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謎の頭痛(2) 正体は、ラムゼイ・ハント症候群。

鏡に向かって笑ってみると、顔の右半分は頬も口角も1ミリも上がらず、唇は一文字のまま笑顔の左側に引っ張られている。
悪だくみが思惑通りに運んだときのほくそ笑みみたい。

右眼は潤みもしないのに、左眼からはぽとぽと、涙が落ちた。

● 涙の理由

その涙の理由は、右側の顔面神経麻痺のためであり、病の意味に思い当たったからでした。

西洋医療のお世話になり判明した謎の片頭痛の正体は、耳の帯状疱疹、「ラムゼイ・ハント症候群」(ハント)の前駆症状でした。そして代表的な後遺症、顔面神経麻痺やめまいなどが4か月後も続いています。
食べているだけで涙が溢れてきます。が、これは右眼からだけ。「ワニの涙」と呼ばれる後遺症の一つです。

体幹に出る帯状疱疹と比べて稀な病だそうですので、前回(1)の続きから私の場合の症状、医療を選択する際に参考になった情報などをご紹介したいと思います。
また次回、症状と治療の詳細、試したことや病からの氣付きと学びなどをシェアさせていただきたいと思います。
ご参考になることがあれば幸いに思います。

● 前駆症状の頭痛

先回、9月5日(日)の記事では、その週末3日間、それまでに経験のない謎のしつこい片頭痛に悩まされ、病院にかかる前に対症的に自分で試したことをシェアさせていただいていました。

市販の鎮痛剤の前に試したのが、アロマオイル全集中の呼吸です。一時的ではありましたが、たしかに痛みの軽減に役に立ちました。
ただ今回は3日ほどかけて次第に強くなっていったため、いつもとは違う異変を感じ、週明けに病院に行くことを決めました。

そのことを書いてアップしたのはお昼過ぎのことでした。遅めの昼食を取った後、痛みは続いていましたが急に出かけなければならなくなり、外に出てみるのもよいかも、と前向きに考えて出かけ、夜に帰宅した後の話です。

✅ラムゼイ・ハントの急性期の症状と診断

遅めの夕食後、突如、激しくグルグル回るめまい激しい嘔吐に襲われました。そんなめまいは初めてのことで訳が分かりませんでした。
日曜の深夜、めまいと嘔吐が止まらず、水分も取れず、便器にしがみついて意識は朦朧としながら数時間拒んだ末、救急のお世話になることになってしまいました。

コロナの検査は陰性でしたが、病院にスムーズに受け入れていただけたことは大変心強く、命に別状はありませんでしたが一番辛かった状態を救っていただきました。救急と病院の方々には本当に感謝しています。

3日前からの頭痛のことも伝えたため、救急病院では点滴を受けながら、脳と食中毒の検査を一通り受けました。

入院の翌日、頭痛は嘔吐が治まるまでは消えており、検査でも頭痛に関係する異常はないことがわかりました。
代わってその頃、耳介が中心からジンジン熱く、赤くなり、目に見える形でハントの症状が出始めました。

2日目、脳神経外科医の勧めで耳鼻科で視診と聴力の検査などを受けた結果、耳の帯状疱疹、ラムゼイ・ハント症候群の診断が出ました。その時点では、水疱も顔面神経麻痺も難聴もわずかに出始めた程度で私自身は自覚していませんでした。

✅ハントの原因は共生していたウイルス

「水疱瘡・帯状疱疹ウイルス」(ヘルペスウイルスの一種)は、水疱瘡に罹った後、長年にわたって神経節(しんけいせつ。神経の節目)に潜んでいるウイルスです。
疲れやストレスをきっかけに、突然暴走し、神経節から神経に沿って出てきて神経細胞を攻撃することで、通常の帯状疱疹は体幹の片側に発疹や強い痛みを発症します。一生そのように暴走することなく、宿主の命と共に終わる方が割合的には多いそうです。
私のように耳に出るものは、ウイルスが潜んでいた場所がたまたま耳の近くの神経節であったために、耳介から内耳の耳全体と、耳の下から出て扇状に伸びている顔の筋肉を動かす神経まで侵されることになったものです。内耳には平衡感覚を知覚する神経もあるため、めまいの原因となります。

ズキンズキンとしつこく続いた頭痛は、脳神経外科医は頭痛は片頭痛ではないかとの見解でしたが、私は水疱瘡・帯状疱疹ウイルスが神経を攻撃していたためだと思っています。長年片頭痛持ちの自身が、いつもの片頭痛とは痛みの質が明らかに異なると感じた違和感が根拠としか言えませんが。

