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自分の職業に当てはめる『最善手ドリル』★6★

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こんにちは! 藍澤誠です。今日は塾が2年目に入った段階での問題です。今回、最善手は簡単に選べると思うのですが、残りがダメである理由をきっぱり答えることを目標にしてください。またご自身の職業や置かれている状況に当てはめてみるのも面白いと思います。

【問題】

スタートアップは成功! 2年目に突入したあなたの塾(先生1対生徒1の形式)の生徒数は、増加の一途です。生徒からは週に2回以上来たいというリクエストも多く、あれほどガラガラだったスケジュールは、どんどん埋まり始め、このままだと在籍中の生徒をさばききれなくなり、新規の生徒を迎え入れることもできなくなりそうです。さてどのような手を打てばいいでしょうか。

①ここで調子に乗らず、開塾時に立てた1対1のポリシーを貫く
②教室の机を増設し、1対2、1対3という形で対応していく。
③これをきっかけに、授業のネット配信へ踏み切る。

制限時間2分

【解説と解答】

①は明らかに悪手だ。生徒数増加=調子に乗る、という捉え方がおかしいセットアップから次の段階へ入っただけだ。初期の「1対1を貫きたい」というポリシーは、意を酌んで抽象すれば「きめ細やかに対応したい」ということだろう。しかし、その「きめ細やかな対応」とは何に向けられているのか? 

自分が与えたいもの、すなわち「授業内容のきめ細やかさ」だけをイメージしていないだろうか? 生徒視点でいうと、週に2回、極端な子だと週に5回など、数多く塾に来たい。またにぎやかに楽しくやりたい、新しく連れてきた友だちとやりたい、というリクエストも多い。そうした相手のリクエストにこそ、きめ細やかに対応することが重要だ。

自分が求めている「きめ細やかさ」が、生徒のリクエストに対するきめ細やかさなのか確認されたい。「自分はこのような内容を、このように与えたい」という感じで、自分発のきめ細やかさベースになっていないだろうか。相手のリクエストに応じた上で、さらにどうやって教えていくかを考えていくと良いだろう。

実際問題、会う回数・授業回数を増やした方が、結果的に「自分発のきめ細やかさ」を発揮するためのスキルもアップする。また生徒においては、自分以外の他者がいることで、そこに学びが生じる。複数人の場だからこそ生まれる「創発・相乗効果・化学反応」などを上手く利用すれば、自分のイメージしていたきめ細やかさよりも、さらに多くの学びを提供できるであろう。

「③これをきっかけに、授業のネット配信へ踏み切る」も残念ながらここでは悪手。そもそも生徒の「週に2回以上来たいというリクエスト」に応えていない。「ネット配信のように、多くの人にサービスを届けるのが正義」「果敢に新手にチャレンジ」というコンセプトはわからなくもないが、まずは目の前のリクエストに、できるだけ早く応えたい

次の段階、サードステップでは、③は大事な考え方になるかもしれないし、③のコンセプトを着想した時点で、あなたにはビジョンがあるのだから、セカンドステップにおいても、部分的にその可能性を追求したり、準備を地道に進めるべきであろうが、今回の設問の答えとしては不適。

最善手:②教室の机を増設し、1対2、1対3という形で対応していく。

◎実戦の棋譜を見てみよう

生徒数が増えてくると、大変なことがいろいろでてきます。まず事務の量が一気に増える。そして問題にあるようにスケジュール管理ですね。1対1を維持するために、朝の5時半から朝勉をする、土日祝も授業をすることで対応しました。「何カ月も授業がない日がない」という状態は、若かったから(当時25歳)乗り切れたものの、明らかに悪手です。

そんな1対1の形式を早めに捨てられたことは、すごく大きかったです。机といすを増やし、まずは教室で3人同時にやるようにしました。学年や相性を考え、上手く組み合わせると、教室に活気が出ました。静かにやりたいグループはその子たちを集めて、まったりと和やかに。比較対象が生まれたおかげで、それぞれの勉強スタイルもくっきりします。自分にだけ注意が向けられないので、生徒もリラックスできますし、こっちも息が詰まるようなことはありません。いいことづくめでした

経営の面からも、複数の人数を週に複数回やれることは、収入の大幅増につながります(2018年現在は1対1~6でやっています)。むしろ、これから塾を開く人は「最初から1対複数人の形式で始めても良い」と思います。

ポイントは先述しましたが「相手のリクエストに応じる」方向にシフトできるか、ということです。その上で当初思い描いていた理想を上回るメリットを見つけるのが最善手だと考えます。「理想を上回るメリットが必ずあるはず!」とワクワクしながら「自分の思い込み」を破るのが善いと思います。

◎さらに自分の限界が判る

そして私の場合、自宅教室では手狭になり、外部に教室を構えることになりました。そこで人数をさらに増やしたのですが(8人~10人を相手にする)、スキルの面でも事務的な面でも手一杯になってしまい、限界の人数(7人まで)が見えてきました。学年を揃えて、一斉授業をするのであれば話はぜんぜん別ですが、学年も内容もばらばらだと、今は7人が限界です。

◎自分の職業に当てはめてみよう

私は塾の傍ら、2018年から、ノーター(noteで作家活動)をしているわけですが、今回のドリルで自分の仕事ぶりをセルフチェックしてみます。

まず、私が初期段階に抱えていた執筆の思い込み

「時間をかけて丁寧に書けばいい作品が生まれる」

というのは、執筆回数を増やしてみると(=noteにたくさんのジャンルでたくさんのものを書いてみると)まったくの誤りであるということがすぐにわかりました。これは1対1が一番良いという思い込みを、思い切って生徒数を増やすことで打破したのに似ています。

一作を完成させるごとに明らかに執筆スキルが向上する(丁寧にかけるようになる・時間をかけずに書けるようになる)。そして次に活かせる収穫が必ずあるし、別ジャンルの作品が書きたい意欲も沸くので、とにかく私の場合、数多く作品を生むことが重要だとわかりました(※今は、まだ理想の5分の1の執筆ペースですが・・・)。

これは生徒との授業回数が増えるとスキルが上がり、具体的な一人一人に対し、教えたいことがどんどん増えてくる、生徒の個性と、それぞれの要求を見抜きやすくなるのと似ています。

またnoteという比較対象がある場で発表していると、自分と他者の表現方法や視点の違い、発表ペースがつかめる。これも思わぬ収穫でした。あくまで想像上の連帯感ですが、一緒にやっている感が楽しいですし、自らが選び取ったタイムラインの中にとどまっていれば、賑やかで居心地がいい。さらに外(noteのおすすめや、フォロー外の世界)に出ればまったく違う景色が拡がっている。これは先生視点というより、生徒視点ですね。

自分の塾は「こんな先生がいたらいいな」「こんな塾があったら通いたい」という生徒の目線からスタートしたわけですが、「こんな作家がいたら追いたい」「こんな作品があったら見てみたい」という感覚で、自分の活動を客観視しながら、どのような執筆ペースとコンテンツがユニークだろうかと想像しつつ、執筆をしています。

★7★につづく




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