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たけのこ@マンガライターが2023年5月に読んで面白かったマンガ!

とうわけでの5月です!
5月はわりと変わり種が多かったかもしれませんね。

ちなみにわたしがこうしてひと月づつで10本選んでいるものに関しては一応、新しいマンガを優先しています。だから『うるわしの宵の月』とか『ダンダダン』とかはどんなに好きでもここに選ぶ段階では優先度は下がってしまったりします。
どうしても譲れなければいれますけどね(笑

というわけでまずは画像から!

個人的なイチオシは『朝子のムジカ!!』でしょうか。さて、ざざっといきましょう。


まずは『狼の娘』。小玉ユキ先生の最新作はまさに「狼の娘」の物語。
違和感をかかえつつも普通の女の子だと思っていた(思いたかった)のに、同族に出会い、本当の自分を自覚してゆく。

いまに始まったことではありませんが、先生の描く線のいっぽんいっぽんが魅力的です。なんか、こう……決まってるんですよ……スッと引かれた線が、ここしかないみたいな……。この言語化をあきらめたライターの怠惰っぷりを感じてください(笑 


『新古書ファイター真吾』はブックオフなど、新古書店に対する愛にあふれた一冊。

学生のころとか、すくないお小遣いのなかからジャンプコミックスなど新刊で買っていたものもあるけれど、マンガを好きな気持ちをそれだけでは満足させることができず。……かといって十分にお金があるわけでもない。それならブックオフに行けばいいじゃないか、となるわけです。
100円棚に日参して気になるマンガを買いあさるようになるわけです。ブックオフとヴィレッジヴァンガードがわたしを作ったといっても過言ではありません。だからこのマンガも共感必至でした。


そして今月わたしのイチオシが朝子のムジカ!!2巻です。

離婚して田舎に引っ込んだ主人公がむかしやっていたトロンボーンをまたはじめる話。年齢に関係なくどんな生きかたをしてもいいんだっていう肯定の物語です。
そういうマンガは流行りといえば流行りなので、秀作もたくさんあるわけですが、この作品にかんしては評価と知名度がつりあっていない度合では最上級かと思います。要するに面白いのに、まだまだあんまり見つかっていない気がしています。連載がみち半ばで終わってしまったら悲しいのでみなさんにも知ってほしいし、ぜひ読んでほしいです。面白いですよ。


そして1話がTwitterでも話題だった『ただの飯フレです』も面白かったです。

読み方は「メシフレ」ではなく「メフレ」です。
なんとなく声がかけれて、都合よければご飯に行ける。他愛もないことを話して他愛なく笑いあえる。それだけの関係。友達とも違うし恋愛感情もなく、彼氏じゃない。
そんな持ちつもたれつで、後腐れのない関係性ができないものかと憧れたかたもいるのではないでしょうか。
そんな理想郷の姿がここにあります。そのうえ男キャラも女キャラもみんなかわいくて見ていた単純に楽しいです。このキャッチ―さには脱帽です。


そして完結しました『リバイアサン』3巻。

Ki-oonが送り出すハードSFということで1話から話題でしたね。絵柄に多少の固さは感じたものの、少年少女たちの血みどろなサバイバルもの、3巻という比較的短い巻数での終幕ということで、最後まで楽しんで読めました。
ここまで一気に買って読んでみるのも3巻という巻数なら容易ですし、楽しいこと間違いなしかと思います。


『断腸亭にちじょう』の2巻も出まして、今月末にもう1冊でますね。
闘病エッセイですし、「面白い!」といってヒザをうつような感じとは違うと思うのですが、感情をゆさぶられるという意味では間違いない作品です。そしてそれはやはり「面白さ」のひとつの要素なのだろうとわたしは思います。

いいのか悪いのか、この作品でガンプ先生に初めて出会ったわけではないという事実がわたしの心をざわつかせる要素になっていることは間違いないんですよね。いいのか悪いのかわかりませんけど。


そして今月いちばんの変わり種は『軟骨さん』

とてもクセのある絵柄にストーリー。これはまあ人は選びますよ(笑
自分の頭を質入れして、お金を借りて、そのお金を返すために紹介された闇バイトをするお話。
「頭を質草……?」ってなりますよね。だいたい全編そんな感じです(笑 そして絵も点描が敷きつめられていて、水木しげる先生のような独特の味があるんですよ。いいですよ。

なかなかこういう作風ってコアから出られないことも多いかと思うんですけど、最近はpanpanya先生とか結構人気じゃないですか。そう考えたらぜんぜんワンチャンあるなって思ってます。


