ローマを描かないローマ人
映画監督ダリオ・アルジェントはローマ生まれでローマで育ったローマ人である。だが、彼の作る映画には典型的なローマらしい風景がほとんど出てこない。ローマを舞台とした映画であってもむしろローマらしさを意図的に避けているきらいがある。
『サスペリア』はドイツ、『フェノミナ』はスイス、『トラウマ』は米国が舞台だからローマが登場しないのは当然として、デビュー作『歓びの毒牙』、代表作『サスペリアPART2』は舞台がローマである。『インフェルノ』にもローマのパートが出てくる。これらの映画の