しつこく絡むその男【ショートショート】【#92】
「ねえ、君ひとりでしょ? 俺と一緒に飲まない?」
会社からの帰り道。私は、たまたま前を通りがかったBARにふらっと入りこみ、ひとりで飲んでいた。しかし誰かとしゃべって発散したいという気分ではなかったからひとりで飲んでいるのであって、見ず知らずの男に声をかけられて、一緒に飲もうなどという気になるはずがない。
「あーはいはい、ひとりで飲みたい気分だったんだから邪魔するなっていうんでしょ?」
「……お兄さんさっしがいいですね。その通りです」
そこで引き下がってくれればい