ぼくらは たいせつな――とってもたいせつな つみきのいえに すんでいます。これから さきも ずっと。(つみきのいえ/監督:加藤久仁生)

僕には、パートナーがいます。


大切な、大切なパートナー。


僕らは、最近、結婚もしました。


僕はこれから、パートナーと一緒に、年を重ねていくのです。





『つみきのいえ』を最初にプレゼントしたのは、僕の方だった。


パートナーには、どうしても精神的にまいってしまう時期があった。それが、8月がもうすぐ終わるころ、もしくは、9月がそろそろ始まるころだった。


まだ一緒に暮らしていなかったこともあり、その間、パートナーは、僕に迷惑をかけてはいけないと、僕に会いたがらなかった。僕にも、そういう時期は定期的にやってくるので、パートナーの気持ちはよくわかった。だから、ほとぼりが冷めるまで、パートナーと距離を置くことにした。


パートナーに会えない間、僕は1冊の絵本を注文した。それが、『つみきのいえ』の絵本版だった。


『つみきのいえ』は、あるおじいさんの物語。


おじいさんが住んでいる街は、海面が上へ上へと上がってしまうので、街中が、海に沈んでいた。なので、おじいさんは、家が沈んでしまうと、その上に新しい家をつくり、その家も沈んでしまうと、またその上に家をつくり……。


ある日、ふとしたきっかけで、おじいさんは、高く高く積み上げてきた家の中を、下へ下へと潜っていく。おじいさんは、下へ下へと潜っていく度に、亡くなったおばあさんのことを思い出し……。


僕は、次に会ったときに、これを渡そうと考えていた。


何があっても――どんなに辛いことがあっても、僕がそばにいるよ、って。ひとりぼっちになんか、させないよ、って。





やがて、自分たちが住んでいる街が、We Wish You a Merry Christmas……と賑わい始めたころ。


クリスマスプレゼントに、パートナーはコーヒーミルが欲しいといってくれたけど、僕の方は、これといって、何も思い付かなかった。


欲しいものが、全く無いわけじゃない。でも、クリスマスに――一年に一度だけの特別な日に、欲しいものって、何だろう……。


すると、パートナーの方から、提案があった。


「『つみきのいえ』にする」


パートナーは、いった。


「原作の方は、まだ持ってないでしょう? 今度は、自分が××さんに、プレゼントするよ」


僕はそれを、とてもすてきな提案だと思った。





僕には、パートナーがいます。


大切な、大切なパートナー。


僕らは、最近、結婚もしました。


僕はこれから、パートナーと一緒に、年を重ねていくのです。


君と出会ったこれまでの日々が――これからの日々が、僕らの宝物。


僕らの、つみきのいえ。

12/25更新

つみきのいえ(pieces of love Vol.1)/監督:加藤久仁生(2008年)

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