【連載小説】「緑にゆれる」Vol.12 第二章
「どうしたの? こんな所で」
肩越しにこちらを振り向いたカケルは、少しだけ眉間にしわを寄せて、何かいたわるような、いたたまれないような顔をしていた。
「あ……近くを通りかかったから」
とっさについた嘘を、彼が見抜いたかどうかは分からない。でも、何かの事情を読み取ったのは確かだ。
彼は、そういう人だ。
「大丈夫?」
彼は、静かな口調でたずねた。マリは、黙って、彼の顔を見つめた。
「いや、あまり大丈夫そうに見えなかったから」
相変わらず、鋭い、と思う。そして