『ロックは淑女の嗜みでして』はバンドもので、お嬢様ものですね。

まず魅力的なのは、ロックに打ちこむお嬢様たちが、楽器をにぎりしめ、音で対話しだすと、普段のおしとやかさなどどこ吹く風の荒々しい言葉の応酬がくり広げられる二面性でしょう。ロックはやはり荒々しくてなんぼですから。普段がお嬢様だからこそ、そのギャップがクセになります。

そしてもう一つは実在の日本のインストバンドおよびその曲が出てくること。1巻で出てきたのは「mudy on the 昨晩」と「LITE」。

音楽に詳しいかたならすぐにお気づきかと思いますが、このふたつとも日本のロックインストバンド。つまりボーカルのいないバンドで、かつ"ロック"なんですよね。
ほら、インストバンドって聞くと、ジャズとかそういう穏やかなイメージがあるじゃないですか。これはそうじゃない。あくまでもロックです。お嬢様たちに音楽をやらせておいて、歌はうたわせないし、おとなしい音楽でもないというあたりいいですよね。

2巻あたりは「toe」とか「te'」とかそういうバンドの名前も聞けるかもしれません。そんなあたりも楽しみですね。


新しさを感じさせてくれるバトルサバイバル『スカベンジャーズアナザースカイ』

新しさ、というか……ようするにFPSだと思うんですけど、意外と世界観がFPSらしい作品ってないんですよ。「ゲームですよ」ってなるか、「戦争もの」みたいになっちゃうかの二択だったところに、FPSっぽい世界観を上手にいかした黒船がやってきたという感じでしょうか。

キャラはかわいくてキャッチ―で、やってることは殺伐で、背景とかの書きこみはデジタルっぽさを存分にいかした緻密さっていう、なんかそうやって書いていくとやっぱり令和!って感じですね。いい作品です。


最後を語るのは往年の名作のスピンオフ『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』4巻です。

めちゃくちゃおもしろいと思ってるんですけど、意外とわたしのTLでは流れてこないんですよね。
もちろん「北斗の拳」の知識はないと存分には楽しめないとは思うのですが……それを差し引いてももっと読まれてもいいのにって思います。まあ北斗の拳のスピンオフっていっぱいありますし、どれも結構おもしろかったりしますから、埋もれちゃうのかもしれません。

この世界には「北斗の拳」のマンガは存在せず、「北斗の拳」は実写ドラマだった!そんな血と汗のあふれるドラマの制作現場はどんな感じだったのか?気になりませんか?
大ヒットドラマ「北斗の拳」のあの名シーンや、この迷シーンの制作秘話が見られるのはここのマンガだけです!


というわけでの10作品でした~。
番外で3つ紹介させてくださいませ。

『しずかの山』

いやこれはほんと強いですよ。
作画をしている松本剛先生は『ロッタレイン』だけ読んだことがありました。『ロッタレイン』もなかなかどうしてすごい作品だったイメージなのですが、その後、作品出てないなぁ……くらいのイメージだったのです。

実際、紙で商業からの新刊はそこから出ていないのかな。そんなわけでわたしの脳裏からもしばらく消え去っていたのですが、TLでこの作品をほめているかたがいたので気になって購入。読了。感無量となったわけです。

山と命と生きかたと。山ものとして突飛なわけではないかもしれませんが、とにかく演出力が抜群です。そのコマがあることでキャラの感情を2割増し強く映しだすといった、あまりにも天才的なアシストにあふれているように感じました。

ゴール量産!というわけではないので、派手な作品とは違うと思いますが、わたし的には10年に1冊の名作です。


そして1巻だけ読んだら、存外に面白かったのは『国境のエミーリャ』です。

現在、既刊9巻かな。人気あるのもうなずけるエンタメ作品です。
まるで旧ドイツのように、壁によって二分されてしまった東京が舞台。そんななか、こちらからあちらに脱出の手引きをするのが主人公の役どころです。

濃厚な設定にアクション。エンタメ精神も忘れません。とっても面白かったです。アニメにならないかな。この設定がNGとかにならなければなると思うけど。おもしろいですよ。


そして最後は雑誌です『dancyu』です。
正確には『dancyu (ダンチュウ)』2023年6月号「料理上手になる! まんがダンチュウ」です。

全国の食いしん坊のための食と暮らしを豊かにする体験型メディアである「dancyu」がマンガにフューチャーした一冊。
料理マンガで名をはせたあの有名漫画家さんやこの有名漫画家さんがたくさん書下ろしを描いてくれていて、マンガ好きとしても満足度かなり高いです。もちろん食の雑誌としての楽しさは折り紙付き。

自分で料理するかたは絶対はずさないと思いますので、まだ書店にあるかどうかはわからないのですが、見つけたら手に取ってみてください。


そんな5月の感想でした。
6月もがんばってマンガを読むことにいたしましょう!



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