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コロナ禍のミュンヘンその後

お久しぶりです。今年初旬、ロックダウン真っ最中のミュンヘンからリポート記事を書いたあと、すっかりブログから遠ざかってしまっていました。その後ドイツがどうなったのか、現在どうなっているのか、お伝えしようと思います。

ロックダウンの終わり

3月下旬にロックダウンしたドイツですが、新規感染者の減少を踏まえて4月終わりから徐々に店舗営業が再開されていきました。5月からは接触制限やソーシャルディスタンスを維持したまま段階的に外出制限が緩和され、集会なども許可されるように。レストランやホテルは5月下旬に再開しました。6月に入ってからスポーツ施設や劇場、映画館も再開され、7月にはすべての学校が始まり、ほとんどもとの生活に戻りました。

新たなルールの導入やPCR検査の奨励

ロックダウン措置が緩和されるにあたり、さまざまな新しいルールも導入されました。
一番大きなものとしては、4月末に公共交通機関や建物内でのマスク着用が義務化されたことです。この措置は11月現在も継続しています。ドイツではもともとマスクを着用する習慣がなかったためマスクをしている人もマスクを売っている場所も見たことがありませんでしたが、この措置が導入されてからはさまざまなお店でマスクが販売されはじめました。

その他にも、飲食店では感染者が発生した場合の連絡先として利用者の名前と連絡先の記入が義務化されたり、店舗の入り口にアルコール消毒スプレーが設置されたり、ソーシャルディスタンスを守るために店舗や飲食店への入場制限がかかるなどの新たな対策が始まりました。

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さらに、夏のあいだは旅行へ行く人が増えることに伴い、空港や列車の主要駅に帰国者向けのPCR検査施設が増設されたり、高速道路を使って帰ってくる人々に向け検査を受けるよう案内する電光掲示板が設置されるなどしていました。

私たちが住んでいるバイエルン州には、症状あるなしに関わらず無料でPCR検査が受けられるテストセンターが常設されています(州によっては有料のところもあるそうです)。私たちも旅行から帰った際に利用しましたが、オンラインサイトで事前に予約して、当日は直接テストセンターに行けば簡単に検査が受けられました。個人的に興味のあった抗体テストもたったの2千円で受けることができました(ちなみに抗体は持っていませんでした)。
検査の結果は、陽性の場合は直接連絡がくるようですが、陰性の場合には翌日以降インターネット上で確認することができる仕組みになっています。

ドイツでは、夏のあいだは特に旅行制限などを設けず、変わりにPCR検査をとことん奨励していく方針を取っていたようです。友人によると、今年は山や湖など近場の自然へ出かける人や、車で移動できる近隣諸国へ出かける人が多かったと聞いています。

再び広がる感染

ロックダウン措置の解除後もある程度の期間は感染を抑えられていましたが、10月に入り再び感染が拡大し10月中旬には1日当たりの新規感染者数が第一波と同等の水準になってしまいました。
11月15日時点で、感染者はのべ約79万人 (人口の約1%、1日あたりの新規感染者は約1万7千人)、死者はのべ約1万2千人 (致死率は約2%、1日当たりの死者は約100人) といった状況です。

同僚いわく、主な原因は私的な集まり (結婚式やパーティー、飲み会など) での濃厚接触というのが大半の認識のようです。日本食レストラン経営者も、最近お客さん同士の距離が近く、なかには咳をしている人もいるのをみて、このままでは自分の店でも感染者がでるのではないかと心配していました。

ロックダウンふたたび?

感染が拡大したのを受け、10月から第一段階として旅行の制限がされました。これは州から州への移動を制限するもので、危険地域(過去7日間の10万人あたりの新規感染者数が50を超える)に指定された地域から他の地域への、ホテル宿泊の受け入れ禁止や、宿泊者へPCR検査での24時間以内の陰性の結果を提出する義務を課すものです。

そして11月2日からは3月のロックダウンのときと同様の厳しい措置が導入されました。
具体的には、接触制限の強化(集まれるのは自身含め2世帯10人まで)、レジャー・余暇施設(映画館、劇場、美術館、動物園、スポーツ施設など) の閉鎖、マッサージ店やエステなどの閉鎖、パーティーなどの娯楽行事の禁止、レストランはテイクアウトのみでの営業が許可、地域によってはマスク着用義務エリアの拡大などです。
前回と大きく違うのは、生活必需品以外の店舗(デパートや本屋、服屋など)が人数制限付きで営業を続けられていることと、学校が閉鎖していないことです。

そんなこんなでドイツは再びプチ・ロックダウン状態となってしまいました。今回も国や州による補償があります。ドイツの詳しい休業補償については以前の記事をご覧ください。

受け止められかた

全面的なロックダウンではなくプチ・ロックダウンであることや、感染者は急増したものの死者の割合が低いことなどから第一波の時よりも混乱は見られません。
感染者数・死者数・集中治療室の占有率などをエリアごとに詳細にまとめたデータベースがロベルト・コッホ研究所(RKI)のWebページに掲載されており、状況が可視化されているのも国民が冷静に対処できている要因かもしれません。
個人的にも集中治療用ベットが占有されていないことから医療崩壊が起きていないことが理解できたり、致死率が低いことが理解できることから、第一波と比較して安心して経過を見守っています。

RKIの感染者・死者数データベース: 
https://experience.arcgis.com/experience/478220a4c454480e823b17327b2bf1d4

RKIのICUベッドの占有率データベース:https://coronavis.dbvis.de/en/overview/map/bedcapacities

ただ、ベルリンなどではコロナ対策にまつわる様々な制限に反発して、大規模なデモが毎週のようにおこなわれているとのこと。それらの反コロナ政策デモにネオナチが便乗して混ざっていたりと問題になっているそうです。

さいごに

今回のロックダウン措置は今のところ11月末までとされています。ロックダウンから3週間たった現在も感染者数が大幅に下がる気配はまだなく、このまま感染拡大に歯止めがかからなかった際に国民の反発を恐れずクリスマスまで措置を取り続けるのかどうか注目しています。

追記:11月24日に発表された情報によると、ドイツの各州首相はロックダウン措置を12月20日まで延長することで合意したそうです。さらに2世帯10人までとしていた私的な集まりについて、12月1日からは最大5人に制限するとのこと。そのかわりにクリスマスの時期にはこの措置を緩和し、12月23日から1月1日までは最大10人までの集会を認める方針だそうです。

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