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僕らが日本へ帰らないと決めたわけ

まさか紛争地域でもないドイツ赴任中に会社から家族を帰国させるように言われるなんて思ってもみませんでした。
結果的に僕たちは帰らないことを決めたのですが、家族を帰国させるか否かを迫られた数日の間に夫婦で何を相談したのか書いてみます。また、日本へ帰国した同僚の体験談もお伝えしようと思います。

今回の記事は、現在外国に住んでいてこれから帰国を考えている方への参考になればいいなと思っています。

いきなり決断を迫られる

3月頭にドイツで感染者数が伸び始めたころ、人事部から「いつドイツもイタリアのようになるかわからないので、在宅勤務に備えて」という連絡がきました。当時全く危機感がなかったので、そんなにすぐ大変なことにはならないよ、と正直思っていました。

実際はすぐに感染が拡大し、3月13日から在宅勤務に切り替えることとなりました。その後次々と近隣国との国境が封鎖され、フライトも減便されていきました。

これを受けて会社は3月19日に、帰国費用を出すので基本的に家族は帰国するようにという方針を発表。上司からは、最終判断は任せるが万が一フライトが完全になくなり閉じ込められたら責任を持てないと連日のように帰国を催促するメールを受け、本当に帰国するべきなのかを数日間で決めなければならない状況に追い込まれました。

帰国をやめたわけ

帰国するか判断するうえで、まず考えたのが検査数についてでした。以前の記事で書いた通り、ドイツは軽症者も含めてかなりたくさんの検査を行っています。検査数の少ない日本は本当に安全といえるのか、日本には実はもっと多くの感染者がいるのではないか、と考えました。

次に考えたのは、帰国の際の感染リスクについて。今籠っている家を出て空港まで行き、そこから11時間程度のあいだ密室状態の機内で他の乗客と過ごすということ。到着後は空港での検疫のために数時間も待たされたという情報を聞いていたので、そこでもかなり長い時間を他の入国者と過ごすこと。自分が感染する可能性、自分が他人に感染させてしまう可能性はかなり高いのではないかと考えました。

また、14日間の待機場所についても考えました。ドイツから日本への入国者はその時点で14日間ホテルや自宅などで待機するように要請されていました。外務省のホームページには「滞在先と移動手段(公共交通機関以外)は事前に確保するように」とだけ書かれており、実際どのようなシステムになっているのかわからず困惑。交通手段はどうにかするとしても、日本に家がないなか14日間もホテルを取るのは身体・精神・経済的に負担です。けれど実家に帰ったら家族が危ないかもしれない。どちらの選択肢をとっても、ドイツの家で過ごしている今の状況よりも大変なことは明白でした。

最終的に、以上のようなリスクを冒してまで完全に安全とは言えない日本に帰る必要はないと考え、帰国しないことに決めました。

空港での検疫検査について・帰国者の話

3月21日から、ドイツから日本への入国後は14日間ホテルや自宅での待機が要請されています。検疫検査に関しては、空港で長時間足止めされたという話も、検査なしで通過できたという話も聞きました。
公共交通機関を使用しないようにという要請も同時に出されましたが、国内乗り継ぎ便をキャンセルして都内のホテルに滞在せざるを得ない学生の話など聞いて、経済的負担の大きさから要請を無視して帰宅してしまう人がいても全然おかしくないとも思いました。

3月28日からは、空港での検疫検査後に指定の場所での一時待機が義務付けられたと聞いています。28日に羽田に帰国した同僚は、検査後に空港に隣接する東横インホテルに自衛隊手配のバスにて輸送され、結果が出るまで一時隔離となったようです。その後、夜中の2時に検査結果の電話がかかってきて陰性の報告を聞いたようですが、そのときの担当者は38時間不眠の状態だったとのこと。かなりカオスな現場であることが想像できます。

その後の情報によると、検疫検査の結果を待つための一時待機場所は空港内の一室の場合もあるそうです。空港の検疫検査で陽性と判明する感染者の多くが無症状であることから、そのような密室空間で他の入国者たちと過ごさなければならないことはかなりリスクのあることではないかと思います。

以上をふまえて、今緊急に帰国する必要のない方は、極力帰国を後ろ倒しにし、自身・他者への空港や飛行機内での感染防止を優先させたほうがいいのではと個人的に思っています。

どなたかの参考になれば幸いです。

※ヘッダーの写真は近所の公園の桜の木です。ロックダウン中のミュンヘンですが、天気のいい日には散歩して気分転換しています!

4月10日追記:
本日ツイッターで衝撃画像を見ました。
成田空港で検査結果を待つ間、上述のホテルが満室のため、荷物受け取りスペースの床に並べられたダンボールベットで待機しないといけないようです。これでは感染の温床になりかねません。。

本当に帰国しなくてよかった。。

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