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ニューヨークに恋をした

「ニューヨークへ行く」。


この一言は私にとって「ハワイへ行く。」や「ロスへ行く。」などとは意味合いが一味違う。幼少期から海外映画や海外ドラマが大好きだった私にとって、画面上で観ていた憧れの地へ足を踏み入れるということは非現実的な出来事だ。確かにNYは、世界中から常に注目を集めている都心であるとはいえ、航空券やホテルさえ押さえればいつでも行けるはずだ。しかし、誰かが大好きなシンガーソングライターを追いかけるように、つい大好きな芸能人のストーカーをしてしまう気持ちと同じように、私はNYを心の底から常に求めていたのだ。

2019年、3月に大学を卒業した私。当時は卒業するまでに海外旅行の計画をいくつか立てていた。そのうちの1カ国を「ニューヨーク」に決定。中学生の頃からの友人と二人で渡航することに。
せっかくの学生最後の旅先なので、ずっと夢見ていた憧れの都市に決めた。念願だった。

この記事では、私のニューヨーク卒業旅行、四泊のうち、一日目に起こった出来事を赤裸々に綴っていきたいと思う。
まずはNYへ行く、日本発のユナイテッド航空機内での出来事。


私と友人は航空チケットで指定された席に座ったのだが、座ったと同時に「ねぇねぇ日本人ですか?」と話しかけられた。
私に話しかけてくれた女性は30代前後の綺麗な女性。旦那さん、娘さんとNYに住んでいるらしい。
彼女「日本人見ると話しかけちゃうの。NYに住んで、子育てしているんだけど孤独で孤独で。笑」
私「NYに住むって孤独なんですか?」
彼女「うん、すごく孤独。日本人の知り合いもいないし、ニューヨーカーはそんなオープンな感じじゃないの。あ、あなたの座席の前に座ってる彼!紹介するよ。彼もNY住みだから彼になんでも聞けば良いよ。ねぇねぇ!」
と女性はさっき出会ったであろうばかりの彼に向かって肩をトントン叩き話しかけた。
この飛行機へ搭乗する列の中、女性がその男性に声をかけたらしい。つまり、知り合ったばかりの初対面同士であるということだ。彼は、すごく大人しそうな日本人のビジネスマンという印象。「はい...。」と少しおどおどして女性の声がけに応じた。
彼女「この子たちに色々教えてあげて!ってかどこらへん住んでるんだっけ?
そういえば英語話せるんでしょ?英語ってどうやって勉強したの?」
男性の人見知りな性格に構わず彼女は質問攻め。彼は少し困ったようにそれらの質問に応じていた。

女性に対して私は好感を抱いた。とても明るく、人見知りせず誰構わず話しかけられるパワーが私にも欲しいと正直思った。
それと同時にそんな彼女を作り上げたのはNYなのか、とも考えた。
もともと明るい性格の持ち主であった彼女だと思うが、
そんな内面へさらに拍車をかけたのはNYでの孤独な生活からなのではないのだろうか。


「NYにいつか住んでみたい。」と常に憧れを抱いていた私。
しかし、彼女との出会いによって私が想像していた現実とは違うのではないのだろうかと多少の疑いが生まれた。
ユナイテッド航空が小さな国、日本をやっと離陸しようとしている瞬間に。

12時間の飛行を終え、午後4時(ニューヨーク時刻)やっとニューアーク空港に到着した。
税関の長蛇の列に並ぶ最中、真顔で「ここ入れてくれ。」と横入りしてくる外国人。そんな彼の行動は「日本じゃない。」「ついにニューヨークという都市に着いたのだ。」と少しだけ実感させた。全ての手続きを済ませ、やっと自由!と思った矢先。ホテルへ行くまでの交通機関について調べ忘れていたことに気付く。運は良く、空港内を歩いていたらホテルまで送ってくれるバスのチケット売り場にたどり着き一安心した。

私と友人は「やっとホテルに行ける!安心!」と一息ついてバスに乗ったのだが、運転の荒さに驚かされる。
前に走る車を数え切れないほど煽る運転手。何十回も鳴らされたクラクション。
少しだけ命の危険を感じ怖くなったが、笑ってしまう自分もいた。
NYに限らないが、海外に来ると日本の厳しさや几帳面さに気付かされる反面、「自由で良いな。」と少し羨ましく思う。


車内の窓から流れる夜のNYの景色たち。「ここは本当にあのNYなの?」と疑ってしまうほど信じがたい現実だった。
当たり前のように海外ドラマや洋画に出て来るイエローキャブが目の前を横切る。そこは本当にニューヨークだった。

ホテルに到着しチェックインを終え、部屋に向かおうとしたところフロントを担当するスタッフが
「〇〇!(私の下の名前)エレベーターこっちだから。」と言った。
普通はきっと「Ms!」と呼びかけるだろう。ゲストに対して名前を呼び捨てするニューヨーカーはさすがだった。

機内の中で何度も食事を済ませたはずなのに、お腹が空いていた私と友人。
部屋に荷物を置き、すぐホテルから出て簡単にディナーできる場所を探した。


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お店の名前は「ボストンマーケット」。客層はローカルの人々が多く、NYの割に食費は低コストに抑えられた。
私はミートローフやライス、サラダ、ドリンクはスプライトを注文。海外あるあるの超ビッグサイズのドリンクカップ。
そんな量のドリンクも喉が乾いていた私は一気に飲み干した。
そのお店は閉店が午後11時。午後10時ごろ店内で食事をしていたのだが、
イヤフォンをして音楽を聴きながら椅子やテーブルの片付けを始める店員。ゴミ袋を外に投げつけているスタッフもいた。
そんな自由気ままな店員たちは意外と気さくで気前が良い。
レストランを出ようとする私と友人に
「ドリンク好きなだけ持って行きなよ。」
「今入ってるドリンクもう飲んだんでしょ?好きなもの入れちゃいな。」
とドリンクバーを好きなだけ利用させてくれたのだ。

これまで記載してきたエピソードは、たった旅行1泊目のみの出来事。残りの三日間でも、たくさんの驚愕なエピソードが山積みだった。

ニューヨークが大好きだ。

冒頭で記載したように、もともと抱いていたNYに対しての憧れは、旅行を通してさらに強まった。

言葉で表現できないほどの愛着が湧いている。まるで、誰かに恋した時の気持ちと同じように、その気持ちに根拠はなく、ただ魅了されている。


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