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陽炎【第二章 アイスブレイク】

※会話が多くなるためカギカッコのはじめに話者名を表記。し=しずく、ひ=ひろき

し「ええ!!びっくりした!」
それはそうだ。まさか歯ブラシを咥えたまま迎えられるとは思っていない。

一瞬で心を掴むことに成功。誤算は時に良いほうへと導いてくれるものだ。

笑いながら
し「昨日に引き続き二日連続で指名してくれてありがとう!」笑うと細くなる目が愛おしい。

とんでもない。こちらこそありがとうだ。
とんでもなく可愛い子と出会えたんだから。

し「今日東京に帰っちゃうんだもんね、終わったらすぐ帰るの?」

そんな寂しいことを言わないでくれ。この時間が終わってほしくないんだから。

ひ「そうなんだよね、東京帰りたくないな」

おっといけない、こんな無駄な会話をしている時間はないのだ。

脳内フルスピードで次の言葉を探す。

ひ「昨日今日と連勤で疲れてるでしょ。もしよかったらこれ飲んで」。チョコラBBとカフェラテを渡す。

まずは先制ジャブ。しっかりとケアと気遣いしているアピールだ。

し「チョコラBBすごい好きなんだよね、すごい嬉しい」

喜んでくれてよかった。Twitterに上げてくれるとさらに嬉しい。

し「お礼にこれあげる」
お〜いお茶の缶。なんでこんなもん持ってるんだ、と思いながらもサウナ後の身体は水分を欲している。ついでにしずくの前で緊張もしている。

ひ「ありがとう、今飲んでいい?」

そう告げ一気飲み。渇いた身体が潤いを取り戻す。

し「今日暑いもんね〜」

ひ「暑いしさっきまでサウナ行ってたから喉カラカラなんだよね」

言葉の駆け引きを仕掛ける。シャワーの時間を短縮するための布石を打った。

し「昨日もサウナ行ってたじゃん!好きだね〜」
やはり笑顔が素敵だ。

し「じゃあシャワー浴びなくていっか!清潔だよね?」

作戦成功。心の中でガッツポーズ。
しずくは手際よく照明をコントロールして、適度な暗さに調節。

し「じゃあ私だけ軽くシャワー浴びさせてもらうね」

!?。うそだろ!?。思いもしないストレートパンチが飛んできた。

狼狽えてはいけない、平然を装いシャワーを促す。

し「午前中出かけてたからね〜、暑いし念のため」とのことであったが、むしろ浴びないで欲しかった。

し「今日の下着すごい可愛いんだよ、見てほしい」
そう言って服を脱がさせるよう暗示をかけてきた。

さすが高級店である。脱がせて、と言わない言葉選びに感服だ。

バンザイして待つしずくの姿が愛くるしい。

ベージュのワンピースを一気に捲り上げる。

ピンクのふりふりがついたTバック。

し「かわいいでしょ〜」

そう言いながらクルッと後ろを向きお尻を突き出してくる。丸くてすべすべしたお尻がこちらを向く。

おいおい、所作が完璧じゃないか。

そのままTバックも一気に下ろす。

後ろを向いたまま、ブラホックも外して、なんて言うもんだからすべての動きに無駄がない。

脱がされる順序まで計算されているのか。
再びこちらを向くと、しずくがこちらの首に手を回して接吻してきた。

一瞬の出来事に何がなんだかわからなかった。

素早いのだ。しずくのスピード感に完全に遅れをとっている。

ただここで歯を磨いていたことが功を奏した。

し「先に歯を磨いてくれてありがとう」

おでこを合わせながらそういうと一気に彼女の舌が伸びてきた。

どれだけ場数を踏んだらこんなことができるんだ。今まで経験した女の子と次元が違った。

Jリーグとスペインリーグくらいの差がある。

草野球とメジャーリーグくらいの差がある。

これはエロに止まらない学びがある。

し「服脱いでてね、すぐにシャワー浴びてきちゃうから」

颯爽と風呂場へ向かう彼女はまるでリオネル・メッシや大谷翔平にも勝るとも劣らない風格を携えていた。

置き去りにされた下着に視線を戻す。

シャワーの水音だけが響き渡る。

嗅ぎたい、衝動に駆られながらも必死にこらえ服を脱ぐ。ベッドで座って待機。

しずくはすぐに風呂場から出てくるとタオルを巻いたままスッと横へ座る。

少し濡れた身体でハグをしてきた。

暗い照明に煌めく水滴に、一気に高揚感が昂ってきた。

さあ始まりだ。

【第三章 神の舌】へ続く

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