「男もすなる日記といふもの」とは、いふものの(マイブック 2021年の記録/新潮文庫)(1347字)

1月1日

新年1日目。


そして、『マイブック』の1頁目。


これから何を書き記そうかしらん……。


堀江敏幸さんの『彼女のいる背表紙』を読んでいると、内容とは一切関係なく、なぜか短歌を詠みたくなった。

・木漏れ日の明るい君の待つところ 僕は不遜にいびきをかいて

「秘密だよ」たぶん、気のせい いつだって、君は片方靴を脱ぐから

・「嫌、嫌」と首振る君の微笑とは 好きも嫌いも僕はいらない

画像1

記念すべき1頁目に書き止める。

1月2日

初谷むいさんの『花は泡、そこにいたって会いたいよ』が好き。

彼女のような短歌が詠みたい。


でも、わかっている。


彼女“のような”じゃなく、ぼく“だけの”短歌を詠まなくちゃ。

限りない僕の甘さに耐えきれず 君はほどけて 言葉たらずで

・「君を見たい」その願いには山椒を 僕はぐずって 後、先立たず

・あそこの子 ちっちゃな鼻には柑橘系 ものにしたいけど、僕は潰れて

画像2

イミテヰションは、お断り。

1月3日

三が日。


たまに行っている喫茶店の開店日。


窓際の席で、人通りの少ない路を眺めながら。

・「痛くないよ」騙し、騙しでフィクションへ 君の決意は蜜より脆く

・君の嘘 口付けた先、遠慮なく いたちごっこに傷を付けて

・「ほんとだよ」会ったことない僕よりも「人じゃない」って嘘、嘘ついて

・酔い止めは、月が欲しくなるこの朝に まあるくなってく蜂の子に

帰宅してから、もう一句詠む。

緩衝材 蜜月なんて、御の字よ 私の帝国、邪魔をしないで

画像3

R Sound Designさんの『帝国少女』を聞きながら。

(帝国少女/R Sound Design(2017年))

1月4日

本日は、イン・ザ・スタバ。


ほうじ茶をすすりながら。

・不確定『僕』も『私』も酩酊です 『その他』とかで、ごまかせばいい

・所詮はね“null”なんですよ、わからない?『檸檬』は漢字じゃ難しいから

「いい子だよ」? ウソがつけない君は、悪い子 こんなことなら夢でよかった
・帰ったら、ぜんざい

画像4

最後のは、ただのメモだね。

画像6

有言実行、作りました。

1月5日

リップクリームを使い切ってしまった。


「同じのでいいや」と思ったけど、なかなか見つからず。


結局、“Vaseline(ワセリン)”にした。

画像8

Musk Mint Vaseline……♪

(BL/女王蜂(2020年))

・「みずみずしい」とは、ただちに「みずくさい」泥濘の底 昼ドラ視聴後

・台風一過 「漂白したい」まあ、いっか 老い先短い おい、先行くな

・「してみたい」非行少女のひとりごと 面倒事は若い内に

画像9

その日感じたことと短歌の内容は、特に関係ないらしい。

1月6日

そんなこんなで、『目目、耳耳(もくもく、じーじー)』の更新日。


『マイブック』はこの5日間で、歌集と化した。


本日は6日目。もとい、6頁目。

・どこまでも危なっかしい君のため こんな僕でも鳴いてみせるよ

・「かわいいね」渡る世間はかわいくない 疎まれ愛されユーチューブ

・『まぎわらしい』間違えちゃったの、大真面目 まぎらわしいな『鍵』と『睫』

画像9




公開するのは、ひとまずここまで。


残り359頁は、どうなることやら。


このままだと、本当に歌集になるね。


それはそれで、まあいいか。


そんなわけで。


今年から、どうぞよろしく『マイブック』。

1/6更新

マイブック 2021年の記録/新潮文庫(2021年)

この記事が参加している募集

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 「サポートしたい」と思っていただけたら、うれしいです。 いただいたサポートは、サンプルロースター(焙煎機)の購入資金に充てる予定です。