人に「スポーツ栄養学を専門にしたい」という話をしたところ「大学院に行ったらどうか」と言われて気が付いたのだ。その友人が大学教授だったこともあるけれど。それまでは、独学でなにか極めたら、YouTuberで発信するとか?と考えていただけだったのだけれど。子育ての手が離れた40代半ばすぎて、博士を修め、60で大学教授になった母や、同じく45歳くらいから大学で法学部に入り、弁護士になったホストマザーは学生になったタイミングで私を1年間受け入れていた。他にも身近な人で同じように子育ての手が離れたあたりで博士をとった人などがいる中で、大学院に進学するというのは、私にとって、とても自然な選択肢だった。これまで独学でセミナーなどを受講しても、起業をこころみても、一向にものにならない、理由がわかった。

大学、大学院というのは、かなり社会人に開かれているので、ぜひ、いまひとつ民間の独学セミナーなどでしっくりこない方は、挑戦して欲しい。必ず、勉強にはなるし、少なくとも同じジャンルを専門にしている友人もできる。ビジネスのつながりではない、戦友だ。社会人になってから、こんなにまた周りに人が増えると思っていなかった。

私は、たまたま医師の友人が、スポーツ栄養学なら、ここ!と勧めてくれた学校が、社会人を広く受け入れている大学で、かなり好意的に受け止めてもらえたということもあったことと、10年やっている今の仕事への思いからの動機が一致する研究テーマを専門にしている教授がいたこともあったけれど、何校か当たれば必ず受け入れてもらえる先はみつかると思う。私など、学部は全く別で、今の仕事である管理栄養士は、短大で栄養士をとって、実務を積んで試験を受けてとったので、4大の管理栄養士コースを卒業している人たちとは知識量も全く違うのだけれど、それでも、やる気と動機で受け入れてもらった(大学院進学要件は学士。学士は栄養士とは別で4大を卒業しています)。

そうして、進学した先でも、いろいろと運命と思えるようなことが、次々と起こる。人との出会いは、不思議だ。年齢も現役生の倍くらいだけれど、キャンパスにも月1くらいしかいかないのに、授業のzoomで親しくなったあと、1度会うだけでそのギャップで親しみがものすごく湧くこともあり、友達もたくさんできた。院生は、積極的な人が多いのもある。

人生の後半のイベントを凝縮したような30代前半の月日のリハビリのように、毎日をただ穏便に過ごすことに集中してきたけれど、中高時代の友人たちと会うようになり、走る彼らにつられ走るようになり、東京マラソンにビギナーズラックで当選して、職場の人がコーチをしてくれたことで一市民ランナーになり、「趣味が高じて」大学院に進学した。もうやること全部やったから老後だ、とか言ってぼんやりしていないで、そろそろ、また正気を取り戻して、気合いを入れて生きてもいいかと思ったのだ。まだ、あと30年くらい現役なのだから。

何が、繋がるかわからない。(スタンフォードの卒業式での伝説のスピーチで)ジョブズが言ったように、何がその繋がる点になるかは、後になってつながってみないとわからないから、やりたいと思ったことをやってみる時は懸命にやれ、というのは本当だと思う。

走ることになったきっかけは、私が「ハワイに行ってみたい」とハワイ大好きな友人たちに言ったことだったのだから。私は、それまで走ったこともなかったのに。その頃、少し走っていた彼女たちは「せっかくみんなでハワイいくなら、ホノルルマラソンでようよ」と言い出したのだった。それに、巻き込まれた私は、そこから市民ランナーの一歩を踏み出した。結果、一番走っているのが私だなんて。一番暇でたまたま何かに打ち込みたいと思っていたということもあったかもしれない。

理由なんて後付けでOK。
優しく楽しく美しく、行こう!

ふと言われた言葉が、人生を変えることがある。

私がどんなに言っても、彼には自分の一言が10年間滞っていた私の人生を一歩先へ進めたという実感はないだろう。それでも、これからも、無意識でいいから、走り続ける私を見守っていて欲しい。



写真は、友人のところのブラックタン&ホワイトのチワワくんと、彼らが犬を飼いたいと言い出した頃に、そこの家の息子さんにプレゼントした、Kösen(ケーセン)のオオカミの仔。このチワワくんに出会ったとき、家族全員一致で、この子だ!と思ったそうなのですが、後から理由がわかったよと。それは、このオオカミの仔に似ていたから、だったそうな。思わぬ刷り込みが。


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