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しゃぼん玉のような儚い言葉のゆくさき


しゃぼん玉のような言葉

漂うだけで、ふわりふわりと空に向かい
やがて消えて行く

散歩をしながら、そんな言葉たちが頭の中から抜け出して
言葉のゆくさきを眺めていた



言葉は届くもの
そう信じて発して来た
それなのに人生のどこかでそうではないのだと気づいてしまう

その悲しみは、きっと何かのスタートになるはず



キャッチャーミットの中でパシリと音を立てて届いて欲しかった言葉たちがいくつもあった

それなのに、言葉というものは届いて欲しいと願う時ほど届かない

しゃぼん玉の色を変えたら、吹き方を変えたら…
色を変えたら…

強度を変えたら…

そんな工夫の甲斐なく届かないものは届かないのだ

そんな経験が、物事の新しい見方を教えてくれた


それは、相手の世界と自分の世界の作られてきた材料次第で
言葉は全く伝わらなくなってしまうと言うこと

経験や、物事との捉え方
傾聴スキルのレベル、感受性、心の状態

様々な要因が絡み
凸凹だったり、時には壁だったり
見えない何かが互いの間に障害のように出来上がる


盾を持った人にどんな言葉に変えて話しをしても仕方がないように
正しさが違う人と正しさの正しさを解いても意味がないように
そして、見えない世界の話を見えていない人にしても仕方ないように

そして何よりも、話を聞きたいのだと思っていない人に話すことはとても無理があること
それがどんなに大切なことであっても、相手にとってそれが大切とは限らないのだ

そんな、どうやっても伝わならないと言う時
相手の世界を受け止め、完結させることも必要なのだと知った


その代わりに
自分は自分の言葉を諦めはしなこと

誰かの発した言葉が、意外な時に胸に刺さった経験をしたことがあるように
自分の価値観が合う場所で伝わると信じること

それは、発して行けばいつかどこかに辿り着く

空に消えたしゃぼん玉もきっと無駄じゃなく
どこかにたどり着いた時には、そのしゃぼん玉はいずれ自分の元に帰ってきて
本当の言葉になるはず


今日もただ空に向かってフーッといくつも生み出して行く

どこかに向かい、誰かに向かい、どこかに漂い

どこにも向かわずに

伝わらなかった経験
それが、言葉と仲良くなる第一歩だと思うから


akaiki×shiroimi

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