愛野ひと

愛情アーティスト/心理カウンセラーとして、『涙の過去を愛の物語にする』ために活動してい…

愛野ひと

愛情アーティスト/心理カウンセラーとして、『涙の過去を愛の物語にする』ために活動しています。 ブログ『愛しすぎる女の情熱的幸福論』(https://ainohito.com/)

最近の記事

心が壊れるほどの「寂しい」の先で辿り着いた、胸いっぱいの「愛してる」

強くて優しくて怒ると怖いお父さんが泣いているのを、生まれて初めて見たのは、私が5歳のときだった。 「お母さん、死んじゃった」 川沿いにある、灰色の砂利が敷き詰められた、ただっ広い病院の駐車場で、お父さんは私にそう告げて、苦しそうに、ポロポロと、涙を流していた。 いざというとき、言葉は何の役にも立たない。 5歳の私も、例外ではなく、そのときに発することのできる言葉なんて、持ち合わせていなかった。 それどころか、目の前で起きている、二つの大きな悲しみに、意識も心もからだ

    • バレンタインなんか、大っ嫌い。

      あげる予定もなくて、あげたい人もいない。 三度の飯より恋をください、の私にとっては、 そんなバレンタインは、たぶん久しぶりだ。 バレンタインの数日前、マッチングアプリで知り合った人と、あわよくばの駆け込みデートを入れていたのだけど、とてもいい人だった、という、それ以上でもそれ以下でもない、またお前か、というくらい馴染みのある感覚で、最後の期待も儚く散ってしまった。 その日から、やけに気分が重たくて、からだもこころも思うようにならなくて、不調を抜けないまま、今日を迎えた

      • 娘だった私の本音と母の願いに出会った旅。

        6歳。 私が、母を亡くした年齢。 その年齢の子と母親の姿を見て、私の心が感じたこと。 娘として、もっとお母さんに甘えたかった、という本音。 いつか母になったら、こうしてあげたい、という願い。 母であり、娘である、あなたに届くといいなと思い、書きます。 この記事に書いた詩が、生まれた旅の話。 ***** 少し前に、旅をした。 行先は、長野県。八ヶ岳の麓。 そこに、カウンセラー仲間であるひとりの女性が移住した。 彼女は、本当に自分が好きな場所で生きると決意し

        • いつか、私が、お母さんになったら

          いつか、私がお母さんになったら。 あなたを、たくさん、愛してあげたい。 あなたと、ずっと、一緒にいてあげたい。 あなたを苦しいくらいに、ぎゅって抱きしめたい。 あなたにわがままを好きなだけ言わせてあげたい。 あなたの大好物を好きなだけ作ってあげたい。 それを美味しく食べてる姿を、いつまでも見ていたい。 お母さんは、あなたのことが大好きだよ、と、 何度でも、しつこいくらいに、伝えてあげたい。 毎日、大好きと言ってあげたい。 毎日、かわいいねと言ってあげたい。

        心が壊れるほどの「寂しい」の先で辿り着いた、胸いっぱいの「愛してる」

          どうしようもなく好きだったあの人は、私じゃない人と結婚した。

          「あの人が結婚して、どうだったの?」 あの人と私の関係を知っている、たったひとりの友人に聞かれた。 どうしようもなく好きだった人の結婚を知ったのは、数週間前のこと。 その知らせは、突然舞い込んできた。 風のうわさで知ったわけでもなく、当然、個人的に報告があったわけでもなく、SNSで知ったわけでもなく、その人の指に、結婚指輪が光っていることに気付いた知人に、「○○さん、結婚したんですね」と言われて、知った。 これ以上、無防備な知り方があるだろうか。 私は、何も、知ら

          どうしようもなく好きだったあの人は、私じゃない人と結婚した。

          ひとりが好きなのは、ひとりでいたかったからではなくて、ひとりでいるしかなかったからかもしれない。

          一人旅を終えて、東京に帰ってきた。 朝起きて、そのまま。 予定よりも、ずっと早く。 慣れないベッドの感触と、いつもよりも響いてくる雨音で朝方まで眠れなかったせいで残っている疲れと、自分にとっての冒険だった旅を終えた達成感が混じり合った気怠い体で、慣れ親しんだ自分の部屋の安心感に身をゆだねながら、これを書いている。 早く帰ってきたのは、朝、起きると、晴れ女の私には珍しく、しとしとと雨が降っていたことも、昨晩、雨の中花火を見に行ったせいで濡れた靴が乾き切ってなかったことも、

          ひとりが好きなのは、ひとりでいたかったからではなくて、ひとりでいるしかなかったからかもしれない。

          ‟恋人がいないと幸せになれない”という呪いを、解くための一人旅。

          「今年も、行けないな」 8月の中旬。 20代ラストイヤーを迎える9月の誕生日を目前に控えて、私は思っていた。 私には、毎年恒例のように、来年は絶対に彼氏と行く、と、決めているイベントがある。 熱海の海上花火。 初めてそれを見たのは、22歳の夏。 大学時代の女友達と、ふたりで熱海旅行に行ったとき。 その夜、夜空の真下で、落ちてきそうな火花を見つめながら、花火の爆破音と心臓の鼓動がくっついて、同じものになってしまって、離れなかった。 一瞬だけ夜空に咲く花が、体の全てに

          ‟恋人がいないと幸せになれない”という呪いを、解くための一人旅。