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読書メモ『脳のネットワーク』 by Olaf Sporns, 1~3章

なぜ読んだ?

  • 私は神経細胞のネットワークに関するの研究をしており、ネットワーク科学の観点から脳を捉える方法に興味があるため。

  • 新学期の開始に合わせた研究書の読書により、研究のモチベーションとメタ知識を手に入れるため。

基本情報

タイトル:『脳のネットワーク』
著者:オラフ・スポーンズ (Olaf Sporns)
訳者:下野昌宣

1章「はじめに」で学んだこと

  • この本のテーマは、「ネットワーク科学は脳についてどのような知見をもたらすだろうか?」である。

  • 複雑系を理解するためには、①システムの基本的な構成要素、②構成要素どうしの相互作用、③その相互作用から創発する性質、の3つについて知る必要がある。

    • (私が研究において主張したい論は②③の重要性であるため、共感しつつ読んだ)

  • 脳はマルチスケールな複雑ネットワークである。

2章「ネットワークの指標とネットワークの基本構造」で学んだこと

  • ネットワーク・グラフの定義。

    • 重みづけあり/なし、向きづけあり/なしのグラフ。

    • 隣接行列/距離行列、次数/入次数/出次数、path/walk/cycle

  • ネットワークを特徴づける指標。

    • 次数分布、次数相関

    • クラスター係数

    • ネットワーク・モジュラリティ

    • 固有パス長

    • 中心性→近接中心性、媒介中心性

  • 指標を元にしたネットワークのアーキテクチャ分類。

    • ランダムネットワーク、正則ネットワーク、スモールワールドネットワーク、スケールフリーネットワーク

  • マカクザルの大脳皮質におけるネットワークの結合の計測結果と、そこから導き出されるスモールワールド性。

3章「脳のネットワークとは」で学んだこと

  • 脳の要素(ニューロン)も全体性も重要。

    • 脳を全体論的に捉えていたゴルジの主張。

  • 脳の計測・観察法

    • 脳神経系のマルチスケール性から、どれも意義がある。

    • (この部分は既存の知識が多かった)

  • 接続性の定義3つ

    • 構造的接続性(structural connectivity)

    • 機能的接続性(functional connectivity)

    • 実行的接続性(effective connectivity) 

  • 基本的な脳のネットワーク解析の流れ。

  • 実行的接続性の指標

    • グレンジャー因果性

    • トランスファーエントロピー

    • CSEM: 共分散構造方程式モデリング

    • DCM: 因果的ダイナミクスモデリング by Friston

  • 脳の接続性モデルの重要性

    • 予測を可能とするのはモデルのみ。

    • モデルの基礎は連立状態方程式であり、力学系の理論によって解析が可能。

    • 全脳シミュレーターの夢。

今後の展望

  • 現在は4章を読んでいる。

  • 5,6,7,8,12章までは読みたい。

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