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「カフェオレ」と「カフェラテ」の違い?(今朝は、カフェオレ)

11/5。

5:15起床。

天気は晴れ。


――この前訪れた本屋さんでね、店員さんが「カフェオレ」を「カフェラテ」といい間違えそうになっていたんだよ。

――どっちが正解だったの?

――「カフェオレ」だった。

――ふうん。じゃあ、これは?

――え?

――これは、「カフェオレ」なの? 「カフェラテ」なの?

ぼくは、手元のカップを見下ろした。温かいコーヒーに、温かい牛乳を混ぜたもの。


アルネも、同じようにカップを見下ろしていた。ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。

――そもそも、どっちも牛乳を混ぜたものだよね。「オレ」も「ラテ」も……。国によって、呼び方が違うのかな。

――じゃあ、どっちも輸入する必要ないじゃない。

――ちょっと待ってね。……ええと、「カフェオレ」はフランス語、「カフェラテ」はイタリア語……。

――それだけ?

目の前のお嬢さんは、まだ納得してくれないみたいだ。それは、ぼくも同じだけど。

――あ。

――何?

――コーヒーが違うって。「カフェオレ」は普通のコーヒーで、「カフェラテ」はエスプレッソらしい。

――普通のコーヒー?

――コーヒーの淹れ方が違うんじゃないかな。「カフェラテ」はイタリア語……。イタリアには「バール(bar)」っていう、コーヒーをくいっと飲むための店があるくらいだし。フランスとは、ちょっと違うのかも。

――ふうん。

――あとは……牛乳の割り方? 「カフェラテ」の方が、牛乳の割合が大きいみたい。まあ、エスプレッソは苦いからね……。とりあえず、ぼくらが飲んでいるのは「カフェオレ」みたい。

ふと、アルネがこちらをじっと見つめているのに気付いた。それも、もの珍しそうな目で。

――何?

――それ。

――それ?

――『バールのイタリア語』っていう本。そんな本持ってたっけ?

――ああ。

ぼくは、カバーを失くしぼろぼろになってしまったソレを眺めた。

――イタリア語に興味がある時期があったからね。これは「バール」について書いてあるから、コーヒーにも興味持ったし。

――イタリア語……。イタリアに行きたいの?

――どうだろう。でも、イタリアに行けたらフランスにも行けるよね。位置的に。そしたら、本場の「カフェラテ」と「カフェオレ」の飲み比べができるよ。

ふふふ、と笑うぼくに、アルネは肩をすくめた。ほんの少しだけ、微笑みを浮かべて。

――いつか行けるようになったら、アルネも一緒に行こうよ。

――私は、イタリア語もフランス語もできないけど?

――ぼくだって、できないよ。でも、コーヒーに言語は関係ないよ。

――さっき、言語の違いがどうのって、いってなかった?

ぼくらはくすくす笑いながら、いつか叶えたい夢に思いを馳せた。



参考:
奥村千穂『バールのイタリア語』三修社,2009年
『カフェオレとカフェラテの違い、カフェラテとカプチーノの違いも』(2020/11/05アクセス)



「僕だけが、鳴いている」


これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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