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コペンハーゲン・ボーイズ

コペンハーゲンの男の子たちは、カフェやジェラートのお店でよく働く。
それも、女性が好みそうなお店で。

ちょっと雰囲気が素敵な、味のあるカフェやジェラートのお店にフラッと立ち寄ると、決まって彼らがいて、チャーミングな眩しい笑顔で出迎えてくれる。

ストロイエという目抜き通りから1本裏通りにある、”Cafe KISS”というカフェ。

緑と白のサンルーフ、各テーブルに置かれたキャンドルの炎が美しく幻想的で、引き寄せられるようにお店へ入った。

店名通り、様々な時代、様々な性別によるキスの写真が、店内の壁一面に飾られていて。

たしか、ベルリンの壁跡地に今も飾られている男性同士のキスの写真もあったと思う。

そんな美しい店内に気を奪われていると、Hiと事も無げに話し掛けてくる青年。

まさか、こんな味のある古めかしいカフェで、私とさほど年が変わらなそうな若い青年が働いているだなんて。

そんな待遇に慣れていない私は、やはりちょっと面食らってしまってしまうのだ。

ドギマギしながら、でもなるべくしれっとした顔で取り繕いながら英語で注文をすると、彼らも同じように、実に滑らかに英語で返してくれる。

なんというのだろうか、彼らの所作の全てが無駄がなく、スムーズで軽やか、爽やかなのである。
それでいて、いつ何時も笑顔を絶やさない。

これは、お店で働くスタッフのまさに鏡と言えるのではないだろうか。

港の側、ニューハウンにあるジェラート屋さんに入った時のこと。

こんがりと日焼けをした白人の群れに混ざり、私と友人もジェラートの列に並んでいた。

種類を決めてオーダーし、お金を支払おうとカードを取り出したのだが、カードリーダーが1台しか無いらしく、隣の客の支払いが終わるのを暫く待たなければならなかった。

が、その時のスタッフの笑顔が実に素晴らしかったのだ。

例えて言うならば、紙を軽くクシャッとした時のような、少しはにかんだような笑顔。
そんな顔で”Sorry”と言われて、不快な思いをすることがあるだろうか。

あれほど気持ちの良い”Sorry”は、他に聞いたことがない。

きっと、コペンハーゲンのボーイズたちは、俗に言う乙女心というヤツを、すっかり手に入れてしまっているに違いない。

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