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たけのこ@マンガライターが2024年5月に読んでおもしろかったマンガ!

というわけでの2024年5月に読んでおもしろかったマンガです!
ちなみに、5月私が一番おもしろかったマンガは、これにて完結となった『ビンテイジ』5巻です。

にもかかわらず10選に選べなかったのは、『ビンテイジ』が紙で出ていないから。この「名刺代わりの〇〇メーカー」は紙が出ていないと選べないんですよ……

古着マンガであり、モラトリアムから自分を見つけ、夢をおいかける青春マンガでもある。しかも初っ端からずーーーっとおもしろかったにもかかわらず、5巻は電子書籍のみ……。。最後までちゃんと読めたことをありがたいと思わなければならないこの状況。わたし的にはちっとも納得いきません。

だって面白いもの!!!
超おもしろいよ!

なんでそんなにみんなに刺さらなかったのかわかりません。絵の好みの問題なのか、古着マンガなんてべつに興味ないし、と敬遠されたのか……。ガッデム……。みんなも読んでくれー!


ぐうう。そんな悔しい気持ちをかかえながら選んだ10選はこちらです。


さて、悔しい思いはあるもののそんな個別行ってみましょう。


『龍とカメレオン』4巻

『竜とカメレオン』もう4巻ですけど、とっても面白かったです!

若手漫画家の体に入れかわってしまった元人気漫画家。そうやってゼロからの再スタートをさせられる成りあがりマンガでありながらも、どこまでも少年漫画らしい熱さと勢いを持ったマンガなのです。
4巻は仲間集めの巻なのですが、出てくるライバルのキャラクターとかアシスタントとかも秀逸で、ひとクセもふたクセもあってワクワクします。まるでバトル漫画を見ているような高揚感にとらわれるんですよ。

普段はジャンプのバトルマンガとかしか読まない、なんていうかたでも十二分に楽しむことができる漫画家マンガです。アニメ化待ったなしの素晴らしい作品だと思いますので、皆さんも読んでみてください。


『平成敗残兵すみれちゃん』

そしてこちらは1巻出たばかりの作品。『平成敗残兵すみれちゃん』です。

元アイドルで、今は無職のすみれちゃん(31歳)が、いとこにそそのかされ、コスプレ写真集とかを出して、再び明るみを目指そうと奮起するお話です。
31歳なんて、まだまだ全然なんの問題もないと思いますけど、アイドルをやっていたのが10年以上も前となれば、カワイイ衣装とかに恥ずかしさを覚えるのも無理からぬこと。

そのへんを恥じらう感じと、意にそうような、そわないような感じで、順調に話が進んでいってしまうのが楽しい作品です。


『勇者様、〆切です!』2巻

『勇者様、〆切です!』面白かったんですよ。
面白かったのに、なんだかこう、見つかることもなく、しれっと2巻で完結してしまってわたしは大変悲しいです。面白いって。

そういえばこれも漫画家もので、漫画家の主人公が呼びだされて異世界で勇者をやらされるお話です。
頼まれれば勇者だってやらんことはないけど、それよりも締め切りが……と、原稿の心配がいつもついてまわるから、討伐もなるべく時短でいきましょうとか。そういう現実世界の現実的要素と、異世界の事情がいりまじる感じが楽しかったです。

しかもラブな要素もきたか?と思った矢先に完結ということで、非常に悲しい限りです。次作、めちゃくちゃ楽しみに待っています。ぜひ。


『生きのびるための事務』

というわけで、今月のSHURO枠(笑
SHUROにコビを売っているつもりはないのですが、毎月、オリジナリティあふれる作品を出しているのは間違いないと思います。

これはどちらかというと、ビジネス書のような読後感がある作品です。
生きるための「事務」なんて言われると、なにその仰々しいもの……って感じるかと思うのですが、実際のところは、自分がやりたいことで生きていくために必要な「意識の持ちかた」をマンガの形式で教えてくれます。補助線の引きかた、なんてイメージでもいいかもしれません。

そしてこのマンガは、実際にそうやって生きてきた坂口恭平さんの自伝がもとになっていますから説得力も抜群です。
将来、ネクタイして、死んだ魚のような目で日々生きるのはイヤだな、と思うかたは一度読んでみるべきですし、もういい歳になった大人のかたでも、これからささやかでもなにか「自分がやりたいこと」を実現するための一歩目として、こういう本に触れておくと役にたつと思います。

