人手不足倒産ではなく「賃上げできない倒産」が正しい?大工も集まらず家が建たなくなる可能性?

記事のなかで、X(旧Twitter)での新田龍氏、渡邉正裕氏らのコメントが引用されている。人手不足であれば、高い年収を提示して人を集めればよい。だが、それができないので倒産している。人が足りないことも重要だが、高い賃金を提示できない収益性も問題である、との指摘だ。

今年の1-3月四半期の経済指標では、民間住宅が2.9%の減少となっている。これは、需要サイドの減少であるが、「本来は需要があるのに、建設工事が延期されている」可能性もある。大工などの人手不足と、建設資材の輸入品高騰が原因なのかもしれない。このままでは、日本で住宅建設が難しくなったり、土木工事(インフラ工事)もできなくなるかもしれない。もちろん、富裕層は何とかなるが、問題は庶民だろう。不動産会社も富裕層を優先して建設工事を進めるはずだ。「持ち家格差」は今よりもずっと激しくなる可能性がある。まあ、私は賃貸でもいいのだが、住宅が欲しい人は中古しか手に入らないかもしれない(その中古住宅も値上がりしそうだが)。

本来、人口が減少しているので、新規住宅の着工は抑制したほうがSDGsの観点からは好ましい(経済成長のボトルネックにはなるが)。ただ、中古住宅もそのまま住めることはほとんどなく、リフォーム工事が必要だ。そのリフォーム工事も人手不足で高くなるだろう。

最後に、「中小企業は甘やかされている」という指摘が書かれている。私は、これには反対だ。巨大企業、例えば日産は、下請けの中小企業にいったん提示した価格を強制的に値引きを迫り、政府から指導を受けた。「中小企業は甘やかされている」って、どこの国の話だ?ちゃん社長の脳内の妄想か?ゼロゼロ融資は、新型コロナウイルスによる経済危機への対応であり、もし実施していなければ、日本経済はもっと深刻な不況になっていたはずだ。

福井経編興業という会社は、町工場ながら心臓修復パッチを開発した。帝人との共同研究だ。中小企業でも、イノベーションが可能な企業はたくさんあるのだ。「中小企業は甘やかされている!潰せ!」というのは、暴論に思える。

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