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【エッセイ】 とうめいの道の道しるべ


いつだって目に見えない地図を作ることが頭から離れる事はない

どんな時も必ず頭の端っこに息を潜めてくっついている


人生のターニングポイント
そんな風のざわめきを感じる時

ダチョウが目の前で卵を産んだ

今年、初めて見た蝶がルリタテハだった

そんな、大吉を引いた様な出来事に

肯定されているような
応援してくれているような気になっている



息子の春休みの最後

数メートル歩いただけで座り込みたくなる様な
疲れた体を引きずって息子と出かけ

そんな出来事に遭遇した

動物に餌をやり
馬の檻の前に座り1時間ほど話しながら木陰のベンチに座り馬を眺めていると
体はふしぎと癒されて世界と一つなった気になる

馬も1時間も眺めていると、だいたい何を言いたいのかがわかって来て

じっとりとした目つきで発情している馬の好みが息子だという事に気づいたのだ

なぜか帰る頃には会ったばかりの馬の性格もなんとなく分かり友達になった気になって
離れるのが惜しくなる

馬もきっと寂しかったに違いない
そんな風に思い込みながら

馬に名前をつけながら

ースモールライトはやっぱり必要だね

馬も小さくすればうちで飼えるからと話をしながら馬小屋を後にした




手にキャベツを握りしめて
息子のお目当てのダチョウの元に向い

ダチョウに餌をあげる息子を見ていると
後ろにいたダチョウが産卵をしていて

ー産んでる!産んでる!

とついつい叫んだのも束の間

ごろんと大きな卵が生まれた

休日とあり、人もたくさん居るので入れ代わり立ち代わり人がダチョウの元にやってくる

中には、産卵していると言う事に気づいていない様子の人もいる

てっきり、顔つきで餌をあげていた方のダチョウがメスだとばかり思っていたのに…

そして、すぐさま
お母さんダチョウは次の産卵の耐性をとり始め

忘れさられた卵はお父さんダチョウに時々カツンと音を立てて蹴られている

なるほど…ダチョウの殻が厚い理由がよくわかったなんて頷きながら
私はメスダチョウとギャラリーを眺めたのだ

踏ん張ったり
踏ん張らずにしれっとしていたりで
一見、何の変哲もないダチョウ小屋

この目の前の二匹のダチョウ

夫婦だということを知らない人

どちらがオスでメスかを知らない人

そして、このメスのダチョウがまさに今放卵中だとは知らない人

待っていればきっとこの後すぐに卵を産むという事を知らない人

そして、卵のテカリで産みたてだと気づく人

卵の事さえ気づかない人

いろんな人がここに来ては離れて行くのを見て

ふふんと全て知った気になってちょびっと誇らしげに

でも、もしも逆の立場なら
きっと全く何も知らずにいたのだと思ったら面白い発見だなと思ったりして

だって、そんなふうに見えない所にある世界が
世界中のあちこちに見つけられる気がして

目には見えていない世界の秘密をスカウターで暴いている様な…

妊婦さんのお腹の中の子供とやりとりをしているような


そんな気分を味わって


私は、目の前で出産を今まさにしてくれたタイミングの良さと
ダチョウと
うちのオカメインコにちょびっと感謝した

何故って?
私が気づいたのは娘のオカメインコが出産をする時に、手の中に慌てて飛び込んで来て卵を産む耐性と同じだったから

それが無ければ気付けなかったかもしれない

人生は経験と目には見えない物を汲み取る力でもっと面白くなる

だから、いつも何かに応援されていると気付ける

新しい道、見つけた道に進んでみたらいいよとそう言われている様に





akaiki×shiroimi

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