あ、マンガとしても十分楽しい作品なので、小難しいこと考えずに読んでもらってもなんの問題もありませんよ。


『配信アンダーマイコントロール』

こちらも新顔さんですね。いやわたしが知らないだけなんですけども(笑

出会い系で主役の男に出会って、そのイケメンぷりにゲーム配信のプロデュースを名乗り出るヒロイン。ゲーム配信ものですね。
どうやったら人気配信者になれるのか、っていう視点の作品はたぶん他にもあるような気がするのですが、今作は「見せかたがいい」なって思ってます。

こういうシーンを見せたい!っていう強い意志に基づいているというか、ここのシーンででつかんでやるぜ!という意思というか。
もちろんどんなマンガでも多かれ少なかれ、そういう意図はあると思うのですが、なんかああ、このシーン見せたいんだなっていう意図が、ババーン!と飛びこんできたんですよ。

そんな見せかたに魅せられて、心を掴まれてしまったのでした。


『呪文よ世界を覆せ』

ニコ・ニコルソン先生の新作ですね。
売れない若手芸人が短歌に出会うお話です。5.7.5.7.7のほうが短歌で、5.7.5は俳句。季語とかがいるほうです。

若手芸人が主人公だけあって、基本にぎやかなんですけど、そのなかにぬっと出でくる31文字の強さをすごく感じる作品なんですよ。短歌って強いんだなって感覚になりますし、魅了される人の気持ちもわかります。名作短歌に触れられるのも良きです。

若人のモラトリアム的な要素もありますから、短歌好きな人でも、まったく短歌に興味ない人でも楽しめる作品です。


『「たま」という船に乗っていた』2巻

一世を風靡したバンド「たま」の自伝を元にしたコミカライズですね。
2巻は「いか天」こと「三宅裕司のいかすバンド天国」に出場し、そこを勝ちぬきメジャーデビュー。そして一世を風靡していく様が描かれます。

みなさんも「さよなら人類」は一度は聞いたことがあるでしょう。
あのオリジナリティ。しかしあのどこまでもとがりきった独自性をもったバンドが一世を風靡して、世間に受け入れられてしまうという。あの時代の懐の広さというか、時代性といいますか。そんなある種の異常性を感じることができたのがとても楽しかったです。

値段は安くはないですが、2巻で完結してますのでぜひ!


『室外機室 ちょめ短編集』

去年、コミティアいったときに靴下ぬぎ子先生とかと一緒に何冊か買ったのですが、たまたまそこにちょめ先生の本も入っておりました。この『室外機室 ちょめ短編集』に収録されている作品ものっていて、やっぱりいいものは見つかって評価されるのね、と思ったものです。

全部というわけじゃないんですけど、表紙からもわかるように、かなり緻密な描きこみのある作風で、図書館の一面に本が並んでいたりと、シックな雰囲気もまたいいんですよ。

森薫先生とかを好きなかたは一度手にとってみてください。
いまのところ連載とかお話は聞いていないのですが、きっと準備しているところなのではないでしょうか。楽しみに待ちましょう。


『フォビア』3巻

こちらも完結の3巻でした。
『フォビア』は面白いですよ。フォビアって「恐怖症」のことなので、こう人外の何かが「わー!」っと出てきて恐怖にたたき落す、とかではなく、あくまでも誰しも持ちえる心の動きがかたよってしまった様子。そんなものがあまりにもかたよってしまったがゆえに恐怖につながる様を描いているんですよね。その万人性がすばらしいというか純粋にコワイんです。

やっぱり自分にも関係あるかも、って思わないと怖さって感じられないんですよね。映画のなかで大量虐殺が起こっても、「あ~ひどいな~」としか思わないじゃないですか。みずからにもその悪意が忍びよるかもしれないから怖さを感じる。

いやーいい作品でした。


『レタイトナイト』

そしてこちらは香山先生の新作です。

RPGのような世界感に、ちみつに決められた食べ物とかの設定。そして先生の独特な線からかもしだされるオリジナリティ。食べ物の設定とかはほんとページをさいて緻密に描かれており、世界だけじゃなくて食へのこだわりもここまである、という事実に感銘いたします。

物語は正直、まだむしろここからという感じがあったのですが、すでに心をとらわれたかたもいるのではないでしょうか。


その他

というわけでの10作品でした。
おしくも10選に選べなかったのはこちら。

いい作品いっぱいありますね。
『テラ麺』終わっちゃったんですけど大好きでした。「すこし、ふしぎ」な路線って基本的に好きなんですよね。その分、地味になりがちだったりはするんですけども……。

読み切りだと

こちらもとっても面白かったです。連載まったなし。
本誌に乗りこんでほしいくらいです。

さて、今週はいそがしいのでこのへんで。
またマンガを読むことにいたしましょう。


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