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日本の歴史区分


日本の中世が鎌倉時代から始まるというのは、定説だが、これは正しいのだろうか?

 


西ヨーロッパの場合は、西ローマ帝国滅亡の5世紀に古代が終焉したことになっている。日本は12世紀の鎌倉幕府成立で、古代が終わったのだとしたら、ずいぶん遅れたことになる。

井上章一氏は、日本は仏教伝来で中世を迎えたので、古代はなかったと主張している。私は、仏教伝来とともに中世になったと考えてもよいと思うが、だからといって、日本に古代はなかったという主張には賛同しない。


巨大な前方後円墳は古代エジプトのピラミッド級の建造物であって、それを可能にしたのは古代の専制権力である。中世の権力では、このようなことは無理であろう。中世も現代から見れば、専制政治が行なわれていたのだが、古代ほどではなかった。


➁日本の中世は、いつから?


マルクス主義的な歴史観では、生産様式を重視するので、封建制の開始とともに中世となる。従って、日本の中世は鎌倉時代からということになり、現在も学校の歴史の授業で、そういうことになっているのだが、精神史的には、仏教の受容、飛鳥時代の6世紀から中世が始まるという見方が可能だろう。

日本の中世が6世紀から開始されたと考えるなら、5世紀に中世に入った西ヨーロッパと比べて、それほど遅れていないということになりそうだ。



➂日本、西欧以外の中世は?


(1)東欧


東欧の場合、東ローマ帝国の滅亡は15世紀なので、そこから中世が始まったという説を立てると、時代的に遅すぎる。東欧は、東ローマ帝国時代に中世に移行したと考えるべきだろう。 


(2)中国


中国の場合、後漢の滅亡は3世紀なので、これを古代の終焉と考えると、早い気もする。南北朝時代は5世紀からなので、これはローマ帝国の東西分裂と同時期である。隋の成立は6世紀だから、ここから中世となったと考えると、日本と同時期となる。





➂世界宗教と中世


国家権力が世界宗教を採用すると、中世の準備もしくは開始という見方に立つと、中世の開始時期が日本、中国、西欧で近づくので、封建制の開始とは別にした方がよいのではないかと思うが、どうであろうか。




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