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いつか、私が、お母さんになったら




いつか、私がお母さんになったら。


あなたを、たくさん、愛してあげたい。

あなたと、ずっと、一緒にいてあげたい。



あなたを苦しいくらいに、ぎゅって抱きしめたい。

あなたにわがままを好きなだけ言わせてあげたい。

あなたの大好物を好きなだけ作ってあげたい。

それを美味しく食べてる姿を、いつまでも見ていたい。



お母さんは、あなたのことが大好きだよ、と、
何度でも、しつこいくらいに、伝えてあげたい。



毎日、大好きと言ってあげたい。

毎日、かわいいねと言ってあげたい。

毎日、あなたの綺麗な髪を結ってあげたい。


あなたが笑っていてくれることに、感謝していたい。

あなたが生きててくれることに、感動していたい。

あなたが大きくなって、1人の女性になっていくのを、
数え切れないくらいの写真に残しておきたい。



あなたが初めて笑った日。

あなたが初めてママと呼んでくれた日。

あなたが初めて立ち上がった日。

あなたが初めて歩いた日。

いくつ記念日があっても足りない。



あなたが初めてランドセルを背負ったら、
その箱には抱え切れないほどの夢と、喜びで、
これからの将来が溢れるようにと、願うの。

あなたが泥だらけでお友達と楽しく遊んで、
いつでも走り回っていられる毎日が続くことを、願うの。

あなたの心が、常識や世間なんかに縛られず、
いつも自由で、いっぱいの優しさと愛で溢れていることを願うの。

あなたのやりたいと言う習い事、全部させて、
あなたの可能性と感性がどこまでも伸びていくことを願うの。





もしも私に似たら、
きっと初恋は早くて、
たくさん恋をする人生になるかもしれない。

あなたが恋をしたら、誰よりも応援したい。
好きな人にあげるバレンタインのチョコを、
まだおぼつかないあなたの手つきを見守りながら、一緒に作ってあげたい。

あなたの話を、たくさん聞いてあげたい。
学校であったこと、嬉しかったこと、
悲しかったこと、好きな人のこと、
あなたが話し疲れて眠るまで、全部聞いてあげたい。

あなたに生理が来て、大人の仲間入りをしたら、
昔ながらだけど、お赤飯を炊いてお祝いしてあげたい。

あなたが友達と喧嘩したら、絶対味方でいてあげたい。
学校で辛いことがあったら、
手を握って抱きしめて、一緒に眠りたい。
学校なんか行かなくていいよって、
あなたの居場所はここにあるからねって、言ってあげたい。




あなたが夢を語ったら、
あなたならできるって、誰よりも信じて、伝え続けてあげたい。

あなたが反抗期を迎えて、あなたとケンカしたら、
遠慮なくケンカしたい。

あなたが誰に何も遠慮せず、泣いたり、怒ったり、
悲しんだりできるように、
お母さんも、我慢なんてしない。

あなたも自分の気持ちを、いくらでもぶつけてほしい。

愛情も感情も、さらけ出せる母娘でいたい。

誰にも遠慮せず自分を愛して、相手も愛せる母娘でいたい。

そして、ケンカした次の日には、
ごめんねって、抱き合える母娘でいたい。





あなたが、どんどん綺麗になっていくのを、
とびきり嬉しく、どこか寂しく、見守っていたい。

あなたが素敵な恋をして、綺麗にお化粧をして、
とびきり素敵な笑顔でスキップしながら家を出るのを、
ときに涙を流して、青春の渦の真ん中を、
真っ直ぐ、勇敢に進んでいくのを、
祈りながら見つめていたい。

