マガジンのカバー画像

赤の少女と白い虎

24
真っ赤な満月の夜に生まれたその少女は、4番目の姫だった。 彼女が生まれた夜、見たこともない大きな白い鳥が、一晩かけて空を渡ったという。 歩けるようになったらすぐに宮殿を飛び出…
運営しているクリエイター

#連載

【赤の少女と白い虎】 5夜. 災いのはじまり

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 深い霧が立ち込める夜明け前。 王家…

7

【赤の少女と白い虎】 8夜. 悲しみの血

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 城の門の前で、その男は屈強な兵士達…

4

【赤の少女と白い虎】 9夜.賢者の登場

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 「なんだ、お前か」  老婆はじろっ…

7

【赤の少女と白い虎】 10夜.金色の夢

前回のお話はここから 最初からはこちら 絵・津山文子 。・。・。・ 「あれ? ここは?」 …

9

【赤の少女と白い虎】 11夜. 家族の輪

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・  真っ白な光のテラスから笑い声が聞…

10

【赤の少女と白い虎】 12夜. 世界の理(ことわり)

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・  姫は、じっと祖母の顔を見つめてい…

7

【赤の少女と白い虎】 13夜. 禁術の書

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ わたしは生まれてすぐに、ある人の元に預けられてね。 そこでは多くの子どもたちが、その師のもとで 世界のありようを学んでは旅立っていった。 その中でね、わたしは落ちこぼれもいいところだったんだよ。 星とも、風とも、石とも、花とも。 鳥ともうまく話せずにいた。とても長くだ。 まわりの子がどんどん上達してゆく中で、 自分だけが取り残されていく惨めさをいつも味わっていたんだよ。 2歩も3歩も出遅れ、その差は開

【赤の少女と白い虎】 14夜. 欲望のありか

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ その書の中には、龍にまつわる儀式が…

6

【赤の少女と白い虎】 15夜. 最後の砦

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 日々の学びのなかでも わたしは草木…

6

【赤の少女と白い虎】 16夜. 魂の泣き声

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・  なんてことだ。  目の前の道がぷ…

7

【赤の少女と白い虎】 17夜. 決意

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 「なぜ泣いているのだ」 「わかりま…

7

【赤の少女と白い虎】 18夜. 禁術の発動

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 翌日の新月の夜。 小さな袋に龍の儀…

8

【赤の少女と白い虎】 19夜.  死

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・  失敗だ。  すぐに悟った。  瞬…

3

【赤の少女と白い虎】 20夜.  幻想

前回のお話はここから 最初からはこちら 。・。・。・ 「娘よ」  その声に話しかけられた。 「はい」 「そなたはなぜ、ここにいる」 「・・・わかりません」  その声の主は、他の声とは少し違う感じがして、思わず声が震えた。 「わからぬまま、門は開けまい。  何をしたのか話してみよ」 「・・・赤龍と青龍を内に取り込み、  世界の礎になる術を発動させました」  空間は再び、非難の声にあふれかえった。 「なんだそれは」 「やはりバカだ」 「いや、人の愚