● ハントの症状、私の場合

発症の約1週間前からは下記のような前駆症状がありました。

・微熱
・片側の扁桃辺りの痛み
・舌の片側の軽い痺れと味覚異常
・頭部の浅い場所かつ片側のみにズキンズキンと断続的に襲う強い頭痛
・軽くフラッとくるめまい

ノックダウンに至った急性期の症状

・激しい回転性のめまいとそれに伴う激しい嘔吐
・耳の発赤、水疱(水疱瘡様)、低音域の難聴、耳鳴り
・めまい(グルグル回る、歩くとフワフワ、頭が動くとグラグラ)
・片側の顔面神経麻痺

ベースに身体的な疲れがあり、これらの前駆症状でサインが出ていたのに十分な休息を取るなどの養生をせず、そこに精神的に強いストレスがかかったため、激しい症状が出たのだと考えています。

私の頭痛は数週間で完全に治まりましたが、一般的には本症状で痛みが長く遺ることも多いそうです。

命に別条のない症状ばかりとはいえ、何か月にもわたり動くこと一切に支障が出たのが一番きつかったと思います。
それでも次第にカラダが不具合に順応していってくれるのが身体の妙だと思います。カラダって、本当にすごい創造物です。

● ラムゼイ・ハント症候群についての参考情報

分かりやすく、患者として勉強になったサイト

✅顔面神経麻痺の手術について

一部の医療機関などのサイトの説明では、圧迫減荷術という手術を検討すると説明されています。

※顔面の完全な麻痺がある患者では、顔面神経への圧迫を取り除くための手術が必要になることがあります。

引用:耳帯状疱疹/MSDマニュアル家庭版

私は顔面神経麻痺の専門医による検査で「重度」の診断、完全に動きませんでした。その医師によれば手術(減荷術)は「自然治癒で60%まで回復するものを良くて70~80%にするもの。顔面神経の管は大変細く、そこに何本もの神経がまとめて入っている特殊な神経。その管を切開して行うのでリスクは当然ある」という説明でした。

圧迫は神経線維の炎症によるものです。断裂している場合には圧迫は既に解放されており、適用に当たりません。では神経をつなぐことはできるかを尋ねたところ、顔の神経は細い管に密集しているので難しいという回答でした。
私の場合には、発症3日後には重度と言われており、電気刺激による検査の結果からも、神経は断裂しているだろうとの見解でした。

神経の断裂は、専門医と鍼灸師の説明によると、炎症によって何本もの神経線維が細い管の中でパンパンに膨らみ、管が膨張に耐えられなくなってブチ切れて起こるそうです。

この段落は、先述の圧迫を取り除く手術(減荷術)に対する私見です。
圧迫を取り除くのは神経線維の断裂を防ぐためであり、であれば、炎症が進んでいる真っ最中でなければ意味がないはずです。そもそも炎症は自己免疫がウイルスの攻撃に反撃してがんばってくれている状態です。反撃が終了すれば元に戻ります。断裂してしまったら、やはり意味がないことになるはずです。仕組みを理解したら、私には必要ないとすぐに判断できました。
率直に正直に、分かりやすく説明をしてくださった専門医にとても感謝しています。

✅顔面神経麻痺のリハビリ

生活に大きな支障が出るめまいや痛みと比較すると、顔面神経麻痺は片側のみであることもあって優先順位は後になりそうですが、専門医と理学療法士によると、リハビリは可能な限り早期に始めた方がよいそうです。ただし、この専門医から私に告げられた通り、神経が断裂している重度の場合のリハビリは、自然治癒によって神経の再生が進み、動き始めてから開始するとのこと。それまでは顔の筋肉が固まらないようにマッサージすることと血行を良くすることを指導されました。

2011年に日本顔面神経研究会が出版した「顔面神経麻痺 診療の手引きーBell 麻痺とHunt 症候群」や学会で積極的に勉強されている鍼灸師によると、動かない段階で動かそうと無理なリハビリしていると、神経の再生時、隣り合う別の神経につながってしまう「迷入」などが起こりやすいことがわかっているのでやらないように、とアドバイスされました。
神経は1日に0.1mmずつ再生していくそうです。詳細は上記鍼灸院のページをご参照ください。

● 西洋式であれ東洋式であれ

やはり、病の原因を作ったのが自分であれば、治すのも自分。栄養と休養をしっかり摂り、血行を良くして、自分の自然治癒力を日常生活でしっかり支えることが大切なのだと身をもって痛感しました。
加えて、自分のカラダの力を信じること、信頼して応える(行動を取る)ことでその力は何倍にもなりうる、という見えない世界、科学がまだ証明していない世界の法則も信じて実行することが、とても大切だと、また身をもって感じています。

次回は、症状と治療について詳述する予定です。

作業時間を確保しづらくなったこと、視力低下、肩こりなど諸々の事情により作業がなかなか進まず、2ヶ月近くかけてようやく半分アップすることができました。なお後から細かな訂正・修正など入れる可能性がありますこと、予めお詫び申し上げます。何卒ご了承くださいませ。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

24時間365日がんばっているカラダに感謝して、
ご氣元に、元氣で、過ごしましょう!

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