初めての朝帰りの日は、
心配で眠れないかもしれないけど、
きっと、それ以上に、すごく嬉しいと思う。





あなたが家を出る日には、
この家に生まれてきてくれてありがとうと、伝えたい。

あなたがいつでも帰ってこれて、
安心できる家を守っておくから、
いつでも帰ってきてほしい。

あなたが二十歳になったら、
ここまで生きててくれてありがとうって言って、
あなたが、ひとりで、
どこにでも飛んでいける翼を得たことを、一緒に喜びたい。

大人になっても、毎年、お誕生日には、
あなたの大好きなケーキを一緒に食べたい。





あなたが素敵な男性に愛されて、
どんどん素敵な女性になるのを、見守っていたい。

もしも私に似たら、男を見る目は心配だけど、
そんな心配は無用でしょう。

だって、あなたには、愛する力があるからね。

愛する力はね、この世でいちばん、強い力なの。

あなたの愛は、ちゃんと未来をつくっていけるから、
何があっても、絶対大丈夫。


あなたの結婚式では、
あなたの息を飲むような美しさと、
あなたの愛を覚悟する姿に、
その場にいる誰よりも、泣いてしまうかもしれない。

いつか孫が生まれたら、
お母さんになったあなたを見たら、
嬉しくて、たまらなくて、泣いちゃうだろうな。

あなたなら、最高に素敵なお母さんになれるよ。
だって、私の娘だから。




あなたが、あなたらしく、
いつも、あなたの人生を自分で選んで、
笑っていてくれたら、私はそれが幸せ。

あなたの姿は、いつも、私の喜びなの。
あなたの姿は、いつも、私の勇気なの。
あなたの姿は、いつも、私の希望なの。

なんでもしてあげたい。
私にできること、なんでもしてあげたい。

与えないことも含めて、
私に与えられるもの、全てを与えてあげたい。

あなたの人生が輝いていくのを、ずっと見守っていたい。


お母さんのために、なんて生きないでね。

私も、あなたのためには生きない。

自分のために、生きるの。

自分の人生を、命を輝かせて、謳歌する母娘でいたい。


そして、最期は、
あなたの幸せな笑顔に見送られて、
愛させてくれて、ありがとうって、
私の娘で生まれてきてくれて、ありがとうって、
あの世に旅立つの。


私、あなたのお母さんになれて、よかった。





*******






ねえ、お母さん。

お母さんも、そうだったよね。
お母さんも、私に、たくさん、たくさん、してあげたかったよね。
それができなくて、
ほんとに、悲しかったよね。
ほんとに、悔しかったよね。

私、これまで、娘としてしか、お母さんのこと、考えてなかったの。
どうして、いなくなったの?って、ずっと思ってたの。

でもね、私、お母さんになること想像して、
娘、が出来たことを、初めてこんなに想像できて、浮かんできたの。
お母さんの気持ちが、私の心に、降りてきたの。

お母さんが、どれだけ、私のことを、愛していたか。
どれだけ、私のことを愛し続けていたかったか。
どれだけ、生きて、私のそばにいたかったか。



でもね、お母さん。
そばにいられなかったことを、悲しまないでね。
ごめんね、なんて、思わないでね。

だってね、たぶん、
私、お母さんとの別れが、こんなに早く来ること知ってたの。
お母さんが、いなくなること、わかってたの。

わかってて、短い間しか、
一緒にいられないこと知ってて、
それでも、お母さんの娘になりたかったの。
それでも、私、どうしても、お母さんがよかったの。
だから、お母さんのところに、生まれてきたの。


そしてね、どうして、
お母さんのところに生まれてきたのかは、
私、たぶん、もう、知ってるの。

私らしく、愛して、愛されて生きてくために、
お母さんのことを選んで、生まれてきたんだよ。


お母さんが、できなかった分も、
お母さんが、叶えられなかった分も、
愛に生きるために、私、生まれてきたんだよ。

だからね、
私を、愛してくれる人がいるの。
私に、愛させてくれる人がいるの。
私に、愛を教えてくれる人がいるの。

私、みんなと、生きてるの。
迷ったり、転んだり、するけど、
それでも、何度でも、愛を生きることを選んでるの。

私に愛されるのを、待ってる人がいるの。
私を愛したくて、待ってる人がいるの。
私と愛を知ることを、待ってる人がいるの。

私は、その人と、出会い、生きるために、歩いているよ。





私、やっぱり、お母さんを選んでよかった。

だって、愛されたいと、
心から誰かと繋がりたいと、
こんなに、願えるから。

何があったって、それでも愛したいと、
こんなに、思えるから。





お母さん。

私、お母さんの娘になれて、よかったよ。


あなたのサポートと、気持ちを受けとったら、きっとまた素敵な文章を生み出しちゃいます。応援に、文章でお返しし続けられるような、生きるアーティストでいたい。