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幸せな時や悲しい時に必ず思い出す言葉

愛犬のももを亡くしたばかりで、ここのところ毎日泣いているが、そのような時や逆に幸せな時にいつも私をいつも支えてくれる言葉がある。

今回はそれについて紹介したい。


時は遡るが私が高校生くらいの頃、母はバリバリ働いで稼ぐ「ザ・キャリアウーマン」といった女性だったが多忙な中でも「心理学を勉強したい」といい、40歳くらいの時に臨床心理士を目指すため働きながら通信で大学生をやっていた。

家の中には大学の教科書がたくさんあったので私は時々読んでいた。
河合隼雄先生の存在を知ったのもその頃だった。

河合隼雄先生は多くの書籍を遺している。
その中に「幸せとは何か」について書かれている本がある。
私はその本の最後に書かれたお話が大好きだ。
河合隼雄先生は生前フルートを習っていた。
その時に思ったことがあるという。

一部抜粋したいと思う。

“人間というのは何か調子がよくて上昇傾向にあるときは、手放しで上昇してしまって、浮ついたことになりがちである。
どれほど上昇しても、それをしっかりと支えるためには、何らかの下降がそれに伴って生じていないといけない。
高い位置と低い位置との間に存在するある種の緊張が、高いものを支え、厚みを与えるのだ。
人間の幸福というものもこのようなものだろう。
幸福の絶頂にあるような時でも、それに対して深い悲しみ、という支えがなかったら、それは浅薄なものになってしまう。
幸福だけ、ということはない”

「河合隼雄の幸福論」 著者:河合隼雄

そして最後に、

“幸福ということが、どれほど素晴らしく、あるいは輝かしく見えるとしてもそれが深い悲しみによって支えられていない限り、浮ついたものでしかない、ということを強調したい。
恐らく大切なのはそんな悲しみの方なのであろう”

「河合隼雄の幸福論」 著者:河合隼雄

という言葉で締めくくっている。

初めて読んだ時、フルートのレッスンを受けながらこれほど深いことを思いつくのは河合隼雄先生ぐらいなんじゃないか、と圧倒された。


私はこのお話に強く感銘を受け、今の自分の考え方や人生観にまで影響を及ぼしている。

そして悲しいことがあった時にこの言葉は私を救ってくれる。

「今は辛いけど、この経験が私の人生に厚みを持たせてくれるんだ。厚みのある幸せをいつか手にすることができるんだ」
と思える。

そして幸せなことがあった時は「これまであった母の死や大好きだった叔父の死、孤独だった学生時代、あれがあったからこそこんなに幸せなんだろう」と思える。

興味のある方はぜひ全部読んでほしい。

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