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【赤の少女と白い虎】 19夜. 死

前回のお話はここから

最初からはこちら

。・。・。・


 失敗だ。


 すぐに悟った。


 瞬間、

「そうだ、お前は失敗したのだ」


 声が聞こえてきたんだ。


 頭に直接響いたという感じでな。


「あなたは神ですか? 」と聞いた。

 数え切れないくらいの笑い声が頭に響いてくる。


 最初は黙って聞いていたのだけれど、

 だんだん腹が立ってきてね。


「なぜ笑うのですか! 失礼です!」と叫んだ。

 すると、笑う声はスッと止まった。

 でもまた別の声が、いくつも頭に響いてくるのさ。


「どうしたものか」

「もうこちら側にきてしまったぞ」

「このままでは共倒れではないか」

「なんと腹ただしい」


 その言葉に少し気を取り直したわたしは、

「あなたは龍ですか?」とたずねた。


「にしても、よくこの門を開いたものだ」

「ねじれもひどいが、光も強い」

「さてどうしたものか」


 ・・・今度は無視だ。

 頭にカッと血が上った瞬間だった。


「静粛に」


 そのひとことで、空間にサッと静寂が広がった。


 〜つづく

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