ぼくらは たいせつな――とってもたいせつな つみきのいえに すんでいます。これから さきも ずっと。(つみきのいえ/監督:加藤久仁生)
僕には、パートナーがいます。
大切な、大切なパートナー。
僕らは、最近、結婚もしました。
僕はこれから、パートナーと一緒に、年を重ねていくのです。
*
『つみきのいえ』を最初にプレゼントしたのは、僕の方だった。
パートナーには、どうしても精神的にまいってしまう時期があった。それが、8月がもうすぐ終わるころ、もしくは、9月がそろそろ始まるころだった。
まだ一緒に暮らしていなかったこともあり、その間、パートナーは、僕に迷惑をかけてはいけないと、僕に会いたがらなかった。僕にも、そういう時期は定期的にやってくるので、パートナーの気持ちはよくわかった。だから、ほとぼりが冷めるまで、パートナーと距離を置くことにした。
パートナーに会えない間、僕は1冊の絵本を注文した。それが、『つみきのいえ』の絵本版だった。
『つみきのいえ』は、あるおじいさんの物語。
おじいさんが住んでいる街は、海面が上へ上へと上がってしまうので、街中が、海に沈んでいた。なので、おじいさんは、家が沈んでしまうと、その上に新しい家をつくり、その家も沈んでしまうと、またその上に家をつくり……。
ある日、ふとしたきっかけで、おじいさんは、高く高く積み上げてきた家の中を、下へ下へと潜っていく。おじいさんは、下へ下へと潜っていく度に、亡くなったおばあさんのことを思い出し……。
僕は、次に会ったときに、これを渡そうと考えていた。
何があっても――どんなに辛いことがあっても、僕がそばにいるよ、って。ひとりぼっちになんか、させないよ、って。
*
やがて、自分たちが住んでいる街が、We Wish You a Merry Christmas……と賑わい始めたころ。
クリスマスプレゼントに、パートナーはコーヒーミルが欲しいといってくれたけど、僕の方は、これといって、何も思い付かなかった。
欲しいものが、全く無いわけじゃない。でも、クリスマスに――一年に一度だけの特別な日に、欲しいものって、何だろう……。
すると、パートナーの方から、提案があった。
「『つみきのいえ』にする」
パートナーは、いった。
「原作の方は、まだ持ってないでしょう? 今度は、自分が××さんに、プレゼントするよ」
僕はそれを、とてもすてきな提案だと思った。
*
僕には、パートナーがいます。
大切な、大切なパートナー。
僕らは、最近、結婚もしました。
僕はこれから、パートナーと一緒に、年を重ねていくのです。
君と出会ったこれまでの日々が――これからの日々が、僕らの宝物。
僕らの、つみきのいえ。
つみきのいえ(pieces of love Vol.1)/監督:加藤久仁生(2008年)
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